あれ? 私は結構面白かったけど、某所では酷評の嵐ではないか!

私の白石監督への贔屓目なのか?

個人的には黒沢清監督の『CURE』のエンタメ版って印象を受けたよ。

白石くんもすっかりメジャー系の監督になったなーと、あの低予算で知恵しぼって撮ってる感じが良かったんで、予算がある分白石監督らしさが薄まるんだけどね。でもテロ爆弾のニュース映像はさすがの白石くんらしいリアリティがあってよかったよ。

それ以外のテロシーンとかCGはやっぱりどこか安っぽい感じはあるんだけど。

 

お話自体も、確かにエリカ様の役柄はリアリティないし、いかにも漫画のキャラっぽいよ。でも、漫画原作だと思えばそこはまあ、こんなもんかと。きれいだけど全然共感や好感を持てるキャラじゃないね。ちなみに原作では刑事は男性らしいね。この映画に出てくる女性刑事はみんなきれい過ぎるというか、いや、実際の女性刑事がきれいじゃないとは言わないけど、全然刑事に見えないのね。まあそれもご愛敬か。別にリアリティを追求した作品って訳でもなさそうだし。
原作コミック読んだことないけど、ちらっと見る限り、主人公の宇相吹もいかにも漫画っぽいイケメンキャラなんで、まあそれを再現したらまあこんなもんかと言う感じ。白石監督は割と底辺にいる人間を描くのはものすごくリアリティがあって上手なんだけど、美男美女となると途端に漫画的キャラになる。『カルト』のネオ然り、『貞子vs伽椰子』の常盤経蔵然り、今回の宇相吹も、みんなイメージ一緒。嫌いじゃないけどこれが白石監督イケメン像なんかなーと思う。本来は漫画的ストーリーの中のリアリティというのが白石監督の魅力だと思うけど、まあ、こういうこてこての漫画っぽさもいいんじゃないかなーと思ってしまう。

立証出来ない殺人という点は面白いし、マインドコントロールされて自滅する人間の描写もなかなか面白かった。最初のスズメバチとか、ニコチンの入ったペットボトルとか。

個人の怨恨だけで人を死刑にすることがいかに危ういかを描いていてそのあたりは面白かったよ。特に姉妹のエピソードなんかちょっと印象的。

まあ、原作も1話完結ものらしいので、映画もオムニバスっぽい出来だし、短編の為か各登場人物の行動が短絡的にも思えるけど、そこはまあ、やっぱり漫画原作だからこんなもんかと。私ったらなんだか大目に見過ぎてるのかしら。

でも、いろいろつっこみどころや欠点はあるかもわからんけど、私は見ている間は楽しめたんで、けして深い映画ではないけど娯楽としてはそこまで悪くないと思うよ。

 

それにしても、この映画はエリカ様が捕まる前に公開されたから良かったものの、『善悪の屑』に関しては本当に未公開が残念だ。