このシリーズももう五作目なんですね。
前作の『ゴジラxコング』がいまいちだったんで、もうゴジラとコングの対決ものはいいかなーという気分だったんですが、ゴジラとコングが一緒に走っているビジュアルに惹かれてつい観ちゃいました。
にしても最近この種の映画を観るとめちゃめちゃ疲れるんです。
115分の長さでこんなに疲労するのは歳かなーなんて思ったんですが、一緒にいった若い女子も疲れてたので、それだけが原因じゃないのかもしれません。
とにかくずっとハイテンションで、ひたすらご馳走を振る舞われるフルコースみたいな、映像は派手だけど一本調子なんで飽きちゃうと言うか、ここ最近の映画の傾向のように思われます。なんやかんや盛り込みすぎてわくわくとかスリルとか感じる間もなく視覚の情報量の多さに飽和状態みたいな感じ。
とはいえ、やっぱりCG技術はすごいので、視覚効果だけを観ると『ゴジラ-1.0』がよくアカデミー視覚効果賞をとれたなーという気は致します。作品として楽しめるのはやっぱり『ゴジラ-1.0』の方だけどね。
また、どちらかと言えばゴジラよりコングがメインなので、コングにそこまで思い入れがないとつまらないかもしれません。
実際のところコング単体の映画はそれなりに楽しめますが、ゴジラ絡みになるとコングターンは正直ちょっと退屈です。
私は『ゴジラxコング』をあまり覚えてなくて、小栗旬がつまらん役だったなーって印象しかなく、登場人物のつながりもよくわからなかくなってしまいました。
まあ、人間ドラマの方が添え物みたいなもんなんですが、主役の女性も誰だっけって感じで、そのあたりは全然思い入れのない登場人物が右往左往するって感じです。
とはいえ、今回はモスラ姐さんが復活してくれたので、モスラ姐さん好きとしてはそこは満足です。
もっともっとモスラ姐さん活躍してくれないかなー。
ネタバレ
この作品は地下空洞という壮大な空間の中では、スケール感がわかりにくく、コングが巨大であるという認識がしづらいのが欠点。
おまけに、他にもコングサイズの猿が登場するもんだから、それらが戦ったところでただの猿の喧嘩にしか見えず、巨大という利点がまったく生かされない。
これは『アントマン&ワスプ:クアントマニア』の舞台を量子世界にしてしまった失敗と一緒で、あれもミクロの面白さは通常のスケールとの比較あってのものだから、それがないと普通の絵面になってしまう。
コングにおいても地下空洞世界ではスケールの比較がないので、ただの強い猿大活躍冒険もので終わってしまっている。
なんで、猿同士が争う映像が続くと飽きてくるし、「何を見せられているんだろう」という気分にもなる。
子供猿と徐々に信頼を築いていくあたりは割と丁寧に描いているなーとは思うし悪くはないのだけど…。
おまけに対決となるとゴジラもコングもやたら吠えている映像ばかりでこれまたしんどい。
特にラストバトルは吠えてる猿のアップばっかり続く。
なんか、こう、やっぱりずっと同じテンションなので飽きるのよねー。
手長猿のスカーキングが、かつてゴジラを手こずらせるほどの強さも感じられず、ただシーモを操れるだけの他力本願。
シーモもシーモでスカーキングの呪縛が解けたら、簡単にコングの僕みたいになっちゃって、どういう怪獣なんだって感じ。
もともとゴジラとコングではやっぱりゴジラの方が熱線を放てる分、有利というか、肉弾戦のみのコングと比べると次元の違う強さみたいなものを感じるのよ。だからビースト・グローブをつけてコングもレベルアップする訳だけど、ちょっとずるい感じはするわよね。
もとよりゴジラの方が強いという印象だから、なんか無理矢理対等なライバルみたいな感じにしていることも違和感といえば違和感。
そういう意味では二匹の対決ももういいかなーという気分。
モスラ姐さんがふたりの喧嘩の仲裁に入るのはちょっと面白かったけど。
「ちょっとゴジラったらコングと争ってる場合じゃないわよ。地下が大変よ!」ってゴジラを諭してる感じがかわいい。
このシリーズはやっぱり『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が一番面白かったなー。
あれにはオリジナルへの愛情があったけど、アダム・ウィンガード監督になってからはどんどん大味になってそういうのも感じられなくなったような。