ネタバレあり

 

3話からなるオムニバスホラー。

 

カタカタ

赤い女のインパクトはなかなか。演じている女優さんはダンサーらしいのだけど、動きなどはそれっぽさがある。

なぜ主人公がこのおばけにつきまとわれ、時間をループする羽目になるのか理由は一切ない。

不条理といえば、不条理だし、まあ、不運というのは特に理由のないものかもしれないが、にしても、因果関係がまるでない話なのでオチ的に女が「おばけだ!」と言い出しても「ふーん」と言う気持ちにしかならない。

意味深に恋人の元妻の存在を匂わせたり、高所から落ちて死亡した少女の霊とか、首つりした母親の霊なども登場するが、ただのミスリードで結局主人公の不運とは特に関係ない。むしろこの母娘がなぜ主人公を助けようとしているのか謎だ。

この種の話はいくら逃げ回っても、おばけは空間に縛られないので、どこからでも現れるし、ふせぎようがないので、だんだん退屈になってくる。やっぱり怖いというのは、どこかに助かる望みみたいなものがあるから生じるもので、所詮死ぬ運命から逃れられないとなるとすべてが無意味に思えてくる。

実際、おばけの行動はなんでもありなんで、夢の中の出来事のようだし、実際若干夢オチ的な話となっていてしらける。

やはり赤い女のビジュアルオンリーの話だが、そのビジュアルも慣れてしまえばそこまで怖くないので、ちょっといまいちかなー。

 

3話の中では一番面白かった。

シュールな感じだし、鋼ちゃんが不気味だけどかわいく思えてくる不思議。

演じる女優さんは菜葉菜さんと言う方で、素顔は今田耕司にちょっと似てる。

でも鋼ちゃんより怖いのは鋼ちゃんの兄を演じる香川照之。この話の通じない感じがすごく怖い。

妹思いのようで、妹を「化け物め!」とか言ってちょっと虐待してるっぽい二面性とか、リアルにいそうな怖さがあった。

主人公を演じる柄本佑の優しいけどちょっと駄目な男っぽい雰囲気もはまっている。鋼ちゃんに会う前にコンタクトレンズなんかして、ちょっと期待しちゃってる感じとか、あきらかに異質な鋼ちゃんにずるずるとはまっていく様とか、結局鋼ちゃんに取り込まれてしまうあたりなど、この種の男子の末路もどこかしらリアル。

それにしても柄本佑の家を訪ねてくる香川照之も超怖かったなー。これはもうコワイ女じゃなくてコワイ男だよ。

 

うけつぐもの

ちょっと惜しい作品。

息子を殺さずにはいられない母性がうけつがれていくと言うものだが、なぜ母親が息子を殺してしまうのか、もうちょっと掘り下げてみてもいいような。

不気味な雰囲気作りはまあまあだが、話が薄い印象。