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晏名アサミのdraftbox

他ブログやコラムになる前の下書き置き場。
ライヴ、映画、音楽、美術など触れたものに関する感想、
ふと思いついたことなどを書きなぐる場所。


ゆえに文章整ってないのと、あまり他者意識しないつもり。
その日の気分で人称違ったり、矛盾でてくるけど気にしない。

火の華






先日、地元で花火大会があった。
3年続けて自分の部屋の窓からそれを眺めていた。


過去に一度だけ、
浴衣をきて花火デートをしたことを思い出した。
休みの日と花火大会の日程をあわせるのも一苦労で。

なぜなら、私と彼が付き合っているのではと、
バイト先で相当あやしまれていたから。
近くの花火大会の日に一緒に休みはとれなかったから。


かなり遠くまででかけて。
現地についてから浴衣を着た。
浴衣姿をみせたとき、彼の目が見開かれたのを今でも覚えている。


手をつないで川原を歩いて。
適当な場所で腰をおろした。
大きな花火大会だったらしく、見物客でごったがえしていて。
だれも私たちなんて見えてないような気がした。




花火の綺麗さに夢中になっているように振舞いながら。
本当は炎が一瞬輝き、そして消えていく様に魅了されていた。

心はどんどん静かになっていく。
桜もそうだけど。
花火もうっすらと死の香りがする。
消えていく命の音がする。



群青をもっと濃くしていった紺色の空に咲く火花を
声をあげて見上げながら、彼の顔を見れなかった。



すごかったねー。
ちょっと裏返るぐらいの高い声をあげる自分に驚いた。
少しはしゃぎながら車に乗り込む。
さきほどかいた汗が冷たくて、夏はもう終わるのだなと感じた。




家までの長い長い道中。
私はさきほどの花火を思い出していた。
心がまた静かになってくる。
人が誰も来ない、森の中の泉のようだ。
誰も来ないから、水面が揺れても虫が跳ねても、誰も知らない。



そのイメージが膨らみ続けて、
心を覆ったとき、
私は「人はしょせん独りだ」とつぶやいていた。

どんな話の流れでそれを言ったのかもう覚えていない。
彼は怒った。
「こんなに一緒にいるのに独りだと思うの?」私に問うた。
そうだ、と私は短く答えた。



心も身体も何もかも一緒になることなんて、できないじゃないか。
結局は相手が自分を愛していると信じれるかどうかで、
相手の心の中身など知ることは一生できない。
独り同士で、信じてるから、一緒にいられるんじゃないか。
そんなようなことを口走っていた。

花火デートはまるっきり失敗だった。



彼はきっと、
私の心の中にずっと、誰かが棲んでいることに気づいてたんだろう。
よく、一緒、とかずっと、という言葉を使っていた。
ずっと一緒にいたいね、そうだねって言ってあげればよかったのに。
優しさより自分の中の信条が大事だった私は、ストレートすぎた。



だいぶ月日が流れてしまったけど、彼は
心がぴったり一緒な人と今を生きてるのだろうか。
そんなことを花火をみながら思っていた。
ロマンティックキラー




私は、甘い言葉をささやくのは好きだが、
ささやかれるのは苦手である。
よっぽど本気の相手じゃない以外は
たいていはぐらかしてしまう。

男のロマン的なものはなんとなくわかるが、
女の子が好きなロマンティックってやつがよくわからないのだ。


その代表が夜景だ。

何人かの男性に夜景が綺麗なところに
連れて行ってもらったことがあるが

そこから海がどこにあるか、
中心街はどこにあるか、
などの位置確認をしたらもう飽きてしまう。
それからは、写真をどうやったら上手く撮れるか考えるが、
三脚がないとどうにもこうにも厳しいのであきらめる。
そんな風に考えたとしてせいぜい8分ぐらいだ。


暗闇効果なのか、
たいていの男性は妙に饒舌になり、
甘い言葉を吐く。
だが、ムードにまるっきり酔ってない私は、
その甘さがむずがゆくて、そろそろ行こうかなどと気の毒なことを言ってしまう。

夜景ドライヴをデートのメインにしてた人は、メインがあっさり流されて動揺しまくる。


あの頃よりちょっと大人になったのか、
悪かったなーと思うようになった。
間、とか、ニュアンス、とか色気がびっくりするほどなかった。


花火はまだ、変化があるので飽きないが、すっげ、きれい、すげーといっているのは花火そのものよりも職人の技に驚嘆しているからである。

ルミナリエもまだいったこととはないがきっと、仕事の細かさなどのポイントに食いついてしまいそうだ。


まったくもって、
ロマンティックキラーである。



そういえば、
男性とドライヴデートをしていた時に
彼の一番好きな曲(だったらしい)が流れてきた。

彼としてはしっかり曲を聴いていい雰囲気にしたかったらしいのだが、
私は景色をみることが楽しくて、
ほとんど曲を聴いてなかった。


ちょうどサビにかかるあたりで、
酪農場をみつけた。

砂しかない土地で生まれ育った私は
酪農場などみたことがなかったので、
牛が放牧されている景色に感動をおぼえた。

あ、牛。と、素直に嬉しくて声にだしたら、彼がめちゃくちゃ怒ってた。
曲より牛に夢中だった。



まったくもって、
ロマンティックキラーである。
white wisteria





彼が亡くなってから5年になる。
2月のことだった。なぜ、今ふと思い出したのかよくわからないけれど。

当時は自分の同級生がこんなに早く亡くなることにショックで
ただただ言葉がでなかった。



名前とはあまり関連がないが、私は彼を白藤の人と心の中で呼んでいた。


高校の同級生だった彼は、色が白くて
あんまりペラペラ話さなくておっとりしてて。
ああ、仲のよい友達とかと話すとけっこう話す人だった。

どことなく品があって、全身から白い気みたいなものが立ちのぼっていた。
遠めにみてもそれがあるからすぐに彼だとわかった。


そして当時、私の友達とつき合っていた。
友達からそれを教えてもらったときにすごく嬉しかったのを覚えている。
大好きな友達と彼はものすごくお似合いだったから。
長く続くといいなと思っていた。




友達の彼氏で同じクラスとはいえ、彼と私が話すことはほとんどなくて。
一度、学祭で劇をしたとき、音響担当だった私の
選曲が気に入ったらしく、褒めてくれたのが印象に残っている。

たぶん、好きな音楽の系統がとても似ていたと思うんだけど、
もう確認する術はない。一緒にバンドとかしたら楽しかっただろうな。





京都の山でバイクに乗っていて事故に遭い、命を落としてしまった彼は。
もうすぐ結婚する予定だった。
相手は、私の友達ではなく、別の綺麗な女性で。
お通夜のときの泣きはらした顔が忘れられない。

私は、ショックだったけどそれよりも友達の方が心配で。
元彼が突然亡くなった気持ちがどんなものかわからなくて。
ただただ、彼女の表情ばかりを見ていた。



静かな葬儀場には家族写真や婚約者と撮った写真がたくさん飾られていて。
彼のお母さんが、それらのひとつひとつを私たちに説明してくれる。
穏やかで優しい顔だった。
ああ、彼の品のよさはこのお母さん譲りなのだと思った。

席を辞して、肉を避けた食事を友達と食べに行った。
結局、彼女は一度も泣かずに表面的には冷静だった。
むしろ動揺してたのは私のほうだった。




それにしても何故いま彼のことを思い出したのだろう。
夏の陽炎が一瞬あの白い気にみえたのだろうか。