原作は柚月裕子さんって女性の方なんですね。東北の方ですが、舞台は広島。
私は『仁義なき戦い』も観たことがないし、あまり極道ものになじみがないんですが、役所さんの評判がいいし、こういう役は役所さんに似合いそうなんで観てみました。
ネタばれ
のっけから豚のクソを食べさせると言うきついシーンに、ちょっと観るの止めようかって気分になったんですが、頑張りました。
こういう映画の暴力シーンってちょっと痛々しくてしんどいんですよね。
昭和の終わりという設定で、暴力団の抗争が表だって見える時代のお話。
型破りな大上巡査部長と、その捜査法に反感を覚える日岡巡査。
なんていうかある種の必要悪的な所行なんですかね。大上の行動はあくまで暴力団側でも警察側でもなく一般市民を守ることにあるというのが彼を肯定する根拠となるのでしょうか。
ただ、彼ひとりでそのバランスを守り続けることは出来ないし、幸いにして物語は日岡巡査が引き継ぐという結末だったから成り立つけど、そうじゃなければ崩壊する訳で。
この種の問題はひとりのヒーローでどうにかなる問題なのかという疑問が残りました。
それに大上のやり方は当然暴力団の恨みを買うような行為でもあるし、案の定彼の末路は捜査の過程で暴力を振るった男による復讐という要素も強かった。
ここでも豚のクソを喰わされると言う最悪な殺され方で嫌な後味。
日岡だって、だまし討ちみたいなことをして、のちのち江口洋介の恨みを買わないのでしょうか?
いずれにせよ現在では物語で懸念しているように暴力団はもっと水面下に暗躍するということで、この時代より厄介なのかもしれません。
竹野内豊(今回は『カンフーハッスル』の斧頭会の組長に見えてしょうがなかった)、中村獅童など、あまり物語上活躍のない役柄。
江口洋介はこれまでの彼のイメージがあるのであまり怖く感じない。
田口トモロヲもちらっとお目見え。
役所さんはさすがの演技でした。