2016年に公開された『この世界の片隅に』に、新たになカットや削除された場面の復活など約40分間の映像を加えた2019年公開バージョン。

 

2016年公開版でとなった部分がこのバージョンでは丁寧に説明されている。

例えばすずの妊娠はどうなったのかとか、リンと周作との関係とか、それに対してのすずの葛藤などがわかりやすくなっている。

また、戦後の台風エピソードの追加や、空襲の日々、周作の父親の仕事など、より当時の背景が細かく描かれている。

全体に原作により近づいたのだが、テンポという点では2016年公開版の方が良かったなーと思う部分もちらほら。

 

それでも、映画の出来としてはやはり素晴らしく、定期的に観たくなるような名作だと思う。

 

それにしても、この当時の人はたくましいというか、自分がすずと同じ状況に置かれたらとっくに心が折れてしまいそうな、今再びもしもこんな戦時下に置かれたらと考えると鬱になる話だ。

戦時中ではなかったけど、311の時やコロナ禍の時の自分のストレスを考えると、それよりももっと厳しい状況にあったこの時代の人たちは、よくその後復興して立ち直ったものだと思う。