原子力委員会が3月25日に「最悪シナリオ」を出していたことが、漸く公表された。
====
1~3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。
余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した。
====
このくらいで「最悪」と思っていたとは、随分、のんきである。どうして冷却作業ができないという条件で、水蒸気爆発が起きない、と想定できるのだろうか。それを説明して欲しい。何千度というような温度のドロドロの物体が、一挙に水にボチョンと落ちたら、すべての水が一挙に蒸発し、体積が千倍以上になる。これが水蒸気爆発だが、なぜこれを心配しなくて良いのか、どうして誰も説明してくれないのだろう。
それから、上の想定は、
現時点でも起きうる可能性がある
と考えたほうが好い。確かに冷却装置は多重化されてはいるだろう。しかし、
もう一発、大きな余震や津波が来たらどうなるのか?
あんなボロボロの原子炉になんとか水を突っ込んでいる「装置」など、装置とは呼ばない。応急のバンドエイドみたいなものである。大きな余震が来たら、バンドエイドはすぐ剥がれてしまう。そうなると、数時間のオーダーでまた炉心溶融が起きるのであり、そしたらもう何が起きるかわかったものではない。
=========
福島第1原発:「最悪シナリオ」原子力委員長が3月に作成
菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が試算、作成した「最悪シナリオ」の強制移住地域の範囲
東京電力福島第1原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が「最悪シナリオ」を作成し、菅氏に提出していたことが複数の関係者への取材で分かった。さらなる水素爆発や使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きた場合、原発から半径170キロ圏内が旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の強制移住地域の汚染レベルになると試算していた。
近藤氏が作成したのはA4判約20ページ。第1原発は、全電源喪失で冷却機能が失われ、1、3、4号機で相次いで水素爆発が起き、2号機も炉心溶融で放射性物質が放出されていた。当時、冷却作業は外部からの注水に頼り、特に懸念されたのが1535本(原子炉2基分相当)の燃料を保管する4号機の使用済み核燃料プールだった。
最悪シナリオは、1~3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した。原発から半径170キロ圏内で、土壌中の放射性セシウムが1平方メートルあたり148万ベクレル以上というチェルノブイリ事故の強制移住基準に達すると試算。東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同250キロの範囲が、避難が必要な程度に汚染されると推定した。
近藤氏は「最悪事態を想定したことで、冷却機能の多重化などの対策につながったと聞いている」と話した。菅氏は9月、毎日新聞の取材に「放射性物質が放出される事態に手をこまねいていれば、(原発から)100キロ、200キロ、300キロの範囲から全部(住民が)出なければならなくなる」と述べており、近藤氏のシナリオも根拠となったとみられる。
毎日新聞 2011年12月24日 15時00分(最終更新 12月24日 15時54分)
====
1~3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。
余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した。
====
このくらいで「最悪」と思っていたとは、随分、のんきである。どうして冷却作業ができないという条件で、水蒸気爆発が起きない、と想定できるのだろうか。それを説明して欲しい。何千度というような温度のドロドロの物体が、一挙に水にボチョンと落ちたら、すべての水が一挙に蒸発し、体積が千倍以上になる。これが水蒸気爆発だが、なぜこれを心配しなくて良いのか、どうして誰も説明してくれないのだろう。
それから、上の想定は、
現時点でも起きうる可能性がある
と考えたほうが好い。確かに冷却装置は多重化されてはいるだろう。しかし、
もう一発、大きな余震や津波が来たらどうなるのか?
あんなボロボロの原子炉になんとか水を突っ込んでいる「装置」など、装置とは呼ばない。応急のバンドエイドみたいなものである。大きな余震が来たら、バンドエイドはすぐ剥がれてしまう。そうなると、数時間のオーダーでまた炉心溶融が起きるのであり、そしたらもう何が起きるかわかったものではない。
=========
福島第1原発:「最悪シナリオ」原子力委員長が3月に作成
菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が試算、作成した「最悪シナリオ」の強制移住地域の範囲
東京電力福島第1原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が「最悪シナリオ」を作成し、菅氏に提出していたことが複数の関係者への取材で分かった。さらなる水素爆発や使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きた場合、原発から半径170キロ圏内が旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の強制移住地域の汚染レベルになると試算していた。
近藤氏が作成したのはA4判約20ページ。第1原発は、全電源喪失で冷却機能が失われ、1、3、4号機で相次いで水素爆発が起き、2号機も炉心溶融で放射性物質が放出されていた。当時、冷却作業は外部からの注水に頼り、特に懸念されたのが1535本(原子炉2基分相当)の燃料を保管する4号機の使用済み核燃料プールだった。
最悪シナリオは、1~3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した。原発から半径170キロ圏内で、土壌中の放射性セシウムが1平方メートルあたり148万ベクレル以上というチェルノブイリ事故の強制移住基準に達すると試算。東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同250キロの範囲が、避難が必要な程度に汚染されると推定した。
近藤氏は「最悪事態を想定したことで、冷却機能の多重化などの対策につながったと聞いている」と話した。菅氏は9月、毎日新聞の取材に「放射性物質が放出される事態に手をこまねいていれば、(原発から)100キロ、200キロ、300キロの範囲から全部(住民が)出なければならなくなる」と述べており、近藤氏のシナリオも根拠となったとみられる。
毎日新聞 2011年12月24日 15時00分(最終更新 12月24日 15時54分)