ネタばれします。

 

ジュラシックパークを作って崩壊し、廃墟と化す。ジュラシックワールドを作って崩壊し、廃墟と化す。このように廃墟と化したテーマパークという絵面を何度見せられたことか。崩壊後、恐竜で儲けようとする一派と、恐竜を保護しようとする一派との対立と、島を抜け出した恐竜というワンパターンが繰り返される。しまいには、恐竜が島を出て大暴れという展開へ。他に考えられるストーリーラインはないのだろうか。

でも、今回はロストワールドのようにティラノサウルス一頭ではなく、たくさんの恐竜が放たれたので、そこだけ目新しいか。

 

前半のイスラ・ヌブラル島の火山噴火は見所ではあったし、麻酔銃で撃たれて身動き出来ないクリス・プラットに迫り来る溶岩とか、ブラキオサウルスが火山灰に消えていく映像は素晴らしく、そこがこの映画のピークであったが、その後舞台がカリフォルニアの屋敷に移ってからは展開が地味で面白みに欠ける。

 

新シリーズになってから、ハイブリッド恐竜もお約束となったが、前作のインドミナス・レックスはまだしも、今回のインドラプトルはラプトルがちょっと大きくなっただけでそれほど面白みもない。嗅覚敏感な割には身を隠す3人の臭いに気づかない。そのくせ、逃げた少女の臭いは察知して執拗に追いかける。エイリアンにしても恐竜にしても生物兵器として利用する動きが必ずあるが、生物兵器は管理が難しいしどう考えても科学兵器の方が良いと思うのだが。

 

ヴェロキラプトルのブルーは忠犬ハチ公のごとく、ひたすらクリス・プラットに尽くす。前回は油断すると襲ってくるような緊張感があったが、今回はそんな様子は殆どない。

インドミナス・レックスもヴェロキラプトルの遺伝子が入っていて、ヴェロキラプトルと共闘しかけたものの、同じヴェロキラプトルの遺伝子が入ったインドラプトルには敵意しか抱かないのも不思議。

 

そんでもって、ここで、ティラノサウルスが助けてくれるんだな。ここでヴェロキラプトルが助けてくれるんだな。と割と展開はまるわかり。このあたりはもはや様式美ってやつですかね。

 

個人的には私が子供の頃恐竜ごっこをする時に決まって演じていたジュラ紀の大型肉食獣アロサウルスの初登場は嬉しかったし、石頭で名高いスティギモロク登場も良かった。まあ、この恐竜が主人公たちの隣の檻に入れられているというご都合主義的展開はご愛敬。

 

少女がクローン設定って何か意味あるのかなーっと思ったが、最後に同じクローン技術で産み出された恐竜に感情移入して逃がすという選択をする為の伏線だったのだろうか。まさかそれだけの為の設定???

この少女の行動が映画的に批判されてはいるが、良い悪いというより人間は結果を考えるよりも一時の感情に動かされて不合理な行動することがある、それこそが予測不能なカオス理論ということなのかなーと思ってみたり。

その結果、人類がかつてない脅威にさらされるのも自業自得かもしれないが、次作でそのカオスの世界をどう描くのか少し期待している。でも、もうハイブリッド恐竜はうんざりだな。ウー博士が生きてるからどうせまたそんな展開かもしれないし、だとするといまいち期待出来ないかも。まだ登場していない恐竜がいるんだし、想像の恐竜よりももっと実際の恐竜の生態が観たいのにねー。

とりあえず恐竜にはチップが埋め込まれているんだから、位置情報はわかるし、さっさと捕獲するがよろしい。

 

ブライス・ダラス・ハワード演じるジュラシック・ワールドの元管理責任者は商業主義に走ってハイブリッドの恐竜を開発し、パークを崩壊させた責任があるのだが、改心したことでなんとなくちゃらになっているのがいまいちひっかかる。

最後の最後で止まったけど、無謀に全部の檻を開けてしまうのも、相変わらずびっくり。恐竜を逃がすにしてもせめて草食恐竜だけにするという選択は考えなかったのか?

クリス・プラットも暢気に「よく考えろ」なんて言ってないで力尽くで止めるべきでは?

 

とはいものの、ここで恐竜が滅びてもつまらないので、やっぱり野に放たれた恐竜がどうなるかを見てみたいという気持ちはある。

何しろ今作は前作に比べて面白みががくりと落ちてしまった。やっぱり恐竜は屋敷みたいな狭苦し場所は似合わない。