「マイケル降臨のため必須音響装置について」に以下の追記を書いた。

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オーディオファンのKさんから、以下のご指摘をいただいた。重要なので、どうぞお気をつけいただきたい。

Pro Cableさんの説明で、『ただし、iPodに、AIFFファイル、又は、WAVファイルで、「圧・縮・な・し」で、CDデーターを入れることが、大前提です。この大前提は、必ず守ってください。』と言うところは、重要だと思いますので、その点は触れられた方が良いと思いました。
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これが非常に重要なので、説明しておかねばならない。つい最近まで、私は全く理解していなかったが、知ってとても驚いたのである。

CDには、

“サンプリング周波数44.1KHz、量子化16ビットのPCM方式でデジタル録音”

という形式で音が入っている。これが何を意味するのか、私には正直、よくわからない。で、パソコンにこれを取り込むと、

MP3/WMA/AAC

といった形式になる。これでを iPod などに入れて聞いているわけだが、これは「圧縮」された音源である。圧縮というのは、元の音のデータをそのまま使うと大きくなるので、あちこち端折ったりなんなりして、なるべく音が悪くならないようにデータを減らす技術のことである。しかし、データを減らすのだから、どう足掻いても音が悪くなる。

これに対して、

WAV/AIFF

というような形式は、「非圧縮」である。CDのデータの情報量をそのまま保持しているのである。どのくらい違うかというと Bad の AIFF 形式が 41.6MB に対して、AAC 形式が8.6MB だった。ざっと五倍である。当然、前者のほうが音が良い。(flac というフリーの規格は、「可逆圧縮」つまり、大きさが半分くらいなのに、音が変わらない、というものらしいが、残念ながら iPod や iTune は対応していない。)

で、どのくらい違うかというと、バッと聴いたところでは正直わからなかった。ところが「なーんだ、五倍も違うのに損だなぁ」と思いながらも、しばらく AIFF のものを聞いていた。それで AAC で取り込んだままの Smooth Criminal が始まって最初の Paw! で「ウルサイ!」と思ってしまったのである。AIFF で取り込み直して聞いてみると、ちっともうるさくない。そのくらい違う。

何が違うかというと、音の濃さである。画像で情報が減ると、階段状のデジタル見え見えになるように、音も情報が減ると、階段状の形状になってしまうようだ。耳という器官には沢山の振動する素子があって、同じ周波数の音が来ると増幅する、という形で聴こえるようになっている。恐らく、デジタルの情報量が落ちると、聴覚の素子の全体が飛び飛びに反応してしまい、それを脳であたかもなめらかな音であるかのように修正せねばならないので、不愉快なのではないだろうか。

CDに入っている情報量は、人間の耳の素子の密度に匹敵し得ていて、それゆえ非圧縮音源で聴いた場合には、素子の全体をスムーズに反応させることができるのだと思う。これに対して、圧縮音源だとそうはいかないのであろう。慣れというのは恐ろしいもので、非圧縮音源で聞いていると、圧縮音源が耐え難く聞こえてくる。

そういうわけであるから、マイケルの姿に出会いたければ、非圧縮音源で聴かねばならないのである。ちなみに、iTune では ACC 形式を AIFF 形式に変換できるが、一度失われた情報は帰ってこない。データの量が増えるだけで意味がないのでやらないように。

非圧縮形式の問題はデータの量が多いことだ。一曲で 8.6MB だと、10曲で 86MB、100曲で860MBだ。ところが、41.6MBだと、10曲で 416MB、100曲で4160MB=4.16GBだ。昔はこんなに量が違ったのでは保持コストが全く違った。

しかし今や、iPod nano の小さいほうで 8GB も入る。三千円出せば16GBになるから、もう十分だろう。CDベースで考える限り、

絶対に非圧縮で取り込むべし!!

という結論になる。この形式で取り込んで、マシなイヤホンで聞けば、She's out of my life のマイケルのすすり泣きを間近に聴くことができる。歌詞やセリフの聞き取りなども格段に違ってくる。CDに、マイケルが息を吸う音まできちんと入っているとは、最近まで知らなかった。Speechless は、"Your love is Magical" で始まる曲ではなく、「マイケルが大きく息を吸い込む音」で始まる曲なのだ。

気をつけねばならないのは、iTune Store などでは、圧縮形式でしか買えないことだ。これでは碌な音がしないではないか、と心配になる。ところが、プロケーブルさんによれば、圧縮形式でも iTune Store で買ったものが、同じ曲の CD からの非圧縮の取り込みより音が良かったりする場合があるらしいのである。なぜこんな異常なことが起きるのかというと、

スタジオでCDRに焼く(又は専用のデジタルマスターに落とす)
⇒工場に持ち込んで、そのデーターをそこで再び取り込み、それを元にCDを増産する

という段階で音が減ってしまうらしいのだ!

そういえば昔、アルミのかわりに金を蒸着させたCDというものがあって、千円ほど高かったのだが、音が妙に良かった。不思議だなぁ、と思っていたのだが、この段階で音の流出があると考えればよくわかる。金だからというより、金を使うことで値段が高くできるので、一枚一枚に掛けるコストが上がるので、音の流出が減るのではなかろうか。

これに対して、圧縮音源の配信は、圧縮の段階で減ることは減るのだが、配信の段階では減らない。そのため、いい加減にCDを生産するよりマシ、ということが起きるらしい。

CDの規格はソニーが作り出したもので、あの時代に随分立派なものを創りだしたものだ、と敬服する。そのくらい大変な技術だ。だが、CDの歴史は同社の堕落過程と一致している。CDの生産過程や再生過程での音の劣化という基本的問題をキチンと研究し、改善する努力を続けておれば、こんなことにはならなかっただろうに、非常に残念である。
マイケル降臨のための必須音響装置について」について、いくつかのコメントや質問があった。プロケーブルさんに更に色々教えていただいていくつかわかったことがあるので、ご報告しておきたい。

必要最低限の装備は、

iPod + ましなイヤホン

である。と書いたら、「ましなイヤホン」とは何か、というご質問を頂いた。まず第一に指摘すべきは iPod に付属のイヤホンは使い物にならない、ということである。あんなものをつけるくらいなら、何もなしで売って少しでも値を下げるべきだとさえ思う。

ではどういうモノを買えば良いのかというと、よくわからない、と言わざるを得ない。私がやったことは、イヤホンの試聴ができる量販店に行き、iPod を持って行って片っ端から聴く、という方法である。いろいろやってとりあえず、3千円くらいのものを買った。

こういうものは好み次第だし、お金を出せば良くなる、というものでもない。同じメーカーの5千円くらいのものを比べたら、音が別に良くなかったので、店員に聞いたら、耳の部分を小さくするために高くなっている、とのことであった。出張先にイヤホンを持っていくのを忘れて、コンビニで千円くらいで売っているものを買ったことがあるのだが、十分に楽しめた。そういうものである。

一万円以上のものもあって、特にビクターの木でできたイヤホンなど、気になるところであるが、あまり外で音楽を聞かないので、そこまで張り込む気にならなかった。通勤電車で毎日、長時間聴かれるような方は、そういうものを買われるのかもしれない。

いずれにせよ、

予算の範囲内で、マイケルの好きな曲が一番良く聴こえるものを買う、

というに尽きる。

念の為に、プロケーブルさんに聴いたら、
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イヤホンはあまり知らないのですが、アレンにも接続できるということと、ミニ端子への変換コネクターが付属しているということで、AKGの、M171mkIIというものを買って下さい。これは私がスタジオで使っているものと同じです。

http://www.soundhouse.co.jp/shop/ProductDetail.asp?Item=117%5EK171MKII%5E%5E
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とのことであった。「プロケーブルさんで扱っていないのですか」と聴いたら、「当店では扱っておりませんので、リンク先が安いですから、リンク先で購入して下さい。」とのことであった。

で、こうなったら仕方がないので、買ってみたら、確かに音が良い。アンプに繋いで聴いたら、うちで使っている小さなスピーカーよりも音が良いくらいだ。ただ、Crown D-45 というアンプはプロ用なので、ヘッドホンを差してもスピーカーは鳴っている(!)ので、「夜中に周りを気にしないで聴く」という用途には役に立たない。プリアンプ代わりに使っているDJのAllen & Heath Xone:02 は、スピーカーを切ってアンプだけにできるのだが、う~ん、やはり音の深みが違う~。いちいちスピーカーを引っこ抜くわけにもいかず、こまったものだ。。。

で、このヘッドホンを iPod に直接繋ぐとどうか、というと、それは持ち運び可能なオーディオとしてはすばらしいのだが、アンプ経由に比べると、さすがに音が薄い。

iPod ==> DJ ===> アンプ ===> ヘッドホン
iPod ==> DJ ===> ヘッドホン
iPod ==> ヘッドホン

と、経由する機械が少ないほうが、明らかに音が薄くなる。

中継が少ない方がデータの喪失が少なそうなものだが、不思議なものである。プロケーブルさんの説明だと、音の手渡しは、階段を登るようなものだそうである。直つなぎだと、一気に壁をよじ登るようなもので、音もつらいらしい。一段づつ登って行かないと、脱落者が出る、ということのようだ。本当はDJもiPodも、ヘッドホンに渡すときに階段を設置してあるそうなのだが、手抜きしているのか、コストの関係か、階段の立て付けが悪いらしい。

で、この高級ヘッドホン(といっても1万円ちょっと)の直つなぎと、ちょっとましなイヤホンとどっちが良いかというと、私の感じではイヤホンの勝ちだ。なぜならいくら何でも、ヘッドホンを鞄に入れて持ち歩くのは大変だし、耳の奥に突っ込んで聴いたほうが音漏れがしないからである。
窓際のぽっぽたんさんが、以下のコメントを下さった。

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アメンバーではないので
他の記事が分かりませんが

睾丸を、
握り、腰振り、
愛を説く pow!!


と言うように
このPOW!だとかPUW!
だとかの気合い(?)と共に
マイケルと一体になろうとするのです

このpow!
の気合いはどこでも一瞬、
自分がマイケルに憑依されたような
錯覚に囚われ、
もしもステップが踏めるなら
軽やかに踊り出していたでしょう
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すばらしいご提案のように思ったので、掛け軸に Pow! を追記してみた。