ネタバレあり
言わずと知れた1937年に公開されたディズニーの長編映画第1作目であり、世界初のカラー長編アニメーション映画。
作成されたセル画の枚数は25万枚とアニメ史上類を見ない労力が注がれている。
その動きには人間の実際の動きをトレースしたロトスコープ手法が取り入れられ、なめらかかつリアルな表現となっている。
アニメ史を知る上でも気になる作品ではあったが、実は今日まで未見。
で、やっとこさ、重い腰をあげてみたのだが…。
確かに動きはなめらかで綺麗だった。
お話は子供の頃観てたらもうちょっと面白いと思えたのかなー。
お話自体はなじみ深いけど、動物や小人の表現はいかにもディズニーテイスト。
で、全体的に白雪姫と小人の交流がディズニーオリジナルストーリーになるわけで、白雪姫との出会いや、お夕飯前の手洗い、そしてダンスと、なんていうか…長い。
長くて長くてなんだか途中から飽きちゃって、いいから早く継母が毒リンゴもってこいよってくらい退屈に思えちゃった。
こういうシーンを楽しいと思うかどうかがこの映画を楽しめる分かれ目かもしれん。
で、この時代の価値観としては当然かもしれないけど、白雪姫は家の掃除からお料理から、キスのサビースに至るまで、なんていうかある種の女性の理想像を見せつけてくるわけで、小人たちも見た目は老けているのに、子供っぽいというか、外で働くのは大好きだけど家のことはまるっきりだめだめという男ってやつを体現している訳で、白雪姫もこんな男たちにこび売って置いてもらって大変だなーというため息しか出ない。ほとんどこの小人たちの母親代わりって存在だもんね。
ちなみに白雪姫がお掃除するシーンを『魔法にかけられて』でまんまパロディにしてたんだなーという気分。お皿を動物がなめて綺麗にするシーンはおえっと思ったが、白雪姫がちゃんと水で洗うよう指示してくれてよかった。
継母が毒リンゴを持って白雪姫を訪ねる際に、ハゲワシが2羽現れるのだけど、最初は継母の僕か何かと思ったら、継母が死ぬのを見届けると立ち去っていくという謎の存在。
ネットで調べたらハゲワシは継母の死を暗示する存在ということらしい。ふーん。
グリム童話の継母の末路は焼けた鉄の靴を履かされて死ぬまで踊らされるものだが、ディズニー版では自ら崖から落ちる展開となっている。
割とディズニーでは王子が最後はヴィランと対決するなんて展開になりがちだけど、この作品に関しては王子は原作通り最後にふらりと現れて白雪姫をさっさと連れ去っていくだけの存在。
姫が死んでから王子が連れ去るまではあっと言うまで、白雪姫と小人との交流よりここにもうちょっと時間を割いてもよかったんでは…なんて思う。
姫がいなくなったことで、小人たちはまた誰もお部屋掃除をせず、茶碗も洗わない荒れた生活になるのかな…。
これが1937年の作品という点は驚くべきものがあるし、完成度の高さにも驚かされるけれど、やはり物語はつまらないなーという気持ちになってしまった。