ネタバレあり(というか史実に纏わるお話なので、ネタバレも何もないと言うか)

 

『キングスマン:ファースト・エージェント』の流れから、ロマノフ王朝に興味を覚えた私は、『アナスタシア』に続いて、英米合作による1971年のこちらの映画も鑑賞いたしました。

 

189分の大作で途中インターバルもあったりしますが、長さを感じないくらい興味深く観られました。

やっぱり、当時のロシアの王宮とか皇族の衣装とかは観ていて楽しいですね。

先に池田理代子『オルフェウスの窓』やウィキも読んでいたので、ロシア革命の流れが理解しやすかったです。

それでも完全な理解には及んでいないかもしれません。

英米合作なので、ロシア語ではなく英語が用いられるのがちと残念ですが、ニコライ2世は実物によく似ているし、彼らが処刑されたイパチェフ館地下2階の部屋の再現性などは写真通りでリアルでした。

ラスプーチンはこれがデビュー作となるトム・ベイカーがはまっていて、かなり本人に似ているイメージです。

ちなみにラスプーチン暗殺の記録はあまり残っていないので、正確なことはわからないようですが、残った記録と照らし合わせると、この映画のラスプーチン暗殺シーンはちょっと違うような気もいたしますが、まあ、青酸カリを飲んだ後に銃殺という流れはあっています。

ラスプーチンに関してはまだまだその人物像が掴みきれないものがあって、もう少し真実に近い彼の姿を描いた作品が観たいです(『オルフェウスの窓』でもラスプーチンはちょっと悪役的扱いでしたしね)。この映画ではニコライはずっとラスプーチンに不信を抱いているようですが、実際は割と夫婦共々ラスプーチンにはまっていたようですしね。


日露戦争では、ロシアのような大国が何故日本のような小国に敗退したのか疑問ではあったのですが、東宝映画『日本海大海戦』を観た時も思ったのですが、やっぱり距離の問題は大きかったのかなーっと。

この映画でも満足に武器や食料などの物資が届けられない点が問題になっていましたものね。

しかも、この戦争が結果的にロマノフ王朝崩壊の一因となっていたとは。

 

ロマノフ王朝崩壊後のロシアは若干カオスと化していて、その対立関係の中で、ロマノフ家の処遇が左右され、結果的にあんな形の処刑になったことは痛々しいものがありました。

直前まで自分たちの身に降りかかる運命に気がつかず、その事に気がついた家族の絶望の表情がとてもリアルで、重たい後味を残す映画です。

ニコライがこれまで国民に強いてきた犠牲を考えれば因果応報とも言えるのでしょうが、処刑を前に家族が微かな希望を取り戻すあたりが、やはり悲劇性を強めています。

ニコライも退位を決断した時はまさかこんな結末が待っていようとは考えもしなかったのでしょうね。知ってたら意地でも退位しなかったのでは? まあ、退位しなくても結果は同じだったかもしれませんが。

フランス革命もそうですが、やはり革命で追われた王族の末路というのは悲惨なものです。

 

ちなみにアナスタシア皇女はお茶目な人だったようですが、映画の中でもそんな快活でお茶目な感じが出ていました。