肺がんの最先端医療は、近年、特に免疫療法、ターゲット療法、個別化医療などの分野で大きな進展を遂げています。以下にいくつかの主要な治療法を紹介します。

### 1. 免疫療法
免疫療法は、患者の免疫系を活性化させてがん細胞を攻撃する方法です。特に注目されているのは、PD-1/PD-L1阻害剤やCTLA-4阻害剤といった免疫チェックポイント阻害剤です。

- **PD-1/PD-L1阻害剤**:がん細胞が免疫系から逃れるのを防ぐための薬です。代表的な薬剤には、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)やニボルマブ(オプジーボ)が含まれます。
- **CTLA-4阻害剤**:T細胞の活性化を促進し、がん細胞を攻撃する力を強化します。イピリムマブ(ヤーボイ)が代表的です。

### 2. ターゲット療法
ターゲット療法は、がん細胞の特定の遺伝子変異や分子標的に対して作用する薬物療法です。

- **EGFR阻害剤**:EGFR遺伝子変異を持つ肺がんに有効です。代表的な薬剤には、エルロチニブ(タルセバ)やオシメルチニブ(タグリッソ)があります。
- **ALK阻害剤**:ALK遺伝子再配置を持つ肺がんに対して使用される薬剤で、クリゾチニブ(ザルコリ)やアレクチニブ(アレセンサ)などがあります。

### 3. 個別化医療
患者のがんの遺伝子プロファイルに基づいて、最適な治療法を選択する個別化医療が進んでいます。次世代シーケンシング(NGS)技術を用いて、患者のがん細胞の遺伝子変異を詳細に解析し、それに基づいて最も効果的な治療を選択します。

### 4. その他の新しい治療法
- **CAR-T細胞療法**:患者のT細胞を遺伝子改変し、特定のがん細胞を標的にする方法です。主に血液がんで使用されますが、肺がんへの応用も研究されています。
- **放射線治療の進展**:従来の放射線治療に加えて、より精密にがん細胞を狙うことができる定位放射線治療(SBRT)や陽子線治療が登場しています。

これらの最先端医療は、患者の生存率を改善し、副作用を減少させることを目指しています。最新の研究成果や臨床試験に基づいて治療法が進化しており、患者個々の状況に応じた最適な治療が提供されるようになっています。