抗がん剤の治療を始める前の検査も一通り終わり、初めての腫瘍内科医との面談の日。


乳房外科医から乳癌告知を受けてまだ1週間足らず。抗がん剤治療の説明を聞くために病院内の乳癌専門外来を受診しました。


待合室には治療中で明らかにウィッグをつけているとわかる女性。素敵な帽子やターバンを巻いている女性。そして、ここが日本と違うところだけど、脱毛後の頭皮を少しも隠すこともなく、瀬戸内寂聴さんのような頭髪姿にイヤリングを着けている素敵な女性。


私はそんな中にいて、少し居心地の悪い思いをしながら主治医に呼ばれるのを待っていました。時間は、とても長く感じられて、またどこか他人事で、まるで私はこの外来に仕事の取材で訪れているような不思議な感覚を覚えました。


ようやく名前が呼ばれて主人と診察室に入ると、ベテランの年配の女医さんが治療計画の用紙を渡して説明を始めました。


↓これがその時に手渡されたスケジュール。



私の耳に入ってきた説明は最初のEC療法のことだけ。そのままペラペラと説明を続ける女医さんを前に、私の頭の中は、やっと不登校から抜け出しつつあるモンタのことばかり考えていて、そこから先の話しはまったく頭に入ってこずに、代わりにポロポロと涙がこぼれてくるばかりでした。

最初に息子の話しはしてあったので、それを察したドクターは話しを止めて、

「長い治療になるので、今は先々まで考えるのではなくて、一つずつ目の前にくることをこなしていくことに集中していきましょう。」

そういって、ティッシュペーパーの箱を差し出してくれたことが忘れられません。

そのあと、担当看護師さんから、副作用の対処法や、治療部屋の案内、あと福祉課への紹介状を渡されました。

以前にも書きましたが、私が住んでいる国は大変福祉が充実していて、ウィッグの金額補助や、理学療法師による専門トレーニングなど(無料)を紹介されました。

良く日本の友達は、異国での癌闘病で不安だねって心配してくれたけど、私は本当にこの国で治療をさせていただけることに感謝しています。

日本の知り合いの癌患者さんのお話しを聞くと、まずは病院選びから始まって、治療の選択、そして何よりも高額の治療費の心配。。。そのために仕事も休めない。。。(ちなみに私は病欠中です)

この状況で、沢山のことを決断しなければいけないのは本当に本当に大変なことだと思います。

これから増えてくるであろう乳癌患者さんに対して、金銭面も含めた総括的なトータルサポートが充実してくれればいいなぁと願ってやみません。
(実際に色々とネットワークはあるとは思うのですが、地域によって受けられるサービスが違ったり、あまりにも選択肢が多すぎたり、金額で選ばなければならないことなどは、本当に心労の多いことだと思います)。

少し涙も落ち着き、看護師さんに紹介されたリクライニングチェアの並んでいる治療部屋を眺めながら、やっぱり私はまだまだ他人事にしか思えませんでした。今度は女優になった気持ちがして(なんで女優?😅)、次の映画で乳癌患者の役をすることになったので、その役作りのために今取材に来てるんだ。。。ていうような不思議な感覚。

みんな最初はそんなふうに感じるのかなぁ。。
←いや、みんな女優にはならんかなぁ🤔

人間の現実逃避本能は、オーバーキャパシティに良く対応出きてるんだなぁなんて変な感心をしながら、病院をあとにしました。