1作目のプレデターで密かに推しメンだったのが通信兵のホーキンスだった。大きなメガネで、下ネタジョークを得意とし、「今のは児玉だよ」のジョークでネイティブアメリカンのビリーを爆笑させる。ちょっと優男っぽい感じで見た目がタイプだわんと思ったら、なんと一番最初に殺されてしまった(爆)。最初に推しメンが殺されるとその後のテンションががっつり落ちる。でも、プレデターはそれでも十分面白かったけどね。

 

そのホーキンスを演じたシェーン・ブラックが今回の監督、共同脚本をつとめると言う。もともと『リーサル・ウェポン』での脚本で注目され、俳優、脚本家、監督など、多方面で活躍する才能のある人なのだが、見た目はもはやホーキンスの面影なく、ちょっとがっかり。

一作目の『プレデター』でも俳優として起用されただけじゃなく、密かに脚本の手直しをさせようと監督が目論んでいたようで、結局手直しがなくなったので脚本家としては関わっていない。

でも、一作目から関わりのある人だし、自ずと今作の期待が高まる。

 

しかし、思ったより低評価で、見る前から不安がよぎる。

なんでハードルが下がった分、そこまで悪くないかなーという印象ではあるが、しかし、高評価とも言いがたい。

 

シェーン・ブラックは最近では『アイアンマン3』の脚本、監督も務め、その為か、プレデターがぐっとアメコミヒーローっぽくなった感がある。

子供が絡むという時点で、ハードな男臭いアクションというよりは、ジュブナイルよりになったというか、そこは好みの問題もあるんだけど、私はあんまりお子様を絡めるのは賛成しないかなー。

これまでと違うテイストで挑むという野心は感じられるのだが、そこは賛否両論となる部分かもしれない。

まあ、私は嫌いじゃないけど、少なくとも1作目、2作目のようなテイストを望むとちょっと違うかなーという感じではある。

 

無名俳優ばっかりだなーっと思ってたら、GOTのシオン役のアルフィー・アレントーマス・ジェーンが出ているのは驚いた。特にトーマス・ジェーンはイメージが違い過ぎて全然わからなかった。

 

ネタばれ

もともとシェーン・ブラックはユーモアのある人なのだろう。ホーキンスさながらに下ネタをぶっこみ、そもそもプレデター(捕食者)じゃなくてハンターじゃないかとメタ的突っ込みまで繰り返す。

個人的にはホテルで女性科学者相手に賭をする野郎どものやりとりは面白かったが、あのシーンだけでも無駄に長い。

その分、一作目に見られたようなプレデターと戦う緊張感みたいなものがあまり感じられない。

 

難を感じる部分では、まずスナイパーである主人公のスナイパーとしての活躍があまり見られない。まあまあのイケメンでそこはいいんだけど、シュワちゃんやダニー・グローバーに比べると存在感が足りないかも。

次に彼に協力する軍事刑務所への護送中の兵士たちが、何故そこまで命がけで彼に協力するのか動機が見えてこない。ただのいい人たちで片付けられても納得出来ないし、せっかくいろいろキャラ立ちさせているのに、どうも気持ちにすっと入ってこないので、一作目のようにひとりひとり亡くなっていくことにハラハラ感や痛みが殆どないのだ。

勿論、もはやこれまでとなったふたりが互いに互いを撃つとか(どっちかが外して、ヘタクソっていいながら片方が自殺するなんてひねりのある展開でもよかったけど)、バリアによって足を切断されたり、自ら命がけでプレデターの船に打撃を与えるなどのシーンは印象的ではあるが、それでもどこか物足りなさがある。

動機がよくわからないという意味では、プレデター側も、何故そこまでして地球人を助けようとするのかがまったくわからない。プレデター同士が対立関係にあるという設定は面白いのだが、地球人にプレデターキラーなる武器を与えるほど、プレデターは地球人に何を期待しているのだ? そもそもなんで自分でそのプレデターキラー身につけて戦わないのだ?と言う疑問も多々。一見地球人の味方っぽい割には最初っからばっさばっさ地球人殺しまくるし、研究所でも大暴れするし、何がしたいのかいまいちわからん。

しかも、プレデターって足が遅いのかな。女性科学者とずっと平行で走ってる姿は女性科学者がすごいのか、プレデターが見かけ倒しなのかわからん絵面。

この女性科学者もやたら強くて、最後は大型プレデターに飛びかかってたもんね。瞬殺されてもおかしくない状況かと。このあたりで大型プレデターも弱っちく見えちゃって脅威感減退。

最後は一作目と同じ台詞で主人公に「おまえは何なんだ」と言わせて、それにプレデターが答える前に殺すというパロディで締めるのも微妙っちゃー微妙。

いや、『ターミネーター』もそうだけど、やっぱり三作目というのはこれまでのシリーズのパロディになりがちなのかなーと言う気も。

プレデター犬も面白かったけど、途中でおとなしくなっちゃって、なんだか尻つぼみ。

天才少年もその記憶力とかがここ一番で目立って活躍という訳でもなく中途半端。故意ではないにせよ、人一人殺してるのに、割と後に引かない感じ。

主人公グループと極秘機関スターゲイザーとの対立も長いというか、スターゲイザーは確かに機密を守る為にやたら主人公たちを葬ろうとしてたけど、だからと言って主人公たちもスターゲイザーのメンバーをほいほい殺しすぎじゃないかという違和感。

で、最後はアイアンマンさながらのスーツをつける気満々の主人公と、一気にアメコミヒーローものへとシフトする。そこを許せるかどうかが今作の鍵かなーなんて言ってみたりして。

 

駄目だし列挙みたいになってるけど、でも見てる間はまあそこそこ楽しめたし、意外に続きがあったら見てみたい気分でもあったりする。あくまでこれまでのプレデターとはまったく違う作品としてね。