もともと、日本の有力新聞は、事件を物語風に語った講談風の読み物として始まり、真面目な記事だけ載せていた新聞を圧倒して大企業となった。ところが、いつの間にか、そういう読み物は消えていって、自分が潰した真面目な記事だけ載せる媒体になった。現在では産経新聞だけが、そういう読み物新聞の伝統を継承している。さっそく、原発事故の読み物記事が出ていた。

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綱渡りの注水を続けていた1号機では炉内の水位が低下を始め、計器は午後0時半に4メートルある燃料棒のうち1・7メートルが水面から露出していることを示していたた。

 「計器が故障している可能性があります」。東電は、より多くの量を確保できる海水の注入を見送り、保安院も報告をうのみにする。午後3時36分、1号機で水素爆発が起き、建屋上部が吹き飛んだ。
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ここが白眉である。

「常に最悪の事態を想定して、それを防ぐための最大限の力を投入していく」

というのが危機対応の定石だが、それをやらずにモグラたたきをしている、と指摘し、その原因は、

原子力安全欺瞞言語にやられて事態が見えなくなっている

ことだ、と主張してきた。そのために彼らは常に楽観的な情報に飛びつくのである。

危機を乗り越える第一歩は、

名を正す

ことだと私が繰り返し言ってきたのは、そういう意味である。

上の場面は、この決定的瞬間に「計器が故障している可能性があります」というご都合主義的楽観主義が支配していたことを如実に示している。そういえば数日前に1号機の放射線レベルが跳ね上がったが、「計器が余震で故障した」ということで、その後、発表されなくなってしまったのだが、この記事を見て、いや~な気持ちになった。

それから、電源車の場面が決定的である。

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各地から53台が福島に向かい、午後9時すぎに東北電力から2台が到着。12日午前0時すぎには、さらに2台も駆け付けた。

 だが、弁を開けるには、低電圧の電源が必要だったが、4台はいずれも高電圧車だった。電圧を変換しようとしたが、がれきに阻まれ、ケーブルの長さが足りず届かない。原子炉のつなぎ込み口も、津波で水没していた。報告を受けた経済産業省原子力安全・保安院の幹部は、力なく笑うしかなかった。
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つまり、

単一の電池がいるのに、単三しかない、

というような感じである。なぜこんな間抜けなことで、我々の運命が左右されねばならないのかというと、これまた、

原発ブラックアウトは想定外事象

だという原子力安全欺瞞言語のせいである。もし、何らかの理由で完全に電源がなくなる、という事態を想定さえしておれば、電源車をいくつか用意するくらい安いものである。しかしそうできない理由がある。それは次の記事に書いておこう。

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原発事故1カ月…水失った原子炉、崩れた「神話」
2011.4.9 08:11 (1/3ページ)

「なんとしても燃料棒冷やして」

 東日本大震災から11日で1カ月となる現在も収束のめどすらたたない東京電力福島第1原子力発電所。すべては原発の安全の生命線である「水」が失われたことから始まった。

 「2号機の原子炉に注水ができなくなっています」

 3月11日午後2時46分の地震発生から6時間後。政府の原子力災害対策本部で、現地からの報告を聞いた原子力安全委員長の班目(まだらめ)春樹は、背筋が凍り付く思いがした。水喪失が何を意味するのか。安全性にお墨付きを与えてきた班目は、知りすぎていた。

 「なんとしても燃料棒を冷やしてください。炉内の圧力を下げるための排気(ベント)も必要です」

 班目は本部長の首相、菅直人に繰り返し具申する。

 2号機の注水停止は、やがて混乱と錯綜(さくそう)による誤報と判明する。だが1号機では班目の頭をよぎったシナリオが進行しつつあった。

 時計の針を少し戻す。地震からほぼ1時間後。東京都千代田区の東電本店にいた原子力担当副社長の武藤栄は、「様子を見てくる」と、ヘリで飛び立った。地震発生時に運転中だった1~3号機は、核分裂を止める制御棒が挿入され、自動停止し、冷却装置も作動していた。

だが想定を超える約14メートルの津波で事態は一変。13台あった非常用発電機が6号機の1台を除きすべて冠水。午後4時36分、1~3号機は「全電源喪失」という緊急事態に陥った。

 「早く電源車をかき集めろ」。武藤は現地対策本部で声を張り上げた。

 原子炉には余熱で発生した蒸気を利用して原子炉に注水できる非常用冷却システムがある。だが、バッテリーが切れると、原子炉の弁が閉じてしまい注水ができなくなる。タイムリミットは、7~8時間。

 各地から53台が福島に向かい、午後9時すぎに東北電力から2台が到着。12日午前0時すぎには、さらに2台も駆け付けた。

 だが、弁を開けるには、低電圧の電源が必要だったが、4台はいずれも高電圧車だった。電圧を変換しようとしたが、がれきに阻まれ、ケーブルの長さが足りず届かない。原子炉のつなぎ込み口も、津波で水没していた。報告を受けた経済産業省原子力安全・保安院の幹部は、力なく笑うしかなかった。

 「なぜ東電はベントをやらないんだ」

 対策本部で経済産業相、海江田万里はいらだっていた。12日午前3時に会見までして指示を出したが、東電からは何の連絡もない。

 同じころ武藤は愕然(がくぜん)として部下の報告を聞いていた。「中央制御室の停電で準備が思うように進みません」。暗闇の中、手動による作業は難航した。

 午前5時、保安院審議官の中村幸一郎は会見で、「1号機でベントをやる。国内では例がない」と決意を示した。原子炉内の放射性物質(放射能)と一緒に蒸気を放出するベントは東電には重い決断だった。

午前7時には菅が、後にベント作業の妨げになったと批判された視察に到着する。東電には首相に放射能を浴びせないよう配慮するような余裕はなかった。電源喪失で東電は弁を開けたくても開けられなかったのだ。ベント開始は、午後2時30分。海江田の指示から10時間が経過していた。

 綱渡りの注水を続けていた1号機では炉内の水位が低下を始め、計器は午後0時半に4メートルある燃料棒のうち1・7メートルが水面から露出していることを示していたた。

 「計器が故障している可能性があります」。東電は、より多くの量を確保できる海水の注入を見送り、保安院も報告をうのみにする。午後3時36分、1号機で水素爆発が起き、建屋上部が吹き飛んだ。

 原子炉内では、露出した燃料棒が高温になって溶け、放射性物質が漏れ出す「炉心溶融」が起きていた。班目が恐れた国内最悪の原発事故が現実となった。2、3号機もやがて同じ道をたどり始める。爆発は、「7つの場面」で連鎖した幾重の危機の一つでしかなかった。(敬称略)



【用語解説】炉心溶融

 原子炉内の燃料棒が水から露出し、放射性物質の「崩壊熱」で外側を覆うジルコニウム合金製の「被覆管」が溶け、放射性物質が漏れ出す深刻な原発事故。燃料棒の大半が溶けて原子炉圧力容器内で落ちる「全炉心溶融」(メルトダウン)になると、容器が溶けて穴が開き、外部に漏出。水が一瞬で水蒸気になり爆発し、広範囲に放射能がまき散らされる危険性がある。
http://ameblo.jp/anmintei/entry-10854295440.html

http://ameblo.jp/anmintei/entry-10855942794.html

http://ameblo.jp/anmintei/entry-10859479638.html

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つまり、どんな物質でも、生態系が処理してくれるものを、処理できる量だけ、処理できるように出すなら、何も問題はない。

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@KatuhikoHamaura
濱浦 勝彦
漁師はウニの殻や昆布の端を海に棄てたら、摘発のため私服で張りこんでいる海上保安官に不法投棄の罪で逮捕される。海から出たものを海に戻すことすら罪になるのに放射性物質を垂れ流してもなぜ誰も
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というつぶやきが出ていたが、ウニの殻や昆布の端を海に戻すのは、正しい行為である。なぜならもともと、そこにあったのだから、海に戻しても、生態系が何らかの形で処理する。処理される、ということは、生態系が栄養として利用した、ということである。

一方、放射能を海に流すのは全く正当化することができない。放射性同位体は、化学的機能が放射性を持たない同位体とほぼ同じなので、生物は同様に取り込んでしまう。取り込むと、内部被曝を起こし、遺伝子に傷を受ける。放射能を維持する限り、生態系を渡り歩いて、生命を傷つけつづける。

このように考えれば、何を環境中に出してよくて、何が悪いかハッキリする。ダメなものは薄めたって何したってダメである。出して良いものでも、出してはいけない出し方がある。たとえばプラスチックなどは、そのままでは利用されないから出してはならず、高温で燃やせば良く、その熱を利用すべきである。生ごみなどは燃やしてはならず、人間に都合の悪いばい菌が繁殖しないように処理して、そのへんにばら蒔けば生き物が食べてくれる。

資源ごみなども、キチンと自治体で回収して処理したりしてはいけない。出来る限り回収屋さんが欲しい物は持って行ってもらって、残ったどうしようもないものだけを自治体が処理すべきである。人間の経済活動だって、生態系の一部なので、誰かが必要として処理するものは、それに任せねばならず、どうしようもないものが、なるたけ出ないような「人間活動の生態系」をどうやって構築したらいいかを考えねばならない。それでも本当にどうしようもないものだけは、政府が何らかの形で引き取るべきだが、出来る限り、そういうものが出ないように「人間活動の生態系」を構成すべきなのである。

(つづく)
メチャクチャ怖いことになっている。

出てきた高濃度汚染水を、タンカーで別の原発に運んで処理する、というピストン輸送システムを、なぜ構築しないのであろうか?????

このままやっていたら、アウトになる日は近い。

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福島第1原発:4号機プール、再び水温上昇

2011年4月13日 10時23分 毎日新聞

 東日本大震災の4日後に原子炉建屋が爆発で大破した東京電力福島第1原発4号機で、使用済み燃料プールの水温が90度まで上昇していることが13日、東電の調べで分かった。付近の放射線量も毎時84ミリシーベルトと極めて高い。通常は、プールわきを普段着で歩くことができる0.0001ミリシーベルトだ。冷却水の注入は、プールの水があふれないよう蒸発分の補充にとどまるため、十分な冷却ができないという「ジレンマ」が改めて浮き彫りになった。

 4号機のプールには1331体の燃料集合体がある。このうち548体は炉内工事のため全量を取り出したもので、通常の使用済みの燃料棒に比べ、高い熱を放出する可能性がある。燃料の余熱でプールが沸騰し、露出した燃料棒が過熱して被覆管が水と反応。水素が発生して爆発したとみられる。コンクリート圧送車で水を補給後、燃料棒の露出は収まったとされていた。

 東電は12日、燃料棒の損傷度を調べるためプールの水を遠隔操作で採取した。この時、水温が90度と判明。爆発前日の84度を上回った。また、プールの約6メートル上空で通常の10万倍以上となる高い放射線量を計測した。燃料は水に覆われ、露出していなかったという。高線量の原因について、東電は「プール内の燃料の損傷か、圧力容器内の物質が出た可能性などが考えられる」と推測し、放射性物質の成分を分析している。

 現在、圧送車を使ってプールを冷やすための水を補給しているが、その量を増やせば、放射性物質に汚染された水があふれて対応が難しくなる。一方、余熱で蒸発した分だけを補給する現状では沸騰は避けられない。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「(海水で冷やす)通常の循環冷却装置を早く復旧させたいが、建屋内の放射線量が高く作業ができない」と話す。【山田大輔】
情報隠しを否定した、というのはその通りだと思う。彼らは、自分が認識した情報はすみやかに出している。問題は、

不都合な情報を認識しないようになっていること

なのだ!!隠しているならまだマシなのだが、長谷川さんには見えている事態が示す明白な情報が、斑目さんたちには見えないので、対応まで遅くなる。それが致命的なのである。事態が見える人に交代するしかないのだが。。。。

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福島第1原発:「情報遅れ」海外メディアが疑念

 福島第1原発事故の国際評価尺度(INES)がレベル7になったことは、世界各国のメディアが速報した。菅直人首相は12日の会見で情報隠しを否定したが、国際社会では、日本政府が適切なタイミングで必要な情報を出していないのではないかという疑念が出されている。一方、各国の報道は、パニックの発生を警戒してか、同じレベル7だったチェルノブイリ原発事故とは違うことや自国の環境に影響がないことを強調した。

 ◇世界各国が速報
 菅首相は会見で「私が知った事実関係で情報を表に出さないようにするとか、隠すように言ったことは何一つない」と強調した。日本政府の情報公開が遅すぎるという批判を意識したものだ。

 情報公開の遅れは、情報そのものへの疑念にもつながる。韓国のハンギョレ新聞(電子版)は「日本はチェルノブイリ原発に次ぐ事故と分かっていながら、レベルを低めに発表していたのではないかという疑惑も出ている」と伝えた。

 約2300万人という人口規模からは世界でも突出した金額となる130億円の義援金が集まった台湾でも、原発事故では対日不信が強い。台湾紙・経済日報は12日の社説で、日本側が周辺国・地域との情報共有に積極的になるよう共同歩調で圧力をかける必要性を説いた。

 国際原子力機関(IAEA)のあるウィーンでも、専門家から「事故は安定に向かっていると聞いてきただけに違和感がある」という声が出た。

 一方、英ガーディアン紙(電子版)は「日本の当局者たちは最近までレベル5から上げる必要はないと示唆していた」と批判的に書きつつ、「チェルノブイリ事故と同じレベルに引き上げたのは行き過ぎだ。悲観的になりすぎている」という米サンディエゴ州立大の専門家、ムラリー・ジェネックス准教授の見方を紹介。シンガポールのテレビ「チャンネル・ニュース・アジア」も「福島の事故は格納容器内で起きており、チェルノブイリとは異なる」と説明した。

 チェルノブイリとは違うという論調は他国でもみられる。

 ロシア科学アカデミー・原子力エネルギー安全発展問題研究所のアルチュニャン副所長は12日、ノーボスチ通信に「(レベル引き上げは)専門家が前から知っていた事実を確認したものだ」と話す一方で、放射性物質による汚染については「レベル引き上げでロシアを脅かすものは何もない」と述べた。

 さらに、ロシア国営原子力企業ロスアトムのノビコフ広報局長は「レベル7は行き過ぎで、正当なレベルは最大でも6。最初の評価は低すぎたが、今度は逆に高くなりすぎた」と指摘した。

 中国でも中央テレビが「放射性物質の放出量はチェルノブイリの10分の1」と強調しながら、「レベルは上がっても影響は数十キロの範囲に限られ、中国の環境に大きな影響は出ない」とする専門家の見方を紹介。原発建設に積極的なインドでは、プラサード駐日大使がインドのテレビ各局に「東京は平穏だ。レベル7になったのは、過去1カ月間の放射性物質放出量からの判断だ」と述べ、国民に冷静な対応を求めた。

 自国への影響を否定する記事などが目立つ背景には、パニックを防ごうという配慮もありそうだ。韓国紙記者は「日本政府の対応への批判とは別問題だ。科学的知見に基づき、心配しなくてよいと読者に伝えることは必要だ」と話す。

 ただ、事故収束の見通しが立たないことへの不安感は根強い。韓国・聯合ニュースは、強い余震が続き、放射性物質の放出が止まっていないことから「(チェルノブイリと)どちらが深刻か判断するのは容易ではない」と指摘した。

毎日新聞 2011年4月12日 21時01分(最終更新 4月12日 23時22分)
この記事は、正常なものだと思う。私が間違いだと思うのは、

チェルノブイリでは百数十人の職員や消防士が高線量の被ばくによる急性放射線障害を起こし、周辺住民約500万人のうち、事故当時子どもだった6000人以上が後に甲状腺がんになった。国際機関の正式な報告では、これ以外の放射線による健康影響は認められていない。

という部分で、「国際機関の正式な報告」という変な書き方をすべきではない。それに、住民が500万人もいれば、癌や白血病になる人がそもそも何割もいるのであるから、その人が、「放射線による健康影響」で癌になったのかどうか、よくわからなのが問題なのである。

日本でも、年々、がんで死ぬ率が上昇しているが、その最大の理由は寿命が伸びたことである。今後も癌の率が増えるはずであって、それが高齢化によるものか、福島原発のせいか、見分けるのは難しい。しかし、数百人か何千人かが放射線のせいで癌になっても、母集団が大きければ、そのくらいでは「目に見えて増えた」とは思えない。それが放射能の嫌なところである。

いずれにせよチェルノブイリ並、ということで、言語が正常化し始めたのは間違いないと思う。一ヶ月前に、やっておけばこのような事態を避けられたであろうに。

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福島第1原発:最悪評価、世界に衝撃…レベル7

 政府は12日、東京電力福島第1原発1~3号機の事故を、国際的な原子力事故の評価尺度で最悪の「レベル7」と暫定評価した。レベル7は、過去には旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)しか例がない。人類史上に残る深刻な事故に肩を並べた「フクシマ」のニュースは世界を駆け巡った。だが、チェルノブイリと福島第1とでは、原子炉の構造や事故の様相に大きな違いが指摘されている。【中西拓司、奥山智己、須田桃子】

 ◇「同列」に戸惑いも
 「福島では急性の大量被ばくは発生していない。原子炉圧力容器は原形をとどめて働いており、放出された放射性物質は10分の1。チェルノブイリとはまったく異なる」

 12日、会見でレベル7への評価引き上げを発表した経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、チェルノブイリとの違いを強調した。

 チェルノブイリ原発は、日本の原発とは構造が異なる。炉内に燃えやすい黒鉛を使用し、放射性物質を封じ込める原子炉格納容器がない。事故では、出力が急上昇して原子炉や建物が水蒸気爆発によって吹き飛び、黒鉛火災が発生して大量の放射性物質が放出された。

 石川迪夫(みちお)・日本原子力技術協会最高顧問(原子力工学)は「火災と核燃料の崩壊熱で約2800度の高温状態が4、5日続き、ウランやプルトニウムなどあらゆる種類の放射性物質が蒸発して放出された。福島はある程度冷却されているので、揮発性の高いヨウ素などしか出ていない。個人的にはレベル6だと思う」と話す。

 宮崎慶次・大阪大名誉教授(同)は「(急性被ばくによる死者が出た)チェルノブイリと同列に扱われることについては戸惑いもある」としながらも、「チェルノブイリの事故は1基だったのに対し、今回は1~3号機に加え、核燃料プールなども損傷する複合事故だったことがレベル引き上げにつながった」と見る。

 一方、医療放射線防護連絡協議会の菊地透・総務理事は「事故当初、保安院は評価をレベル4から5に引き上げたが、海外の受け止めは当時からレベル7だった。こうした過小評価が対応の遅れにつながった面もある」と指摘する。

 ◇依然、大量放出の恐れ

 今回の暫定評価は大気中の放射性物質の推定放出量に基づいたもので、海洋や土壌への放出量は含んでいない。政府が公表した37万~63万テラベクレルという放射性物質の放出量について、東電は「元々あった燃料の1%程度」と見ている。菊地さんは「1950年代以降に米ソなどが実施した大気圏内核実験による汚染に比べれば、わずかなレベルだ」との見解だ。

 チェルノブイリでは百数十人の職員や消防士が高線量の被ばくによる急性放射線障害を起こし、周辺住民約500万人のうち、事故当時子どもだった6000人以上が後に甲状腺がんになった。国際機関の正式な報告では、これ以外の放射線による健康影響は認められていない。

 佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は「福島の場合、(原子炉自体が爆発した)チェルノブイリより爆発の規模が小さく、放出された放射性物質の量も少なかったため、環境汚染の範囲は狭く、程度も低い」という。将来のがんの増加の懸念についても、「目に見えて増える事態は考えにくい」と否定的だ。

 佐々木さんは「今後の健康リスクを予測するためにも、住民の被ばく線量を調べることは大事。事故後の住民の行動を記録しておくべきだ」と提案する。

 一方、チェルノブイリ原発事故が約10日でほぼ収束したのに対し、福島第1原発事故は1カ月が経過しても、放射性物質の放出が続き、収束のめどが立っていない。

 東電の試算によると、事故がなければ4月11日時点で1~3号機の炉内と使用済み核燃料プールに残った放射性物質の総量は約8500万テラベクレルと見積もられていた。保安院は「今回の事故で炉内にあった放射性物質の約1%が放出された」とみている。仮に1~3号機の放射性物質がすべて放出されると、チェルノブイリの十数倍に上る。

 石川さんは「これまでの地震や事故で、原子炉が壊れて手薄になっている状態なので、何が起こるか分からない状況になっている。余震で原子炉圧力容器の底が抜けるようなことがあれば、内部の放射性物質が大量に出てくる事態も考えられる」と指摘する。

 各原子炉では高線量の汚染水や、度重なる余震により、原子炉内の冷却作業が思うように進まない。石川さんは「冷却水を循環させ、今より強く核燃料を冷やす必要がある。なるべく放射性物質を固体にし、外に漏れにくくしなければならない」と話している。

 【ことば】テラベクレル

 ベクレルは放射線を出す能力(放射能)の強さを表す単位。テラは「1兆倍」を表す。1テラベクレルとは、1秒間に1兆回の原子核崩壊が起きる際の放射能の強さを示す。標準的なラドン温泉1トンが持つ放射能は約1000万ベクレル。一方、シーベルトは放射線の人体への影響を示すもので、1ベクレルの放射性ヨウ素を経口摂取した場合の人体への影響は、0.022マイクロシーベルトとなる。

毎日新聞 2011年4月12日 22時41分(最終更新 4月13日 0時50分)
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福島県南相馬市の避難指示区域内に自宅があり、今は福島市の避難所で生活する農業、長谷川伍男さん(68)は「初めから最悪な事故と思っていた。政府や東京電力の会見内容は、難しい数字が多くて分かりにくいし内容が食い違うこともあるので信用できない」と憤った。
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当然である。長谷川さんにわかっていたのに、斑目さんたちはなぜわからなかったのか。原子力安全欺瞞言語のなせる技である。


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分かりにくい説明に憤りの声…レベル7引き上げ

福島原発
 「なぜ、今『最悪』と判断したのか」――。


 政府が12日、福島第一原発事故の深刻度について、暫定評価をチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」に引き上げたことは、放射能汚染が止まらない中で、波紋を広げた。

 福島県の避難住民は分かりにくい説明に憤りの声を上げ、観光庁などからは「観光客が激減するのでは」とため息も漏れた。専門家は、「状況は管理可能なので、冷静に情報に接して」と指摘している。

 ◆不信感◆

 福島県南相馬市の避難指示区域内に自宅があり、今は福島市の避難所で生活する農業、長谷川伍男さん(68)は「初めから最悪な事故と思っていた。政府や東京電力の会見内容は、難しい数字が多くて分かりにくいし内容が食い違うこともあるので信用できない」と憤った。

(2011年4月13日03時19分 読売新聞)
レベル7に行くということは、安全委でさえ23日に認識していたことが明らかになった。それでも何もしないで放っておいて、平気だったのである。

「今回はっきりしたので、ちゅうちょせずレベル7と発表した」

と言っているが、今回明らかになったのは、事故後、数時間でレベル7の水準に達して、それを遥かに超えてしまったのだから、当然である。「躊躇せずに」というのは、むしろ、彼らが多少は躊躇したことを意味している。

23日の段階でも安全委の見解を発表していれば、事態は違っていただろう。

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福島第1原発:「レベル7」事前に認識 安全委

 東京電力福島第1原発1~3号機の事故の深刻度を、政府が事故から1カ月たった12日、国際評価尺度(INES)で最悪の「レベル7」(暫定)に引き上げたことについて、「対応が遅すぎる」との批判が出ている。評価に協力した内閣府原子力安全委員会の代谷(しろや)誠治委員は同日の会見で「3月23日の時点で、放出量がレベル7に該当する可能性が高いと分かっていた」と発言。それでも経済産業省原子力安全・保安院に暫定評価の見直しを勧告しなかったことを明らかにした。

 保安院は3月18日、1~3号機について国内最悪の「レベル5」とする暫定評価結果を公表。約3週間後に2段階引き上げた。

 安全委は3月23日、原発から出た放射性物質の拡散予測結果を発表。その際、放出量が最大で数万テラベクレルになるとのデータを得ていた。保安院に見直しを求めなかった理由について代谷委員は、データの精度が十分でなかったことに加え「評価するのは保安院の役割」と説明した。

 レベル7は外界への放射性物質放出量が「数万テラベクレル(テラは1兆倍、ベクレルは放射線を出す能力の強さ)以上」を満たした場合に適用される。

 「レベル6(放出量が数千~数万テラベクレル)の段階があったのでは」との質問に保安院の西山英彦審議官は「データの制約があり、把握しないと正確な発信ができない。今回はっきりしたので、ちゅうちょせずレベル7と発表した」と、対応の遅れについての批判に反論した。【足立旬子、関東晋慈】

毎日新聞 2011年4月12日 21時10分(最終更新 4月13日 0時03分)
http://ameblo.jp/anmintei/entry-10854295440.html

http://ameblo.jp/anmintei/entry-10855942794.html

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生態系と生命にとって危険なのは放射性物質ばかりではない。人間が創りだす化学物質にも、毒性の強い物が多い。そういう物質を環境中に出すことは、放射性物質と同じ破壊性を持つ。そういうものは、決して使ってはいけないのである。

全ての物質には、何らかの不都合さがある。わかりやすい例が二酸化炭素である。二酸化炭素は生命にとって不可欠な物質である。植物が太陽エネルギーを光合成を通じて炭水化物と酸素とを創りだすことが、生態系にとって何よりも大切なことである。それゆえ二酸化炭素は命の源ということができる。

その二酸化炭素には周知のように温暖化効果がある。私はいわゆる「温暖化狂騒曲」は、非科学的であり、特に、二酸化炭素を出さないからと言って、死の灰を出す原発が「エコロジー」だと喧伝されたことは、最大級の欺瞞だと考えている。

しかしそれでも、温暖化効果がないわけではない。如何に命の源とはいえ、あまりにも二酸化炭素が多くなりすぎれば、なんらかの不都合が生じるのは、仕方のないことである。要するに全てはある適切な範囲に収まっていないと、生き物にとって都合が悪い。

生態系は、自らに都合の良い状態を自ら創りだす機能を持つ。たとえば二酸化炭素濃度が高くなれば何が起きるか。それは、植物にとって光合成を推進する上で有利な条件となるので、光合成が増える。光合成が増えれば、植物が繁茂する。繁茂したら光合成をする葉の面積が増えるので更に光合成が増える。そうやって、二酸化炭素濃度が自動調節されるのである。

そうなっていないとすれば、それは、
(1)人間の出す二酸化炭素が多すぎる、
(2)森林や海洋を破壊して、光合成を妨害している、
ためである。私は、(1)よりも(2)が問題だと考えている。原発など作らなくとも、(2)をなんとかすれば、光合成が勝手に増えて、二酸化炭素を減らすはずなのである。

(つづく)
東電が漸く、本当のことを言うようになった。
事態は絶望的であるが、良い兆候である。

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放出量は「チェルノブイリ超える懸念」 東電
2011/4/12 12:05 日経新聞

 東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は12日、福島第1原子力発電所の放射性物質の放出量について「1~6号機の核燃料物質の総量は把握しており、それらが全て外部に流出した場合は、チェルノブイリ原発事故を超える」との見方を示した。「現時点で放射性物質の放出が完全に止まりきっていないことを考慮すると超える可能性はある」という。〔日経QUICKニュース〕