先頃佐々木蔵之介主演の舞台『冬のライオン』を観に行ったのです。
もともとは1966年に初演されたブロードウェイ舞台劇で、1968年にピーター・オトゥール主演で映画化されたのがこの作品です。
なんとアンソニー・ホプキンスとティモシー・ダルトンのデビュー作でもあります。ふたりとも若い!
また、この作品でエレノア演じるキャサリン・ヘプバーンがアカデミー助演女優賞を獲得しています。
舞台を観た時、実在の人物であるヘンリー2世についてまるっきり無知だったので、人間関係や時代背景をいまいちわからないまま観てしまい、そのあたりを理解するのに時間がかかりました。
また、登場人物の心理とか駆け引きがいまいちピンとこない作品で、これは映画を観るともう少し理解出来るかなーと思ったのですが、やっぱりなんとなくわかるようなわからんような気分です。なんというか愛憎の心理が複雑すぎちゃって、登場人物たちの本音がわかりにくいのですよね。
元々地味な舞台劇だけど映画にするとさらに地味な印象。ちょっとシェイクスピアっぽい感じもあるんですが、シェイクスピアほど言葉が装飾的ではないというか。
それでも舞台の方は佐々木蔵之介が好きだし、エレノア演じる高畑淳子の演技が素晴らしかったし、ジョンを演じる浅利陽介がいい味でていたので、楽しめたのですが、映画の方は、ずっと会話劇が続くのでやや眠くなってきます。ストーリー自体も何か起こりそうで起こらないような淡々とした感じですしねー。
この作品ではエレノアを演じる女優さんが高く評価される傾向にあるようで、それだけ実力ある女優が演じる為なのか、役柄的に美味しいのかはよくわかりません。『ウエストサイドストーリー』のアニタや、『バットマン』のジョーカーのように役者の力量が発揮しやすく、評価されやすい役というのはあるような気がします。
この映画でもやはりキャサリン・ヘプバーンのエレノアは印象的ではあります。
ヘンリー2世はリア王にもなぞらえる人物で、息子たちにはことごとく反乱され、最後には最愛の息子ジョンにまで裏切られるという、まあ、ある意味この舞台劇通りの流れとなるのですが、何しろクリスマスという限定された期間のほんの一部を切り取ったお話なので、さすがにそこだけを観てすべてを理解するのは難しいなーという感じです。
だから、ヘンリーとエレノアとの関係や、息子たちの心情などはある程度こちらが推測するしかない感じ。
まあ、この物語はあくまで舞台劇であって史実そのものと言う訳でもありませんしね。
そんなこんなで大雑把な部分ではなんとなくわかるんですが、細やかな所はやっぱりぴんとこないのです。ということで、舞台、映画と観てきましたが、いまいち自分はそこまで面白い作品とは言いがたいかなーと言う気分です。
舞台の方がちょっとコメディっぽい雰囲気があって楽しめましたけどね。
また、舞台ではリチャードとフィリップの同性愛関係が描かれていたが、映画ではそのあたりはあまり描かれなかったような…。