小学5〜6年生の頃


焚き火と言う名の
火遊びがマイブームだった時期がありました


秋ならば
落葉を集めて焚き火

ついでに
そこにさつま芋を
突っ込んでおきます


焚き火は楽しいし
焼き芋は美味しいし
最高ですね




春ならば
新聞紙やチラシで焚き火
燃やせればなんでも良いんです

当然
焼き芋もやります





ある穏やかな春の日

友達(N君とします)と二人で遊んでいたのですが

「焼き芋しない?」


きっと彼にとって
焼き芋は買って食べるもの

それが自分達で作れるのですから
すぐに「やろうやろう」となりました


ちなみにですが
N君は
両親は共に教師で
マジメ〜な家庭で育った
マジメ〜な小学生でした

火遊びなんて頭の悪い遊びは
思いつくはずもなく
さぞ刺激的だったでしょう



さて
新聞紙とチラシを
持てるだけ持ち出して
庭で燃やし始めます

さつま芋を洗って
アルミホイルで包んで
火の中に突っ込みます



N君「どのくらいで出来るの?」

私「知らない」

N君「、、、、、、まだ?」

私「まだ」

N君「、、、、、、」



N君は5分で限界です
今思えばせっかちなヤツでした


マジかよ
まだ5倍〜10倍くらい掛かるぞ
チッ
これだから火遊びの素人はダメなんだよ
こんな事を思ったかどうか
記憶がありませんが
飽きて帰られるのは嫌なので
出来上がるまで
何か違う遊びを二人で考えます


とりあえず水を撒いてみます

庭の木にバシャバシャと水をやったり
虹を作ったりしましたが
すぐに飽きます


次に思いついたのが
かなりヤバイ
やつです



タバコごっこ

です



小学生でタバコと言えばコレ
今考えると
まったく理解不能ですが
大人への憧れがあったのでしょう


家に駄菓子は無いので

焚き火の
煙を直で
吸います


本当に本当に本当に
アホですね

当然思いついたのはです


チラシを
クルクルと巻いて
筒状にします

そして
モクモクと出る煙を
それで直接吸うのです



まずは言い出しっぺの私から

スーーー


これがですね
思うように煙が
吸えないんですよ



N君と交代しますが

スーーー

やはり吸えません


せっかちなN君
すごい事を言い出します
「先っぽに火を着けたら?」


この発言には私もビビりました

ビビってる私に
痺れを切らしたN君は
自分のチラシに火を着け
前よりも強く吸い込みます

スーーーー

ゲホゲホ!



そりゃそうなりますよ

N君は
喉を押さえて
無言で歩き回ります

ぐるぐると
ひたすら歩く


心配ですが何も出来ずに
ぼう然と立ちすくむ私



数分後
うがいをして
水を飲み
落ち着いてきたN君

心配している私に


「次エビ彦ね」




まさか
N君がこんなに恐ろしい男とは、、、


逃げたくても
N君は逃がしてくれなそうです


最初に言ったのは私です

覚悟を決め
チラシに火を着けて


スーー

ゲホゲホ!


煙を吸い込むと
喉が激しく痛み
声が出せず
じっとしていられなくなります


結果
私もN君同様

喉を押さえて
無言で
ぐるぐる歩き回ります

数分で痛みは治まります



N君「痛かったね」

私「痛かったね」

N君「あはは」

私「あははは」


アホな小学生が
何故か笑っています



その後
もうタバコごっこは二度とやるまいと
二人で誓い
火を消します


新聞紙とチラシで作った
焼き芋を食べ
誰かいないかと公園へ行きました



危険な遊びの
自慢がしたかったのです






大人になり
N君と同窓会で会った時
この話になって

N君「エビ彦に殺されるところだった」

私「逆だろう!」

N君「あはは」

私「あはは」


危うく死ぬとこでしたが
良い思い出です



以上
愚者は経験に学ぶ話でした