前回から10年の月日が流れ、それでも前回のキャストをほぼ取り揃えたのはすごいというか(でも、ソフィのふたりの女友達は登場しなかったけど、何故?)、今回も前回使用したABBAの曲で構成されているのだが、同じ楽曲でもうひとつ作品を作るというのも斬新な感じ。
前作から数年後という設定らしいが、アマンダ・サイフリッドはあのはちきれんばかりの瑞々しい若さはなくなり、ドミニク・クーパーもおっさんになった。キャストは皆ぐっと年老いてとても数年後の話しとは思えない。
そんな中若きドナを演じるリリー・ジェームズが若くはつらつとした魅力を放っていた。
ABBAのPV的な仕上がりで、ミュージカルシーンは楽しめるし、泣かせる気満々の設定なので楽曲のよさと相まって感情が高まる映画だ。
ネタばれ
それにしても、大物ゲストばりに登場するシェールの唐突感。メリル・ストリープの母親とは到底思えないというか、設定でも実年齢でも年上のはずのシェールがメリル・ストリープより若く見えてしまう違和感。
さらに、フェルナンド!と昔の恋人との再会でラブラブする様子は唐突すぎてついていけないというか、あのあたりは物語から浮いてるし、正直「そのエピソード必要?」という感じだ。
突然ドナが死んだことになっていて(メリル・ストリープが出演出来ない大人の事情でもあるのかと思ったが、最後の最後でメリル・ストリープも登場するのでそういう訳ではなかったようだ)、何故早々に亡くなってしまったのかはわからないのだが、この時点で母と娘の泣かせるストーリーになるのは必至。
母の為に再会したホテルが嵐に見舞われ、ゲストも来られない状態で落胆するソフィの前に「ダンシングクイーン」の曲にのってふたりの父親と大勢のゲストが船で現れるシーンが一番盛り上がる部分で、ここで終わってもいいくらいだった。
スカイが都合良く、ソフィの元に戻ってきたり、ホテル再開のタイミングで音信不通だったおばあちゃんが突然やってくるなど(あの感じだとドナの葬式にさえ来てなかったっぽいし)、いろいろ不可解な部分もあり、やや強引なハッピーエンドだが、それでも、洗礼式のシーンはぐっとくる。
前作ではスカイと結婚してめでたしめでたしとなるところを、あえて、旅立ちを選ぶソフィ。それは結婚をゴールとしてめでたしとするこれまでの価値観への挑戦と思ったのだが、結局今作ではスカイと結ばれ、子供が出来て、めでたしめでたしという従来の価値観に帰結するのも、「では前作のラストはなんだったんだ」と思わなくはない。
このあたりは現代女性像を描こうとして迷走した挙げ句、結局結婚と子供に帰結したブリジット・ジョーンズシリーズを彷彿とさせる。
従来の結婚すればめでたしめでたしという価値観を覆したのは、むしろドナであり、彼女は最後まで己の生き様を貫く。
ただ、ドナのような奔放な女性が、3人の男性と関係を持った後、一切浮いた話しがなかったとは到底思えないので、そこはひっかかる部分ではあるのだが。
まあ、そんな細かい部分は気になりつつも、楽曲のよさでなんとなく気分が明るくなれる映画ではあった。
※個人的にはABBAの『As Good As New』を歌って欲しかったなー。