『マックイーンの絶対の危機』『悪魔のエイリアン』と観たら、やっぱり締めは1988年製作のこの作品でしょう。

50年代、70年代、80年代と映画技術や文化の変化を観る上でも良いサンプルです。

80年代と言えば、ホラー映画過度期というか、スプラッター全盛期。50、70年代はアメーバーに食われる直接的描写はなかったのですが、80年代になるとそういった残酷描写に力が入ります。

映像のカラーもクリアで、アメーバーの表現もレベルアップです。これまでの作品の中では一番スケールは大きいです。

ただ、アメーバーがもうちょっととろっとした感じが欲しいというか、個人的には『悪魔のエイリアン』のボーリング場のレーンにあふれ出た、もう少し柔らかそうなアメーバーの方が良かったかな。

冒頭、フットボールの試合でエキストラが多いあたりがこれまでよりお金かかってる感ありますね。

 

 

ネタばれ


一応『マックイーンの絶対の危機』のリメイクということで、最初の犠牲者がアメーバーを発見した犬を飼っている老人であることや、その老人をカップルの乗った車が引きそうになって病院に連れて行くくだりは、意外にオリジナルに沿ってたりします。

また男女が冷凍室に逃げ込んでアメーバーが撤退したり、映画館で暴走するアメーバーなどオリジナルのエピソードに近い部分もあります。最後にCO2で凍らせるという展開も一緒。

オリジナルにあるような、主人公たちがなかなか信じてもられないようなイライラ展開はなく、さくさく話が進みます。そして意外な人物がさっさと死んでしまいます。特に、最初に登場したフットボール選手のふたりが結構あっさり退場しちゃいました。ポジション的にはマックイーンが演じた役が途中退場するみたいな感じですね。あと、レストランの女性店員といい感じになっていた保安官もあっさり退場です。あと、下水道では子供も殺されてしまいます。さすが80年代です。

そして80年代ともなると、ヒロインもただ「ボビー」を連呼して主人公に助けてもらえる立場にはありません。率先してアメーバーと戦うたくましさを見せます。このヒロインは実は『SAW』でアマンダを演じてい女優ショウニー・スミスだったりします。

そんなヒロインを助ける男も、いかにも80年代ミュージシャンって感じの雰囲気。

また、宇宙から来たエイリアンという設定ではなく、実は生物兵器として開発されたものだったというひねりが加えられています。

いや、そんなひねりよりストレートにエイリアンで良かったと思いますが。

あと、オチは狂信的な牧師によってまた次の危機が訪れる事を示唆するもので、これもなんだかいまいち感あります。

 

ってことで、映画としてはアメーバー三作の中では一番完成度はあがっていると思うんですが、自分はなんとなく稚拙ながらも71年の『悪魔のエイリアン』が一番好きかなーなんて思います。その稚拙さが愛おしいって言うんですかね。