もっと馬鹿映画なのかなーと思ったら意外にお話がちゃんとしていた。
それもそのはず。ちゃんと原作があるのね。特に前半の深海シーンがよかったな。
大味だし、中途半端なお涙ちょうだいをぶっこみ過ぎだし、鮫と対峙する緊張感は『ジョーズ』にはかなわないけど、ステイサム兄貴の牽引で楽しく観られた。
ネタばれ
びっくりするほど、皆様いさぎよい自己犠牲っぷり。
のっけから、ヤッター!の『HEROES/ヒーローズ』ヒロ・ナカムラことマシ・オカが自らメガロドンの犠牲となって死亡する(この人ずっと中国人だと思ってたら日本人なのね。確かに日本語は上手だったが)。ちょっと潔すぎるというか、この人の人となりがいまいちわからないので、いきなりこんな行動に出られても若干ぽかーんと言うか、あまり心が痛まない。
それは、医師のヘラーも一緒で、確かに彼は冒頭で仲間を見殺しにしたステイサムを責めていたが、ここで「君は良い人間だ。生きろ」と女性の為に自ら犠牲になるという行動も、あんまり説得力がないというか、唐突感があるというか、これまたぴんとこない。その後女性もヘラーの犠牲を糧に大活躍って訳でもないし。人の死がなんとなく一過性のお涙ちょうだいっぽくて、物語上の効果になっていない。
さらに、ヒロインの父親まで死亡する。こう立て続けに、気持ちがのっからないままばたばた人が死なれても、痛ましいという感覚がどうしてもわかない。このあたりは演出的な問題か、人間の描き込みがいまいちなのか。
しまいには、この種の映画では悪役になりがちなスポンサーまでもが、いい人っぷりを発揮し、「何、この優しい世界」と思ったら、さすがにそこは裏があった。
あれだけの巨大鮫をろくな装備もなく、発信器をつけに単身泳いで鮫に近づくとか、鮫の大きさから考えてくわえて引っ張られる可能性が十分ある装備で海にに潜り、案の定鮫に襲われ、引っ張られ、その力に耐えうるクレーンでもない訳だから壊れるし、いちいち「嘘でしょう?」と思いたくなるような無茶な作戦で挑む様はちょっとなんだかなーと言う感じではある。
予め鮫の大きさは分かっているのだから、それに備えた装備を準備出来なかったのか?
さらに途中でヘリがくるのだが、だったらヘリの上から発信器を撃つとか、攻撃するとか、手はなかったのか?とこれまたクエスチョンである。
あとあと、間違いではあったが、クジラを倒すだけの爆薬をヘリから投げてた訳だし、早くからそうしていれば…という引っかかりが。
そういう意味では人間が単身で挑む必然性がちょっと弱く感じてしまう。
見せ場のビーチでの鮫攻撃も意外にあっさり。
最終的にはステイサムと鮫の一騎打ちで、鮫のパニック映画と言うよりは、やっぱりステイサム兄貴のアクション映画という見方が正しいのだなーと思う。
前妻と中国人女性というよくわからない三角関係設定もなんだか中途半端。
でも、リー・ビンビンはとても美しい。45歳とは信じられないほど。
娘役の子も可愛かった。
マリアナ海溝での潜水シーンが一番わくわくした。擬似的深海探検っぽい感じでよかった。
それにしてもあれだけハイテクな基地なのに、なんでエレベーターはあんなにぼろいのだろう…。