これではまるで、流出源が1つだけで、それを見つけたから塞げば大丈夫、というように見える。

しかし、常識で考えて、そんなことはありえない。あれだけの大きな振動を受けたら、コンクリートにはヒビが入るのが普通である。それに、あんな大きな爆発が2回もあり、火災も起きているのである。常識的な考えなら、原子炉建屋の下、タービン建家の下、トレンチなどにも、10センチや20センチのひび割れは、いくらでも入っていそうなものである。海に通じる場所のコンクリートだって、あちこちにひび割れは入るだろう。そういった、多数のひび割れから漏れて、どこかに溜り、そこからまた別のひび割れで、という形で、多数のルートから漏れ出していると考えるのが、普通だと思う。

ここだけ割れていて、そこを止めたら終わりであれば、私はとても嬉しい。しかし、そんな期待をしたら、ぬか喜びするだけだろう。


===========
取水口付近に亀裂、高濃度汚染水が海に流出

 東京電力は2日、福島第一原子力発電所2号機の取水口付近で、放射線量の強い汚染水が海に流出していることを確認したと発表した。

 同原発付近の海水は高濃度の放射能汚染が続いているが、流出源は特定できていなかった。

 突き止められた流出源は、取水口の近くにある深さ約2メートルのコンクリート製の立て坑。もともと電源ケーブルの点検のために設けられたものだが、その中に、毎時1000ミリ・シーベルトの強い放射線を放つ汚染水が、深さ10~20センチ程度たまっているのを、同日午前9時30分ごろ発見した。立て坑の側面に約20センチ・メートルの亀裂があり、汚染水が海に流出している。

 東電は、立て坑をコンクリートでふさぎ、海への流出を食い止める方針。

(2011年4月2日14時52分 読売新聞)
チェルノブイリの放射能除去作業という最悪の仕事を担当した作業責任者のコメントである。3月26日に出した私の提案(下の方に添付)と同じ方向だと私は理解した。日本政府は直ちに、この人を雇うべきである。

============

福島原発事故 チェルノブイリ作業責任者語る 独立の技術者チーム必要
産経新聞 4月2日(土)7時57分配信


 【ロンドン=木村正人】旧ソ連・チェルノブイリ原発事故が起きた1986年から5年間、放射能汚染除去作業の責任者を務めたユーリ・アンドレエフ氏(ロシア)が産経新聞の電話インタビューに対し、「福島第1原発事故に必要なのはチェルノブイリ原発を覆った石棺ではなく、東京電力から独立した技術者の特別チームだ」と指摘した。一問一答は次の通り。

【写真】爆発事故を起こし大破したチェルノブイリ原子力発電所

 --福島の事故の状況は

 「2号機は炉心や原子炉圧力容器が溶融している疑いがある。国際原子力事象評価尺度でチェルノブイリは最悪の7だった。福島の事故は日本がいう5ではなく、最初から6であることは明らかだ。今は6と7の間と判断している」

 --状況はなぜ悪化しているのか

 「東電の情報が不正確で不足しているからだ。(企業というものは)会社の利益を優先して行動するので作業から外す必要がある。幅広い知識を持つ経験豊富な技術者を日本中から集めて特別チームを編成し、作業に当たらせるべきだ」

 --チェルノブイリで得た教訓は

 「ヘリから放水したり原子炉の下に穴を掘ったり無意味な作業に追われた。原子炉内に核燃料があるのかを知りたかったが、実際はすでに溶け出して残っていなかった。ソ連当局は事故の原因と規模を隠し、状況を悪化させた。日本では原子力政策と安全規制を同じ経産省が担当している。世界的にみても安全規制当局は原子力産業界に依存しており、独立した委員会を作る必要がある」

 --福島でもチェルノブイリと同じ石棺が必要か

 「チェルノブイリで事故炉を石棺で覆ったのは放射線の放出を防ぐためではなく、残った原子炉の運転を続けるためだった。福島で石棺が必要とは思わない」

 --放射能汚染の除去にどれぐらいかかるか

 「チェルノブイリでは原発の汚染除去に2年かかった。30キロ圏内の除去は実際上、不可能なので行われなかった。福島の場合、放射線量が明らかでないので答えるのは難しいが、1~2年かかる可能性がある」

 --「フクシマ50」と報じられた現場の作業員について助言はあるか

 「50人は少なすぎる。5千人以上を投入すべきだ。特別な防護服を着用してもガンマ線を浴びたり、プルトニウムを吸引したりする危険性がある。確かに彼らはサムライだが、ロボットも導入すべきだ」


==============
私がもしも首相だったらどうしたか、について書いておこうと思う。後知恵と言われかねないが、事故が起きた直後から、私は同じことを考えていて、知り合いには話していた。

(1)福島瑞穂議員を「原子力事故担当大臣」とする。彼女は「原発事故が起きる起きる」と以前から騒いでいた人だからである。それに、こないだまで大臣をやっていたのだから、適任であろう。小沢議員を「原子力事故担当大臣補佐」に任命する。このくらい豪腕の人でないと、役に立たないであろうから。なぜ小沢氏を補佐にするかというと、福島氏を補佐にしたのでは、小沢氏は言う事を聞かないからである。それから、原発が津波でやられる、と予言していた吉井英勝衆議院議員を同じく補佐にする。

(2)原子力委員会、原子力安全委員会に、熊取六人組をはじめとする、「原発事故が起きる」と主張していた学者を入れて、原子力安全欺瞞言語を操る人々と半々にする。双方の議論を首相と原子力事故担当大臣・補佐が聞いて、意思決定する。

(3)日本全国の原子炉を停止させる。そんなことをしてどうするのかというと、作業員を調達したいのである。一人当たり250ミリシーベルトにしようが、500ミリシーベルトにしようが、作業員は恐らく、急速に払底するので、日本中から、原子炉に詳しいひとを掻き集める必要がある。

(4)原子炉OBを集める。老人は被曝しても影響が低いので、彼らを主役にする。

(5)福島原発の処理に当たる人には、1ミリシーベルト当たり、10万円くらいのボーナスを奮発する。100ミリシーベルトで1000万円もらえるなら、頑張るだろう。もちろん、東電持ちである。

(6)IAEAに直ちに救援を依頼して、世界中の原子炉技術者、作業員で、福島第一原発と同型の原子炉に精通した人々を日本に呼び集める。作業に必要な資材も持ってきてもらう。彼らは、1日、100万円くらいのボーナスを払う。もちろん、東電持ちである。

(7)アメリカからスリーマイル島の経験者を、ウクライナ・ロシアから、チェルノブイリの経験者を呼び集める。

(8)アメリカ、中国、ロシアから、原子炉の作業員を掻き集める。彼らにも、1ミリシーベルト10万円くらいの賃金を払う。もちろん、東電持ちである。

(9)福島第一原発から出てくる数値は、すべてリアルタイムでインターネット上に公開する。

(10)放射線などの状態から、炉心内部を推定することのできる物理学者を掻き集めて、常時解析させて、現場に伝える。おそらく、勝手にネット上でやってくれるのではないかと想像する。

(11)100キロ圏内から子供と妊婦と若者を移動させる。

(12)退職した老人を再雇用して勤務してもらって、都市機能を維持する。

こういうことを、事故初日からやって、なんとか事態を収拾できるかどうか、というレベルの話だと私は思っていたし、今も思っている。


この講演を聞いて、本当にあきれてしまった。

まず、彼が冒頭で言及している、マグニチュードの上方修正についての、島村英紀氏の記事である。一番下に引用しておいたので、ちゃんと読んで欲しい。広瀬隆がケーブルテレビで「上方修正は怪しい」と言っていたときは、「さすがにそこまでするかなぁ」と思っていたのだが、下の記事を見ると、「さもありなん」という感じがする。確かに、明治三陸沖地震のときの津波は38メートルだったのであり、今回は最大でも20メートルいくかいかないかであるから、「千年に一度」というのはおかしい。

http://shima3.fc2web.com/kyousei-atogaki.htm


で、こりゃすごいなぁ、どんな人なんだろう、と思い、島村氏のHPを見ていて、ショックを受けた。彼は、わけのわからない理由で逮捕され、半年も拘留されるという理不尽な目にあい、詐欺にあったとされる被害者が、「詐欺にあってなどいません」と証言したにも拘わらず、四年の有罪判決を受けたのだ。明らかに、学会の欺瞞言語を使う連中を、普通の言葉で批判したために、陥れられたのだ。なんという恐ろしいことだ。

http://www5.pf-x.net/~sapshima/taihorenkougeki.htm

http://homepage2.nifty.com/lite/hard_column/no_nippon_1079.html


島村さんは次のように述べている

===============
私は今後、国から与えられた「前科一犯」の肩書を誇りとして生きていこうと思います。

しかしまた世界に通用した地震学者としての誇りも失っていないつもりです。今後も私は、地球科学や地球環境問題への発言を続けていきたいと考えています。「それでも地震予知は不可能だ」と。

日本が推し進めてきた地震予知研究が、じつは地震予知の見通しのないまま、「地震予知が出来る」を前提にして法律や防災の仕組みが作られてきたことを私は真正面から批判してきました。地震予知に膨大な予算を費やす人たちにとっては、私は邪魔な存在であったのかもしれません。

私が主張してきた「地震予知は不可能を前提として対策を講じるべきだ」ということは、ようやく政府や地方自治体の政策にも反映されはじめました。これからも、地球物理学者として、地震の被害を最小限に食い止め、国民の命や財産を守るために、いままで以上に、地震予知批判や、地震の正しい理解のための啓蒙活動を続けるつもりです。
===============

本当に恐ろしい。嫌な国に生まれたものである。
この調子では、私もありもしない「公金横領」か「セクハラ」か何かで、早晩、逮捕されかねないなぁ。


=============
【2011年3月21日に追記1。東日本を襲った巨大地震(東日本大震災。東北地方太平洋沖地震)で】
 この本の後書きに書いてあるように、阪神淡路大震災が起き、その後に引きつづいて福井県にあるプルトニウム高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」で大量のナトリウム漏れが起きたときに、私は何人もの欧州人に同じことを言われたことがある。

  天災が少なく、責任観念が発達している欧州人にとっては、政府や動燃事業団がとった対策を静観しているだけの日本人の対応はかなり奇妙に見えた。かって欧州でも同様の事故が起きたのをきっかけに廃炉にした国が続出したからである。日本人は、すべての事故を天災のように避けられないものと考えているのではないか、というのが私が知っている欧州人の反応だった。

 そして、今回の大震災でも、その日本人の習性を利用すべく、大震災に引きつづいての福島原子力発電所の原発震災についても、「想定外の大きさの地震と津波に襲われた、人災を超えるもの」という心理に日本人を誘導しようとしている企てが透けて見える。

 今回の大地震(東北地方太平洋沖地震)で気象庁が発表したマグニチュード9というのは、気象庁がそもそも「マグニチュードのものさし」を勝手に変えてしまったから、こんな「前代未聞」の数字になったものだ。(下の追記にあるように、気象庁の最初の発表は7.9、それが8.4、ついで8.8、そして9.0に増やされていった)。

 いままで気象庁が長年、採用してきていて、たとえば「来るべき東海地震の予想マグニチュードは8.4」といったときに使われてきた「気象庁マグニチュード」だと、いくら大きくても8.3か8.4どまり。それを私たち学者しか使っていなかった別のマグニチュード、「モーメント・マグニチュード」のスケールで「9.0」として発表したのである。

  すべてのことを「想定外」に持っていこうという企み(あるいは高級な心理作戦)の一環なのではないだろうか。

【2011年3月21日に追記2(3月29日に追加)。東日本を襲った巨大地震(東日本大震災。東北地方太平洋沖地震)で】

 今回の気象庁によるマグニチュードの数値の変更(増大)の経過は、こうなっている。

●3月11日の地震直後にNHKテレビで放送された緊急地震速報では、震源の位置は画面に表示されていたが、マグニチュードは表示されていなかった。

●地震から数分~10分くらいたってから、気象庁から数値が来て、テレビ画面にはマグニチュード7.9が表示された。この値は緊急地震速報のデータ処理過程で求めた数値である。これは、従来からの「気象庁マグニチュード」による数値だ。

  今回の大地震では地震断層が破壊していった時間は全部で約150秒と長かった。他方、緊急地震速報でははじめの数十秒間のデータだけを使ってデータ処理をしているので、今回のような地震では、マグニチュードや震度を正しく予測して表示することができなかった。

じつはこのことは、地震直後に出した津波警報(大津波注意報)が「小さく予報しすぎた」ことにつながった。最初の警報発表は14時49分だったから、気象庁は地震後3分で出したことになる。この意味では十分に早かった。しかしそのときの警報は「岩手県と福島県の沿岸は「3メートル以上」だった。その後、15時14分になって、「10メートル以上」と変更になった。この時間は地震後30分近く経っていて、津波が海岸にすでに到達してしまった時間である。

つまり最初に警報した津波の高さは低すぎたのであった。津波警報がオオカミ少年になっていたこともあって、「3メートル以上」という津波警報を聞いた人たちに油断がなかったとはいえなかったのではないだろうか。

つまり緊急地震速報のデータ処理過程で求めた数値では、この種の大地震の姿をとらえられていなかったのである。このマグニチュード7.9は「緊急会話検測による値(速報値)」というもので、いくつかの地点で、その時刻までに観測された地震計の最大振幅から求めたものだ。

しかし、今回のような 巨大な地震では、地震断層の破壊が広い領域に進んでいくのに、かなりの時間(今回は150秒程度)を要するから、このような緊急地震速報によるマグニチュード決め方に使っている、地震計新記録の最初だけの、つまり短い時間の地震波形は、破壊の全体がつかめなかった。こうして速報値のマグニチュードは精度が劣るものになり、その結果、最初の津波警報が小さめのものになってしまったのである。(津波警報の問題点は別頁にある)

●16時直前にマグニチュード7.9からマグニチュード8.4への変更が放送された。このマグニチュード8.4は「気象庁マグニチュード」である。これが気象庁マグニチュードとしての最終的な数値であろう。気象庁マグニチュードは、国内にある「気象庁の地震計が記録した地震の大きさ」から計算しているものだ。

●その後、17時30分にマグニチュード8.4からマグニチュード8.8に変更された。このマグニチュード8.8は「モーメント・マグニチュード」の数値である。モーメント・マグニチュードは気象庁マグニチュードとは違い、「地震の震源で、どのくらい大きな地震断層が、どのくらいの長さで滑ったか」を解析して求めるマグニチュードだ。

モーメントマグニチュードは気象庁マグニチュードとは決定の原理が違う。気象庁マグニチュードではこのような大きな数値は出ない。なお、マグニチュードの決め方はこのほかにもあり、全部で7通りもある。

■気象庁のホームページによれば「地震は地下の岩盤がずれて起こるものです。この岩盤のずれの規模(ずれ動いた部分の面積×ずれた量×岩石の硬さ)をもとにして計算したマグニチュードを、モーメントマグニチュード(Mw)と言います。(中略)その値を求めるには高性能の地震計のデータを使った複雑な計算が必要なため、地震発生直後迅速に計算することや、規模の小さい地震で精度よく計算するのは困難です」とある。つまり、これを楯に、気象庁は気象庁マグニチュードに、ずっと固執してきたのである。

気象庁マグニチュードは、震源から離れた場所にある地震計のデータを含めた多数のデータを使い、周期5秒前後の地震波の最大振幅で計算するものだ。東北地方太平洋沖地震のように、もっと長周期の成分が多い巨大地震では、マグニチュードを十分に表せないことは、かねてから指摘されていた。

 さて、この1時間半のあいだに、なにがあったのか、まだ分からない。しかし、気象庁がモーメントマグニチュードを日本に起きた地震のマグニチュードとして発表したのはこれが最初だったし、気象庁は前歴もあることだから、現場の判断とはとうてい思えず、なんらかの外部からの”入力”があったことは十分に考えられる。

ちなみに、福島原子力発電所1号機の冷却装置の注水が不能になったのは11日午後4時36分。地震後2時間ほどのことだ。消防のポンプ車で真水を注入していたが、その真水の供給も途絶え、原子炉格納容器の水位は低下。冷却機能を急速に失って、翌12日午後3時半に1号機は水素爆発を起こした。

●3月13日、つまり地震から2日後の12時22分の気象庁発表で、「データを精査した結果として」、マグニチュード8.8からマグニチュード9.0に変更された。このマグニチュード9.0も「モーメント・マグニチュード」である。フィンランドやオーストラリアなど遠い場所での地震計の記録を参照したら、この値が適当だったと気象庁は言っている。

 じつは気象庁では、かねてから、気象庁マグニチュードのほかに、気象庁内部ではモーメント・マグニチュードも計算してきていた。それは、北西太平洋やインド洋で発生する大地震とそれによる津波について、関係国に情報を提供してきたが、このときに、気象庁マグニチュードでは国際的に通用しないし、津波予測に適していなかったからである。

 今回はその数値を援用して、モーメント・マグニチュードの数値が国内の一般向けとして、(気象庁としてははじめて)発表されたのであろう。

 しかし、もし気象庁がモーメントマグニチュードを大地震に適用するのなら、いままで通用してきたマグニチュードを見直す必要がある。たとえば過去の大地震(西暦869年に起きて、今回のように津波が海岸から5~6キロメートルも入ったことが分かっている貞観地震はマグニチュード8.3とされている)や、マグニチュード8.4(気象庁マグニチュード)に耐える設計になっているはずの浜岡原子力発電所が、「またも想定外の地震」に襲われることになりかねない。


24分30秒あたりから、大切なことを言っている。3月14日の午後11時に下の3号機の爆発が起きている。その後、14日、15日、16日と、放射線量が異常に高くなっている。この段階で炉心溶融、圧力容器・格納容器の破損が生じていた、と考えるべきだと言っている。



下の記事でも、フランスの機関は、3号機の爆発で黒煙が上がったのは、炉心溶融物がコンクリートと化学反応したためだ、と指摘している。そうすると、圧力容器も格納容器もコンクリートの床もダメージを受けるので、放射性物質が直接、土壌に出ることになる。その後の、汚染水および海洋汚染の推移を考えると、合理的な推論と思う。

「圧力容器と格納容器の健全性は保たれている」

と繰り返していたが、あれは希望的観測に過ぎなかったのである。

尚、大前氏は、原子炉が廃棄物を捨てる場所のない、トイレのないマンションであることを指摘し、しかも高速増殖炉をやめろ、と言っている。もしこの二点を認めるなら、原子力は決してペイしないことになる。というのも、前者がなければ廃棄物の保持コストが無限大となるし、後者をやめるなら、プルトニウム増殖サイクルという無限に増える「夢の発電」(悪夢だと思うが)が実現しないので、原子力はコスト割れになるからである。

ところが大前氏は、原子力発電をやらないと電気が足りないからやらざるを得ない、と言っている。これは矛盾である。高レベル廃棄物の捨て場所がなく、高速増殖炉も使えないなら、原子力は赤字になる。プルトニウムをウランに混ぜて燃やすMOXを大前氏は肯定しているようだが、灯油ストーブにガソリンを混ぜるようなやり方を、なぜ受け入れられるのか、私には理解できない。

また大前氏は、再臨界があったとしても、大事故にはならないと言っているが、私は水蒸気爆発を軽視しすぎだと思う。2700度のものが、大量の水と接触したら、大爆発になるのではあるまいか。また、大前氏も、IAEAと同様に、どれかの原子炉が再臨界を起こすことによって、作業員が近づけなくなり、冷却ができなくなる、という連鎖的拡大のシナリオを無視している。こんなこと、絶対になってほしくないが、なぜこの可能性を無視するのか、私にはわからない。



================
【3月26日 AFP】フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は25日、地震と津波で深刻な状態に陥った東京電力福島第1原子力発電所1、2、3号機の「先行きは不透明」で、このような状態は「数週間、あるいは数か月」続く可能性があるとの見通しを示した。

 IRSNは、3号機の圧力容器で放射能漏れが生じた場合を想定して、今後考えられる環境汚染のいくつかのシナリオを検討した。

 3号機では今週、黒煙が上がったが、IRSNによると黒煙の原因の1つとして、コリウム(炉心溶融物)とよばれる放射性のスラグが格納容器のコンクリートと化学反応した可能性が考えられるという。

 コリウムが格納容器のコンクリートの床や、その他の放射性物質を封じ込めるための設備を溶かしてしまえば、放射性物質が土壌を通じて環境に放出される危険性が高まるという。

 東京電力(Tokyo Electric Power Co.、TEPCO)は25日3号機の圧力容器が損傷を受けている可能性があると述べた。経済産業省原子力安全・保安院(NISA)の西山英彦(Hideyuki Nishiyama)審議官も、原子炉が損傷を受けた可能性が高いと述べている。(c)AFP

【参考】フランス放射線防護原子力安全研究所の福島原発情報(英語・日本語)


http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2792610/7005562
原発というのは、徹底的に、とんでもないシステムである。

(1)濃縮ウランは100%アメリカ依存なので、こちらに交渉権はない。
(2)膨大な放射性廃棄物が出るが、捨てることも出来ない。
(3)特に、高レベル廃棄物は、数万年も持ち続けねばならない。
(4)事故が起きたらとんでもないことになり、何兆円も保障を払わねばならない。
(5)廃炉にするのに膨大なコストが掛かる。
(6)運営自体が非常に危険であり、つねに弱い人を被曝させねば維持ができない。

というわけで、総コストを真面目に計算したら、絶対に赤字になる。こんなものに頼るのは、そもそもおかしい。その上、日本は、

(★)地震津波列島で、しかも原発があるのは大抵、地震の多いところになる。

という事情がある。こんな島に原発を沢山つくったこと自体が、人類と地球に対する犯罪なのである。


===========
福島第一原発、廃炉は数十年がかり

 危機的な状態が続く東京電力福島第一原子力発電所1~4号機。

 東電の勝俣恒久会長は30日、これら4基を廃炉にする方針を示したが、喫緊の課題は、原子炉の冷却や放射能に汚染された大量の水の処理だ。廃炉に持ち込むには長い時間がかかり、専門家は「すべてを終わらせるには数十年がかりの作業になる」と指摘する。

 ◆短期的課題

 目の前にある最大の課題は、高濃度の放射能に汚染された大量の水処理だ。作業用トンネル(トレンチ)にたまっている汚染水だけで、計約1万3000トン。このほか、量は不明だが、タービン建屋の地下にある大量の汚染水も除去しなくてはならない。

 汚染水を除去できれば、原子炉本来の効率的な冷却機能復活への道が開ける。しかし、現状では汚染水に阻まれ、原子炉の制御機器を動かす外部電源ケーブルすら敷設できていない。

 内部の放射線が強すぎて機器の修理ができなかったり、汚染水の排水ができなかったりして、電源が回復しないといった事態も想定される。漏えいが続くと、一時的な保管場所にしている外部タンクでは間に合わなくなる。関係者から「新たな貯蔵場所を、早急に確保しなければならない」という意見が出ているのには、こうした背景がある。

 汚染水を除去できたとして、同原発からの放射性物質の大量放出を止め、安全な状態に持ち込むには、原子炉を「冷温停止」と呼ばれる段階にする必要がある。杉山憲一郎・北大教授は「外部電源で本来の冷却装置を動かし、水を循環させることができれば、1~2日で冷温停止に導ける」と話す。廃炉に向け、核燃料をさらに冷やして取り出せる状態にするには、さらに数年はかかりそうだ。

 一方、仮設ポンプで炉心に水を送り続ける現状が続くと事態はより深刻になる。海老沢徹・元京都大原子炉実験所助教授は「核燃料は少しずつ冷えていくが、冷温停止には少なくとも数か月を要するだろう」と、推測する。このシナリオだと、水の注入量は増え、汚染水も増える。

 ◆長期的課題

 最終的な廃炉には、数十年の時間がかかる。国内の商用原発として、初めて廃炉作業に入った茨城県の日本原子力発電東海発電所では、1998年の営業運転終了後、2021年までかけて段階的に進めている。

 廃炉は、燃料を取り出し、放射線量の低減を待つ。この間、発電機など汚染の少ない設備を先に解体、最後に原子炉の鋼鉄容器などを切断し地下深くに埋める。現在は熱交換器などの撤去作業中だ。

 しかし、原子炉や建屋が破損した福島第一原発の例では、こうした通常の手順通りに解体できるか疑問だ。松浦祥次郎・元原子力安全委員長は「今回は汚染低減作業に非常に手間がかかる。廃炉は恐らく20~30年では終わらない」と語る。

(2011年3月31日09時21分 読売新聞)
1ベクレルというのは、放射線核種が毎秒1個崩壊する、という意味である。1立方センチ当たり、1166万ベクレルというのは、1グラムの水のなかで、毎秒1166万個の放射性物質が崩壊している、という意味である。以前、東京の水が乳幼児に相応しくないという勧告が出たが、あのときは、210ベクレルのヨウ素が1キログラムあたり100ベクレルの基準値を二倍超えた、というような値であった。1キログラム内に、毎秒100個、放射性のヨウ素が崩壊する、というような水準である。

これに対してトレンチ内の水は、1キログラムあたり、116億6千万個の放射性物質が崩壊して放射線を出している。「運転中の原子炉内並みの強さ」というから、これはもう、圧力容器も格納容器もダダ漏れ、ということではないかと思われる。

==========

福島第1原発:「トレンチ」から4万倍の汚染水 2号機

福島第1原発2号機の汚染水の様子
 東京電力は31日、福島第1原発2号機タービン建屋外の「トレンチ」と呼ばれる立て坑内の汚染水から、1立方センチ当たり1166万ベクレルの放射性物質が検出されたと発表した。運転中の原子炉内の水の約4万倍に当たる高濃度の汚染水が建屋外に漏れ出ていることになる。

 内訳は、ヨウ素131が690万ベクレル、セシウム134が200万ベクレルなど。同原発の南放水口(1~4号機用)近くでは海水から高濃度の放射性物質が検出されており、東電は「トレンチの汚染水との関連性は否定できない」としている。

 また東電は、1~6号機のタービン建屋脇の地下水(地下約15メートルから採取)の分析結果も初めて公表した。4号機は建屋周辺にがれきが多く調査できなかったが、最も高かったのは1号機で、ヨウ素131が1立方センチ当たり430ベクレルと、運転中の原子炉内並みの強さだった。それ以外の地下水からも、放射能はやや低いが核燃料由来とみられる放射性物質が見つかった。

 5、6号機は現在、核燃料が制御可能な「冷温停止状態」にある。地下水から検出されたことについて東電は、他号機の水素爆発などで放出された放射性物質が降下し、地下にしみ込んだとみている。【山田大輔、日野行介】
福島の原子炉は、熱くなった炉心に水を流して蒸気にし、それでタービンを回し、その蒸気を海水で冷やして水に戻し、それでまた炉心を冷やす、という構造になっている。今回、復旧したのは、その海水を取り込むポンプである。これがないと、炉心を冷やす水を冷やせないのである。

これは重要な進展である。しかし、問題は炉心を冷やす水の循環回路ができていないことである。

=======
東電は「原子炉に水を入れているだけの現状から、冷却システムを動かすことで、5、6号機のように早く安全な状態に持ち込みたい」と話す。
=======

となっているが、これは変な話である。まず、5号機、6号機は、爆発しなかったので、プールを冷やす回路が壊れていなかったと思われる。それゆえ、海水で冷却するシステムを復旧すれば、プールを冷やす水を冷やすことができて、冷温状態に持ち込めている。

しかし、1~4号機は炉心やプールを冷やす水の循環回路はおろか、圧力容器やプール自体がかなり損傷している。ここをなんとかしないことには、海水の冷却システムが復旧しても、冷やすものがない。「冷却システムを動かすことで」の「冷却システム」とは、

【炉心やプールを冷やす水を循環させる回路】+【海水でその水を冷やす回路】

の二重回路のことであるはずだが、肝心の前者の修理は、全く進んでいない。なぜなら、タービン室の下部に高濃度の汚染水が溢れているからである。その上、たとえ回路が修復されたとしても、圧力容器の底が抜けているなら、水はそこからダラダラ流れていくので、まともに循環などしない。

「原子炉冷却本格化へ」

という異常に楽観的な見出しを毎日新聞が付けた理由が、私にはわからない。


==================
福島第1原発:海水ポンプ復旧にめど 原子炉冷却本格化へ

 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発で31日、原子炉の冷却システムを支える海水ポンプの復旧にめどが立った。今後、ポンプと外部電源をつなぐ作業に入る。正常に働けば、原子炉の冷却に向けた対策が本格化する。

 海水ポンプは、炉内から出てきた高温の水を冷ます熱交換器に、常に冷たい海水を供給するための機器。津波ですべてが電源とともに動かなくなり、1~4号機では原子炉や使用済み核燃料プールの冷却ができず水素爆発などが起きた。一方、5、6号機では仮設の海水ポンプを動かすことで燃料プールを冷やし、制御可能な「冷温停止」にすることに成功している。

 東電はすでに2、3号機で仮設海水ポンプの設置を完了。1、4号機にも設置の見通しが立った。中央制御室まで来ている外部電源に接続し、海水ポンプによる冷却システムの復旧を急いでおり、東電は「原子炉に水を入れているだけの現状から、冷却システムを動かすことで、5、6号機のように早く安全な状態に持ち込みたい」と話す。

 一方、1~4号機のタービン建屋地下やトレンチ(立て坑)内の汚染水について東電は、その水位を無人カメラで常時監視することを決めた。2日までにカメラを設置する。2号機では水表面の放射線量が毎時1000ミリシーベルト超と高く、作業員が近づくことが難しいため。どこに設置するかは検討中という。【関東晋慈、松本惇、酒造唯】

毎日新聞 2011年3月31日 22時50分
ここで出ているシミュレーションは、別に専門家でなくとも、多少とも原発のことを知っていれば、適当なデータを集めて、鉛筆舐め舐めできるような話である。

この緊急時の電源喪失という問題は、原発のアキレス腱なのだ。あのチェルノブイリの事故も、この問題と関係している。電源が失われたときに非常用ディーゼル発電機が起動するまでに多少の時間が掛かる。場合によってはうまく起動しない可能性もある。それが極めて危険なので、その間を、タービン発電機のローターの慣性回転を利用して、短期的に発電してしのぐというシステムがあった。ところが、このシステムのテストができない以前に開業してしまい、やむを得ず、原子炉が動いているときにこのテストを無理矢理やったのだ。それが失敗してあの大事故を起こしてしまった。

================

原発の全電源喪失、米は30年前に想定 安全規制に活用(1/2ページ)

2011年3月31日16時39分 朝日新聞

 東京電力福島第一原子力発電所と同型の原子炉について、米研究機関が1981~82年、全ての電源が失われた場合のシミュレーションを実施、報告書を米原子力規制委員会(NRC)に提出していたことがわかった。計算で得られた燃料の露出、水素の発生、燃料の溶融などのシナリオは今回の事故の経過とよく似ている。NRCはこれを安全規制に活用したが、日本は送電線などが早期に復旧するなどとして想定しなかった。

 このシミュレーションは、ブラウンズフェリー原発1号機をモデルに、米オークリッジ国立研究所が実施した。出力約110万キロワットで、福島第一原発1~5号機と同じ米ゼネラル・エレクトリック(GE)の沸騰水型「マークI」炉だ。

 今回の福島第一原発と同様、「外部からの交流電源と非常用ディーゼル発電機が喪失し、非常用バッテリーが作動する」ことを前提とし、バッテリーの持ち時間、緊急時の冷却系統の稼働状況などいくつかの場合に分けて計算した。

 バッテリーが4時間使用可能な場合は、停電開始後5時間で「燃料が露出」、5時間半後に「燃料は485度に達し、水素も発生」、6時間後に「燃料の溶融(メルトダウン)開始」、7時間後に「圧力容器下部が損傷」、8時間半後に「格納容器損傷」という結果が出た。

 6時間使用可能とした同研究所の別の計算では、8時間後に「燃料が露出」、10時間後に「メルトダウン開始」、13時間半後に「格納容器損傷」だった。

 一方、福島第一では、地震発生時に外部電源からの電力供給が失われ、非常用のディーゼル発電機に切り替わったが、津波により約1時間後に発電機が止まり、電源は非常用の直流バッテリーだけに。この時点からシミュレーションの条件とほぼ同じ状態になった。

バッテリーは8時間使用可能で、シミュレーションと違いはあるが、起きた事象の順序はほぼ同じ。また、計算を当てはめれば、福島第一原発の格納容器はすでに健全性を失っている可能性がある。

 GEの関連会社で沸騰水型の維持管理に長年携わってきた原子力コンサルタントの佐藤暁さんは「このシミュレーションは現時点でも十分に有効だ。ただ電力会社でこうした過去の知見が受け継がれているかどうかはわからない」と話す。

 一方、日本では全電源が失われる想定自体、軽視されてきた。

 原子力安全委員会は90年、原発の安全設計審査指針を決定した際、「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又(また)は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない」とする考え方を示した。だが現実には、送電線も非常用のディーゼル発電機も地震や津波で使えなくなった。

 原子力安全研究協会の松浦祥次郎理事長(元原子力安全委員長)は「何もかもがダメになるといった状況は考えなくてもいいという暗黙の了解があった。隕石(いんせき)の直撃など、何でもかんでも対応できるかと言ったら、それは無理だ」と話す。(松尾一郎、小宮山亮磨)