小野不由美原作のオムニバスホラー。『残穢 -住んではいけない部屋-』の前史に当たる作品で、百物語の内の10話を映画化。ちなみに『残穢』が100話目に当たるらしい。

つねづねJホラーは苦手と言っているが、『残穢』もそうなのだけど、この人の作品はあまり尾を引く怖さがないんだな。

ただ、ナレーションが竹内結子ってところがタイムリーなのと、自殺ネタが多かったので嫌なシンクロ感を覚えてしまった。

 

ってことで、ネタバレありで各話の感想を簡単に述べる。

 

追い越し

心霊名所を巡る若者たちが、車の速度と同じ速度で走る、ようするにホンモノと遭遇してしまうって話し。

それまではどこか眉唾みたいな話しをわいわい怖がって無理矢理盛り上がっている感じがちょっと笑える。

肝心の高速で走る女の映像があまり怖くないのが残念かな。

 

密閉

白石晃士が脚本、監督を担当。

クローゼットがひとりでに開いてしまうあたりはちょっと怖いし、クローゼットに仕舞ってあるトランクから女が飛び出してくるのも怖いのだけど、いつものごとく主人公の女がその怪異をそこまで怖がらずに、逆に浮気した元恋人を葬るのに利用しちゃうあたりで、なんとなく怖くなくなるというか、いや、幽霊を利用して復讐する女の嫉妬が一番怖いって話しかもしれないけど、やっぱり女が飛び出してくるようなスーツケースなんて怖すぎて、私だったらすぐに部屋から逃げ出すし、この主人公は共感出来ないくらい肝ったまが強すぎるだろうと思う。

 

影男

なんとなく薄気味悪い話しではあるが、結局なんだったんだ?という尻切れトンボな感じと、そんな怪異のある家に今後ひとりで暮らすのはためらいを感じちゃうなーと思う。

 

尾けてくる

話しそのものはどうということはないのだけど、首吊り自殺した男の顔つきだけがリアルで怖かった。

後たまたまその首吊り死体を見てしまったためにその男がつきまとうという不条理感はちょっと怖いかな。

オムニバスの中ではちょっと嫌な感じで印象には残る。

 

どこの子

学校の怪談としては普通という印象。

最後にきて顔で脅かすのもありがちパターンすぎ。

 

空きチャンネル

ラジオから聞こえてくる気味の悪い女性の声というあたりはまあ怖いシチュエーション。でもオチがありがちすぎるというか、ちょっと自殺ネタが続くのでまたかと言う気持ちになってしまった。

 

一緒にみていた

こちらも首吊り自殺もの。なんだか首吊り自殺ネタはちょっと嫌ね。首吊りの映像に妙に生々しさを感じるっていうか。

結構ベタベタとしつこい幽霊って感じで、怖いような微妙な感じ。

 

赤い女

赤い女が登場してからは怖いというよりちょっとギャグっぽく感じちゃったな。

噂を広めたJKが最後にルールに反して赤い女に襲われるあたりもなんで自分が襲われるのかぼやくあたりがちょっと笑ってしまった。

 

どろぼう

妊娠と思われた女性のお腹が突然凹み、実は産んだ赤ん坊を溝に捨てたのではないかと思わせるお話。

実際あったら不気味だねーという感じだけどちょっとインパクトは薄かった。

 

続きをしよう

墓地で鬼ごっこをしていたらひとりひとり怪我をして離脱し、最後のひとりがホンモノと出会うという話し。

そこまでして鬼ごっこを続ける意味がよくわからない感じもするが、まあ、怪談らしいシチュエーションではあった。

どういうオチをつけるのかで引き込まれたが、オチ自体はやっぱりありがちかなー。

そんな感じで、お話自体は特にひねりのない怪談だけど映像の見せ方や演出でそれなりに不気味さはあった。

あくまで雰囲気を怖がる映画かなーという感じ。

これくらいのぬるさならJホラーでも鑑賞出来るレベルの怖さ。