今までの私には、なかった習慣。
冬になると、彼の住んでいるところへ行く。
それが、いつの間にか毎年の一大イベントになっていました。
世の中がお正月になると、
「実家に帰省」「旅行へ出かける」
そんなニュースが流れる中で、
私たちは少し時期をずらして旅に出ました。
猫たちを連れて。
車には、猫のおトイレ、食べ物、必要なものをぎゅうぎゅうに積み込んで、
猫4匹と、私と彼。
ひたすら、彼の住んでいる場所を目指して走りました。
窓の外に広がる景色は、
今まで見たことのないものばかりで、
そのひとつひとつが新鮮でした。
初めて 富士山 を目にしたときの感動は、
今でもはっきり覚えています。
「本当にあるんだ……」
そう思ったくらい、圧倒されました。
私は、
自分が行くことはないだろう
そう思っていた場所へ、
彼と一緒に、毎年のように行くようになっていました。
冬と夏。
年に二回ほど、行ったり来たりを繰り返す日々。
旅先では、その土地ならではの
おいしいもの、珍しいものを、彼がたくさん教えてくれました。
そのたびに、
私の世界は、少しずつ広がっていった 気がします。
彼の住んでいる場所は海沿いで、
海鮮が驚くほどおいしかった。
お寿司が好きな理由も、
一緒に食べるうちに、自然とわかるようになりました。
今でも、
食べ物を見たとき、
ふと彼を思い出すことがあります。
「食べる」ということは、
人間の大切な欲求のひとつ。
生きることと、楽しむことに、まっすぐつながっています。
その大切さを、
丁寧に、楽しみながら教えてくれたのは、
彼だったのかもしれません。