庵野秀明による『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』と続くシンシリーズ3作目。
特に仮面ライダーに思い入れのない私はスルーする気満々だったけど、意外に私の回りの人の評判がいい。
なんでアマプラで鑑賞してみることに。
しかし、映画がはじまってしばらくすると、なんだか退屈・飽きる・眠いの三拍子ワルツを踊ることに。
何度見ても同じところで寝てしまうので、数日かけてやっと最後まで鑑賞した。
ここまで来たら最後まで見てちゃんと感想を書こうという意地というか。
庵野秀明らしく、本郷猛は文武両道なのにコミュ障の陰キャ。
緑川ルリ子は英語の発音がやけにネイティブで、どこか高飛車な、これまた庵野秀明のいつものヒロイン。まあ、『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』のヒロインよりはましだったけど。
ショッカーのサソリオーグやら蜂オーグの女性陣はアニメキャラみたいで見ていて寒い。
庵野秀明の実写『キューティーハニー』を観た時のような寒さと言えばわかる人にはわかるかな。
もう、この人の女性キャラに関してはとことん自分とは合わないのでしょうがないのかなー。
一方男性キャラは割と皆さん礼儀正しい感じの人が多くて悪くはないのだけど…。
相変わらず、専門的な訳のわからない用語をまくしたてる芸風で、やたらプラーナプラーナ言っていて、ようわからん。ジェダイで言うフォースみたいなもんなんかねー。
アクションシーンもCGもやっぱりMCUなどのアメコミヒーローに比べるとチープ感否めず、なんとなく格好よく撮ろうとしているのはわかるけど、けれん味が足りないのかいまいちこちらのテンションがあがりきれず、時々カットのつなぎがいまいちだったり画面が暗くて何やってるのかわからんアクションもあったりして、結果、退屈・飽きる・眠いの三拍子ワルツとなったのだなーと思う。
ストーリーがいまいちでもそれを凌駕するアクションを見せてくれればまだ救われたんだけどねー。
ネタばれ
アクションは意外にスプラッタな感じでのっけから血しぶきが飛ぶ飛ぶ。
敵とは言え、人を殺すことのリアル?って言うんですかね。
それにしても本郷猛の行動原理がようわからん。
緑川弘に娘を守ってくれと言われて、ルリ子を守り、ルリ子になんか思いを託されてイチローを倒しに行くと言った具合に、なんだかんだ緑川一家にふりまわされているだけの人のように見える。
そこに彼自身父親のトラウマを抱えていて、強さと優しさを同時に持つという結論に達したかのようだが、何がどうなってどう折り合いをつけたのかさっぱりわからん。
イチローも急に最後の戦いの後、ものわかりのいい人になっていて、そもそも何がしたかったのか、どうしてなんか救われたっぽい感じになっているのかさっぱりわからん。
というか、イチロー、てっきりイナズマンに変身するのかと思ったらそういう訳でもないのね。めっちゃそれっぽいふりしてたのに。ロボット刑事ケイも登場してるから、石ノ森章太郎キャラ祭りっぽくするのかと思いきやそこも中途半端やなー。
で、イチローがラスボスかと思ったら、それでもショッカー自体が滅びた訳でもないようで、まだまだ戦いは続くようだけど、このショッカーの組織も何がしたいのかよくわからん。
ショッカーが暗躍することによって伴う人類の危機感みたいなものにあんまり実感わかんのよ。
ショッカーの基地がどこにあるのかよくわからないけど、割と皆さん気軽に訪ねていける場所にあるようね。
登場人物それぞれなんか重たい背景があるようだけど、そのあたりの感情がほとんど伝わってこないし、いろんなキーワードを投げかけている割には何一つ心に刺さってこない。
なんかどの人物もうわっつらな感じがして、ルリ子が死んで本郷がやたら悲しむのだが、なんでそこまで悲しむのか、ふたりの関係性がそこまでに見えないので、こっちは「ヒロインが死んだらヒーローは悲しむもの」というお約束を見せられている気がする。
それは一文字隼人と本郷の関係にも言えることで、ふたりのつながりがそこまでに感じないので、最後に本郷の魂を引き継ぎ「もう孤独じゃない」という台詞もなんら心に響くものがない。
ストーリーとして理解出来ても、魂に響かないというか、まるでAIが作った受けるドラマの要素を取り入れただけのシナリオみたいだ。
ジェームズ・キャメロン監督言うところの「言葉のサラダ」って言うんですかね。
一文字隼人が本郷に「そこはありがとうだ」「そこは呼び捨てでいい」と言って親しくなっていく感じはちょっと面白かったが、全般的に本郷がつねに自分の意思がなく人の言うがままにひっぱられるだけの人に感じられる。
結局ケイも何しに出てきたのかもよくわからん。
最も深い絶望を抱えた人間を救済する行動モデルとやらはどうなった?
(余談だけど私、子供の頃『ロボット刑事ケイ』って陰気臭くて好きじゃなかったなー)
作品のトーンがあまりに違いすぎるので、エンドロールでオリジナルの『仮面ライダー』の歌が流れても、全然しっくりかみ合わない。
『エヴァンゲリオン』も訳のわからないアニメだが、あれはそれでもなんとなく刺さるものがあるし、感覚的にわかる気はする。
『シン・ゴジラ』に関しても展開自体がわかりやすいので普通に楽しめた。
しかし『シン・ウルトラマン』に関しては人物も話の展開もいまいちで、本作に関してはそれがさらに悪化したようにも思える。
なんでシンに限って面白順位をつけるならやはり『シン・ゴジラ』>>>>>>『シン・ウルトラマン』>>>『シン・仮面ライダー』って感じかな。
ディスってばかりだけど、見所はゼロではない。
一文字隼人の軽妙なキャラは悪くなかった。演じるのが柄本佑というところが意外なキャスティング。この種のヒーローものにらしからぬ俳優というチョイスはちょっと面白い。『シン・ウルトラマン』の山本耕史まではいかないが、それに次ぐ面白さはあるかな。
なにしろ1号が終始辛気くさいので、2号の陽キャで映画が持ち直した感はある。2号が出てきてからは眠気も軽減したしね。
森本未来もやはり動きが綺麗だった。存在感はあった。
すっかりシンのレギュラーと化した竹野内豊と、『シン・ウルトラマン』ヒーローヒロイン斉藤工、長澤まさみも登場。
なにげに中村トオルと安田顕の無駄遣い。
なんと塚本晋也まで!
こんな感じでキャストは無駄に有名どころを使っている。でも藤岡弘は出演しないのね。