ポスターのビジュアルがインパクトあるので軽く気にはなっていたのだが、アマプラで無料配信ってことで観てみた。

原作はスティーブン・キングの息子ジョー・ヒルの短編ホラー『黒電話』。息子の作品は一作も読んだことはないが、この映画を見る限り作風はちょっと父親に似ているような。

サイコスリラーというカテゴリーだけど、どことなくジュブナイルファンタジーっぽい趣も。

『IT』っぽい感じもあるかなー。犯人像が風船、手品とジョン・ゲイシーっぽさもある。

なかなか話の全貌がみえてこなくて、そこまではちょっと退屈で眠くなる。

物語の方向性がわかってからはまあまあ面白かったが、でも、どこか釈然としない後味も…。

 

ネタバレ

時代背景が1978年というノスタルジーな雰囲気。

子供たちの連続失踪事件が起きてる町で、それでも子供単独で行動している状況というのが不思議。

どういう訳か、母親が不思議な超能力を持っていて、その能力を受け継いだ兄妹。

その兄が誘拐され、妹がその能力を使って兄の居場所を見つけ出そうとする。

兄妹という設定のせいかヘンゼルとグレーテルをちょっと思い出す。

この兄妹は綺麗な顔立ちだが、親父はあきらかに「やばいだろう…」という風貌で、本当にこの親父と血のつながりがあるの? お母さんがよっぽどの美形だったのかなー。なんてことを考えてしまう。

親父は妻がその能力で自殺してしまったと考えていて、そうした能力を子供が見せると過敏にまでに虐待する。

でも、最後はあっさり改心してたので、実はそんなに悪い人間ではなかったのか?

 

兄を演じるメイソン・テムズはなかなかの美形系。

ちょっと『ファンタズム』に出てたA・マイケル・ボールドウィンを思い出させる。

黒電話を通じて、殺人鬼に殺された少年たちのメッセージを聞き、なんとか脱出方法を図るがことごとく失敗していく。

最後にその失敗が成功に集約するオチは良かった。

しかし、殺人鬼を自ら殺して自信を獲得し、好きな子からも好意を持たれるというオチはちょっと狂ってる気がする。

少年の成長物語としてはあまりにブラック過ぎる。

女子の立場からして、いくら殺人鬼とはいえ、その相手を殺して、そのことに自信を持っているような男子とはちょっと距離置いちゃいそう…。

 

さて、その殺人鬼を演じるのがイーサン・ホークな訳だが、なんでこの役を引き受けたのだろう。

基本、顔も仮面をつけちゃってるし、イーサン・ホーク的に特においしい役とは言えないような。

それにこの殺人鬼、なぜ顔を隠すのか、なぜ少年を誘拐して監禁して殺すのか、なぜ簡単に弟を殺害してしまうのか、とにかくその背景が一切わからないので、犯人像としては掘り下げ不足。ただ見た目インパクトだけで存在しているみたいな殺人鬼なんで、フレディやジェイソンとさほど変わらない。こんな役誰がやってもたいして変わんだろうっというつまらん役に見える。

 

警察は警察で妹の超能力だのみみたいな感じで大丈夫か?という気分になる。

妹の能力も中途半端で、ただご都合主義的に発動しているようにみえるのも難あり。

 

ところで殺人鬼の弟はなぜ突然少年の居場所がわかったのだろう。

その説明をしようとした直後に殺されて残念だった。

 

と、まあ、いろいろ???な部分もあるけど、殺された少年たちの霊に助けられながら、殺人犯と対峙するというコンセプトは悪くなかった。