『帝都物語』の続編です。

『帝都物語』自体続編が見たいほど面白かったという訳でもないのですが、アマゾンプライムで観られるしのりかかった船的にね。

今回は原作とはかけ離れた娯楽活劇となっているそうで、確かに物語りは単純明快、メインキャストもポスターを見てわかるようにほぼ4人。やってることは、ひたすら加藤と対抗勢力との戦いと言った内容で、頭を使わずに観られます。

 

前回は明治大正時代好きの自分としては世界観は結構好きだったし、実在の人物も多く登場するのが良かったです。

今回は太平洋戦争末期で実在の人物は少なめ。でもワタクシ、邦画でヒトラーが登場するのははじめてみたような。このあたりはちょっと面白かったです。

 

あとは霊力対決に関しては、前回はクリチャーなんかも登場して妖怪戦争みたいなところもあったけど、今回はシンプルにサイキックバトルっぽいですね。

サイキックバトルに関してはちょっとグロ描写多めです。

 

 

 

ネタばれ

いやー、今回加藤に対抗する霊能者中村雄昴を演じる加藤昌也えらいイケメンで、服装とかも格好よかったんですが、なにしろ弱い…。とても加藤の対抗勢力になり得ないほど弱い。とにかく一度霊力を放出しただけで、たちまち嘔吐(吐血?)したり、エクトプラズム吐いたりするもんで、全然頼りになる感じじゃない。加藤と戦ってはぼろぼろにやられ、それでもまた加藤と戦おうとするもんだから「もうやめとけ!」と言いたくなる感じなんですよ。

でも、謎の霊力強化薬を打って、ヘッドギアっぽいのを頭につけて、加藤と戦う様はちょっと良かったです。登場はいつも格好いいのに、その後ズタボロにされちゃうのが痛々しいですけどね。大体一発力を放出するとあとはへろへろなんで、そこで倒せないともうやられ放題って言うのが辛い。

まさに、サイヤ人とヤムチャの戦い並に力の差が歴然とした噛ませ犬感満載で、実は『帝都物語』で平将門の子孫である兄妹の近親相姦から生まれた南果歩演じる雪子こそが大きな霊力を持っているという設定なので、最後はばばーんと雪子が加藤をやっつけるのかなーと思ったら、意外にも雪子の助けもあったにせよ、この弱っちい中村さんが加藤を滅ぼす訳ですよ。

こんだけ「ダメだこりゃ」ってくらい弱っちい姿をみせつけられて、最後は大逆転というのは、まあ、悪くないですけどね。

とりあえずこんなに心もたないヒーローというのは珍しいと思います。ただ、彼がなんでそこまで命をかけるのかはよくわからなかったですけどね。

ビジュアル的にも前回の石田純一より全然よいし、いや、別に石田純一をディスるつもりはないんですけどね、彼に関しては最後まで最強の霊能力者としてのカタルシスはなかったなーと。

 

雪子が途中空襲で母親が死亡し、盲目となった少女が虫と化す悪夢を繰り返し観る場面があるんですが、あれはなんだったんでしょうね。しつこい割にはストーリー上あまり意味がなかったような気もしますが。

そうそう小人加藤がかわいー!くはないです。気持ち悪かったです。
なんとなくスクリーミング・マッド・ジョージがただ自分のやりたいことをやっただけみたい気もいたします。『エルム街の悪夢』的なことをやりたかったのかなーっと。

 

太平洋戦争の末期とあって空襲の場面とかはなかなか迫力あったし、一瞬戦争映画を観ているような気分になります。

 
野沢直子が登場すると途端に『夢で逢えたら』のコントが始まったのかと錯覚しちゃいます。
 
観阿弥光凰(モデルは大谷光瑞)という僧侶を演じる新興宗教の教祖感高い丹波哲郎が連合軍の指導者を呪い殺そうと言う前代未聞の奇策を講じているというのが、文字通り奇策だなーという感じで、実はヒトラーに呪いをかけていたというオチなんですね。
 
加藤は相変わらずの存在感でしたが、特に空襲の最中、電信柱の上に立っている加藤が良かったですね。
いまいち積極的に帝都破壊の為に動いている様子がないんで、若干傍観者的立ち位置に見えましたが。
そして何故か雪子や中村になかなか止めをささないんですよ。雪子は霊力が強いから手を出せなかったのかもしれないけど、地味にガスを爆発させるなどの煮え切らない攻撃を仕掛けてみたり、中村に対しては中途半端にいたぶるだけで生かしたままなのもよくわかりません。
その割には体にお経を施した耳なし芳一僧侶たちは一瞬にして葬り去ります。
 
1989年の作品ですが、夜の場面になると画面が暗くてとにかく見辛かったです。
今回は実相寺昭雄監督ではなく、一瀬隆重監督で、総監督やアクション監督はラン・ナイチョイ(藍乃才)フィリップ・コク(郭追)などが担当していたようですね。