※ネタばれあり
こちらは東宝による日露戦争、日本海におけるバルチック艦隊との戦いを描いた戦争映画。
『二百三高知』が陸軍の戦いがメインならば、こちらは海軍の戦いがメイン。
『二百三高知』では海軍の対戦はさらりと描かれるだけだし、こちらも陸軍の対戦はあくまでさらりと描かれる程度。いずれも乃木大将が戦死者の多さに責任をとって死のうとする描写が窺える。
日露戦争の前後を描いているので、『二百三高知』と続きというか(制作年度は『二百三高知』よりこちらの方が早いのだが。)、かぶるところも多々あるが、またちょっと視点が違っていて興味深い。
特撮は円谷英二。
またまた三船敏郎、仲代達矢と『二百三高知』と同じような顔ぶれで演じる役が異なる。
『二百三高知』で明治天皇を演じた三船敏郎は今回は東郷平八郎。
乃木希典を演じた仲代達矢はこの映画ではスウェーデンで工作活動をしていた明石元二郎を演じている。黒猫好きというところがよかった。「尾行されていないか?」と仲代が確認した際にスパイが「私は大丈夫」と言い切ったところでやばいフラグ立ってるなーと思ったら案の定。
広瀬武雄少佐を演じる加山雄三はなんだか「嘘!?」ってくらいあっけなかった。結局杉野孫七上等兵曹はどうしたんだろう? このあたりのエピソードは史実通りのようだが。
バルチック艦隊に関してはロシアから遠路はるばるよく日本海に来たなーという感じで、それだけの行程を経て、完敗とは、なんという徒労感。
この海戦においては日本の方が一枚上手だったようだ。
島根に流れ着いたロシアの海兵の遺体を見て「ここに流れ着いたのも何かの縁だろう」と弔う島根の人々の姿がちょっと胸にきた。
完全勝ち戦なので、『二百三高知』のような悲惨さはあまり感じられず東郷平八郎の英雄談という趣ではある。