ネタばれあり

 

GW、あまりに暇だったんで、ついこんな映画を観てしまいました。

この映画の存在自体は知ってますが、ちゃんと観るのは今回初めて。

今更ながら、監督が実相寺昭雄だったんだー、とか、コンセプチュアル・デザイナーがH・R・ギーガーなんだーという驚きがあります。

公開当時から嶋田久作の加藤のインパクトがすごくて、そのインパクトだけの映画という印象でしたが、実際観てもやっぱりそのインパクトだけの映画という気がします。

これがデビュー作という嶋田久作ですが、その独特の風貌があまりにこの加藤と言う役にはまり過ぎちゃって、映画全体を喰ってしまう勢いでしたからね。ちょっとキャラ立ちし過ぎかも。

で、その加藤の背景も安倍晴明の子孫という以外にはあんまりよくわからん感じなんですよね。なんで最後まで彼が東京を破壊したい心情を理解出来ないまま終わってしまいました。うっすら、憎しみこそがうんたら言ってましたけど、この映画からはそのテーマが浮き彫りとなるエピソードも見当たらないですし。

 

加藤に次いで印象に残るのが原田美枝子の美しさ。この美しさは目の保養でしたね。まあ、ただただ美しかった。それだけです。

 

私の好きな明治、大正という時代背景はすごく良いと思います。実在の人物を織り交ぜたり、実際に起こった関東大震災などの絡め方は面白いと思います。

平将門がめちゃめちゃ怨霊扱いされてますが、私の中の平将門のイメージがNHK大河ドラマの『風と雲と虹と』加藤剛さんなもんで爽やかなんですよね。このあたりのギャップがね。まあ、一般的には首塚のたたりみたいなイメージも強いのでいたしかたないのかな。

陰陽道などの魔術合戦みたいなところは面白かったです。

あと、東洋で初めてのロボットと言われる学天則の活躍などもユニークです。実際の学天則より映画の学天則の方がデザインがちょっと洗練されてましたね。

 

荒俣宏による原作の「神霊篇」から「龍動篇」まで描いているらしいのですが、それなりに長い原作をはしょったせいで、各人物の描き込みが浅くてよくわからないという難点があります。

特に要となる平将門の子孫兄妹などは、なんだかよくわからんままに、いつのまにか近親相姦になっていて、いつのまにか娘が出来て、唐突に死んだと思いきや、実は生きていたというなんだか?な展開でした。最強の霊能者が石田純一というあたりもねー。一見役立たずっぽいのですが、最後でおいしいところを持って行く感じは嫌いじゃありません。でも、なんかそのあたりのカタルシスがいまいち足りないかなー。まあ、何度も言いますが石田純一ですからねー。石田純一に恨みはないけど、どうも彼の私生活のインパクトが大きくて、俳優としての評価は二の次になってしまいます。

桂三枝の風水師も別にいてもいなくていい感じ。

加藤が行動を起こすまでの謎のタイムラグもあって、物語がちんたら進む印象もあります。それぞれが何をやってるのかもわかりにくいのでクライマックスに向けての盛り上がりにも乗り切れません。

 

結局、すったもんだあったけど、とにかく加藤はインパクトあったなーというところで終わってしまいます。

映画もシーンとシーンの間がぶっつりと途切れる感じで見辛かったです。

とりあえず実相寺昭雄の魅力が溢れた映画とは言いがたいですね。ただ、中2病的にまで加藤を格好良く描ききった作品だとは思います。