最近、これのリメイクのニュースを読んで、久しぶりに観たくなりました。

B級映画の帝王ロジャー・コーマンがたった2日で撮ったと言われる1960年のホラー映画を1982年にハワード・アッシュマン&アラン・メンケンコンビが舞台ミュージカル化し、1986年にフランク・オズ監督により映画化されたもので、私のミュージカルベスト10に入る作品です。

 

何しろ、歌がすべていい。それもそのはず、作曲はアラン・メンケンですもんね。『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』『ポカホンタス』『ノートルダムの鐘』等等この人が手がける曲は本当に素晴らしいです。

特にオープニングの方で歌う「Skid Row (Downtown)」は名曲です! この一曲で心わしづかみにされましたね。

他にも「Somewhere That's Green」「Suddenly, Seymour」は曲、シーン共にいいですね。

キャストも主役のリック・モラニスがはまりすぎ! この人って非モテっぽい雰囲気で風采上がらないのだけど、でも、何故か愛すべきキャラというか、意外に男気を見せるとちょっと格好良くさえみえてくる俳優さん。1980〜1990年代あたりに大活躍で好きな俳優さんだったんですが、2000年に入ってからはぱったり俳優業から身を引いて寂しい限りです。『ゴーストバスターズ』をはじめ、割と美人さんとのラブシーンが多いのも面白いですね。この映画では吹き替えなしの歌声で、歌もきちんと歌える人なんだなーと驚きでしたよ。

エレン・グリーンは舞台でもオードリーを演じていたようで、リックより長身なのがまたいい味でています。顔が凄く面長な女優さんですね。ちなみに私は長いことオードリーを演じているのはジェイミー・リー・カーティスだと勘違いしてました。

ゲストもビル・マーレイをはじめジョン・キャンディジェームズ・ベルーシなど『サタデー・ナイト・ライブ』等で活躍していたコメディアンたちが集合。オリジナルではジャック・ニコルソンが演じたマゾの患者をビル・マーレイが演じていますが、私、どうもビル・マーレイの面白さがよくわからないんですよね。なんでこのシーンだけは毎度飛ばしたくなります。

それより何より、なんといっても、スティーヴ・マーティン演じるサディスティックな歯医者さんが最高! 彼が歌う「Dentist!」のシーンは最高過ぎ! このキャラ立ちだけでこの映画は勝ちですね。

また、さすがマペット使いのフランク・オズ。この物語の主役であるオードリーIIの生き生きとした表現! これだけの大がかりな植物をCGなしで作り上げたと言うだけでも見応えありですよ。オードリー操作には何十人もの人が携わって、フィルムの撮影スピードの調整によって、俳優がスローに演じたりしながら、オードリーとのコラボを違和感なく仕上げているそうです。

このあたりは今回音声解説でわかったのですが、いかに大変な撮影であったか、その手間暇かけっぷりにため息さえ出ます。これはリメイクではきっとCGで再現されるのでしょうが、このアナログの熱量には敵わないのじゃないかなーと言う気がします。それはカーペンター監督の『遊星からの物体X』同様にSFXの時代が産み出した芸術だと思うんですよね。CGでそれ以上の事が出来たからと言ってこのアナログが色あせることがないというか、やっぱり心血注いだ作品って魂が宿るんじゃないかって気がします。

 

ちなみに舞台ミュージカルの方はロジャー・コーマンのオリジナル同様アンハッピーで終わるらしいのですが、映画は試写の結果観客の反応が悪く、ハッピーエンドに切り替わったようですね。音声解説でもフランク・オズは舞台同様アンハッピーにしたかったようで、かなりしぶしぶ変えたことを告白してました。

確かにオリジナルのラストはインパクトありましたが、このミュージカルの雰囲気だとやっぱりハッピーエンドが似合うかなーと思います。

 

リメイク版はシーモアにタロン・エガートン、オードリーにスカーレット・ヨハンソンが候補にあがっているようですが、スカーレット・ヨハンソンはともかく、タロン・エガートンは『ロケットマン』で実は結構演技の幅が広い俳優だとわかったものの、ちょっとイメージが違うかなーと言う気分です。まあ、それは私があくまでリック・モラリス基準で考えているせいかもしれないのですが。

日本公演ではシーモアを真田広之DAIGOが演じたりで必ずしも非モテタイプが演じている訳でもなさそうですしね。

ただ、個人的にはリック・モラニスがはまりすぎるんで、それ以外のシーモアがイメージ出来ませんね。