私は日常診療で「何かストレスはありますか?」とお伺いする場面が多いですが、「あります」と答える方がほとんどです。
たまに「まったくないです!」と元気よく答えてくださる方もいらっしゃるのですが、本当に珍しいです。
それくらい、皆さんストレスを抱えてらっしゃることが多いようです。
・
ある日。
中高年女性Aさんから「ストレスが多くてリラックスしたくてもできないんです。リラックスできるという音楽のCDを買って聞いているんですけど、ちっともリラックスできなくて…。どうしたらいいんでしょう?」というご質問がありました。
多分、ゆったりとした音楽だったり、自然音が流れるような曲のCDを聞いていらっしゃるのかな-?と想像しました。
そこで私は、自分自身のことを思い起こしました。
私はコロナ禍になっておうち時間が増えたタイミングでYouTubeプレミアムに入り、それまでよりも流す音楽の選択肢が大幅に増えました。
コロナ禍でモヤモヤすることも多かったので、リラクゼーションを目的とした音楽を聴くこともあって、それで確かにリラックスできることもあったのですが、逆にモヤモヤ?イライラ?がつのることもありました。
その時の自分の気分に合っていなかったようです。
そんな時には、自分の気持ちが上向く曲が見つかるまで、ひたすら曲を選んでいったのですが、必ずしもゆったりとした曲ではなくて、アップテンポの曲がしっくりくることもありました。
そんな私自身の経験を踏まえて、「そのCD、Aさんに合っていますか? 誰かにとってはリラックスできるかもしれないけれど、Aさんには合っていないのかもしれませんよ?」とお伝えすると、Aさんはハッとした表情をされていました。
私は続けて、「人がリラックスできることではなくて、Aさんがリラックスできることをした方が私は良いと思います。 Aさんがリラックスできることかどうかは、Aさんにしかわかりませんから、ご自身がどうしたら心地よく感じられるかご自身によく聞いてあげてください」とお伝えすると、Aさんはそれ以上質問されなかったので…。
多分、何らかのヒントになれたのかな?と思いました。(なれてたらいいなー、と思いました)
・
音楽のジャンルに限らず、その人がリラックスできることなのかは、その時の状況、環境、体調でも変わってきます。
ハーブティーでリラックスできることもあれば、コーヒーの方がリラックスできることもあるでしょう。
ひたすら眠ることでリラックスできることもあれば、軽く運動する方がリラックスできるかもしれません。
その時その時で、ご自身が一番リラックスできることをご自身に聞いてみてあげてください。
そして、可能な限りそれをご自身にさせてあげてください。
いつもがんばっていらっしゃる皆さま。
今日もお疲れさまでした
・・・・・・・・・・・・
あ! そうそう。
私はこの「自分の今の気分に合った音楽を聴く」ということを丁寧やった結果、思いがけないことがわかったのです!
その時に合った音楽を探していくと、だいたい曲やアーティストさんが固定してくると思います。
そこまでいくと、聴きたくなる音楽によって、自分のメンタル状態がわかってくるのです。
当たり前と言えば当たり前なのですが…
気持ちが落ちているにしても、その度合いまでわかってしまったりします。
なので、必要以上にメンタルを落とさないためにも、「あれ?この音楽を聴きたくなるって言うことは、私ってばメンタル落ちてるかも?」と早めに察知して、色々と対策をすることに役立てることができます。
(そんな時私は、美味しいものを食べて気持ちを上げたりします)
最近の私はと言えば。
新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が出てしばらくした頃にずっと聞いていた曲を、今はまったく聴きたいと思わないので、今はあの頃に比べるとメンタルの調子はとっても良いようです