やっべ、これ超俺好みじゃん!
エクソシスト系映画好きの私を刺激するお祓い映画だし、白石晃士監督の『カルト』っぽいし、登場する霊媒師がみんなキャラ立ちしてて勿体ないくらい。
特に松たか子のキャラ立ち最高!
そんな予感はしてたけど、全部松たか子にもっていかれた感あるね。
原作者(澤村伊智)は白石晃士監督の影響を受けていないのかな。でも、後半の展開は原作とはかけ離れているらしいので、影響を受けているのは中島哲也監督の方かもしれない。 どっちかっつーと『哭声/コクソン』の方の影響かもしれないけど。
とにかくああいうお祓い儀式みたいなのってわくわくする。
冬に立て続けにホラーが続いているけど、2本続けてあたりとは珍しい!
ネタばれ
本編がみっつのパートに別れていて妻夫木夫の視点、黒木華妻の視点、岡田准一の視点で描くあたりも面白かったし、「2年後」とか「翌日」とか時間の経過を表す時は『シャイニング』っぽい演出だった。
のっけから、妻夫木夫の胡散臭さがイライラさせるし、やたらこける所もイライラさせられる。
親族の集まりとか、結婚式とかホームパーティの空気感がリアルというか、このあたりの描写がやたら丁寧。
「嘘つき」と指摘されているが、嘘つきというより見栄っ張りで自分でも嘘をついているという自覚さえない感じで質が悪い。ただ、最後に妻と娘を守ろうとしたのは事実という感じがするので、もしかしてそこまで絶望的な人物でもなかったのだろうか。それとも妻子を守った自分に酔ってまたブログにアップするのかな。
彼の祖母の伏線が殆ど回収されなかったのと、行方不明の女の子が結局なんだったのかはいまいちよくわからんままだった。
松たか子霊能者を装って妻夫木夫が罠にかかるシーンはちょっと『哭声/コクソン』っぽいというか、あれはどっちを信じたらいいかわからんよ。松たか子も最初から、鏡と刃物が苦手って事教えといてあげようよ。
で、結構な悪霊なのに、妻夫木夫の死後2年も放置する松たか子。いくら忙しいと言っても放置したことで、のちにあんなにいっぱいの霊能者が死ぬ羽目になっております。
とにかく妻夫木夫はブログの使い方が現代的病を感じさせて良かったです。
黒木華妻パートに入って、妻夫木夫の真実が見えてくる訳だけど、そこは最初のパートから予想出来る範疇として、シングルマザーのこれまた大変さが見えてくる。
トイレで母親が尋ねてくるシーンは一番ホラー映画らしいシーン。
岡田准一パートに入ってからは、霊媒師バトルが実に楽しかった。
でも、柴田理恵なんか登場そうそう腕を失って退場したり、陽気なユタのおばさんたちもあっさり死亡しちゃったり、せっかくキャラ立ちしてるのに、活躍ないまま雑に消えていくのが残念だった。
まあ、柴田理恵は再び登場したからよかったけど。
個人的には4人のおっさん神主がすごくよかった。新幹線でユタの死を感知してばらばらに東京に向かうところで「誰かひとりくらいたどり着けるだろう」って、もうこれが命がけのお祓いとわかった上で東京に向かうシーンはぐっときた。幸い東京まで誰も死ななかったようだけど、彼らもやっぱりお祓いの最中にあっさり死んじゃって本当に残念だった。
(こういう、死ぬとわかっていてもプロフェッショナルに自分の務めを果たすって描写に俺弱いのよ。現実で言えば日航機墜落事故のボイスレコーダーの機長とか、絶望的な状況でありながら最後までベストを尽く人の生き様が琴線に来るって言うのかな)
いや、もう、もっとこの霊媒師たちにスポットをあてて、いろいろ描いて欲しいなってくらい、自分の創造力を刺激してくる。
そしてラスボスの松たか子が圧巻。岡田准一を殴り倒した時は最高!って思った。
原作でもこの姉妹が主役でシリーズが続いているようだが、映画も是非そうして欲しいって気がするほどよかった。
何やら国の偉い人と繋がりがあり、警察をも動かせる影響力を持つという大風呂敷広げっぷりが小気味よかった。
まあ、なんだかんだありますが、子供は愛でましょう!ってお話です。