公開当時気になっていたのですが、結局見損ねて、やっとプライムで観ることが出来ました。
原作はパトリック・ネスの同タイトル。脚本も担当しているとか。
監督のフアン・アントニオ・ガルシア・バヨナは、『永遠のこどもたち』が衝撃的でしたが、この主のダークファンタジーはお得意と言ったところ。
私がこの映画を観た印象はモーリス・センダックの絵本『怪獣たちのいるところ』のもう少し年長版みたいな感じ。
もっと言うならアーシュラ・K. ル=グウィンの『ゲド戦記/影との戦い』的なテーマも感じます。
ネタばれ
病で余命幾ばくも無い母親とふたりきりで暮らす息子が、夜ごと現れる怪物に三つの物語を聞かされ、最後に自分が四つ目の真実を語らねばならないというお話ですが、怪物が語る物語は世界は勧善懲悪という単純なものではないということ。
離婚した彼の父親もまた人生とは複雑だと語る。
そして、少年は無意識に抑圧している良いと思えない考えに囚われ、苦しんでいる。その思いを解放すること、自分の真実を受け入れることが、少年の救いとなる。
まさに、影から逃げ、おびえていたゲドが、影と向き合い、己の一部として受け入れるというテーマと符号するもの。
ちなみにラストをどう解釈するのか私的にはちょっと戸惑った。
あれは、母親もまた息子と同じ葛藤を経て、怪物と仲良しになったと言うことなのか、あるいは、息子は無意識に母親の影響を受けいていたのか。
個人的には、母親も同じ葛藤を経て、この世からいなくなっても怪物とどこかで幸せに暮らしているという風にとれたのだが、どうもこのあたりは判然としない。
ダークファンタジーとしてのビジュアルは良いが、テーマとしては目新しさはないので、そこまで面白い感じはなかったが、やはり母親の死という現実に向き合わなければならない物語はつらい。
シガニー・ウィーバーが祖母役ではまっていた。孫との関わり方が不器用で、それでも彼女なりの愛情があって、そんなぎくしゃくとした関係性にぴったりだった。