38年もの間、ひたすら増築を続けた実在の屋敷。 
死ぬまでに行きたい場所ベスト3にはいる屋敷なので題材はばっちり。 
でも前評判がイマイチで不安を覚える。案の定これじゃない感満載。 

予算がなかったのかなー。いくつかの屋敷のセットをひたすら使い回してる感。 
100部屋以上あり、いろんな仕掛けのある屋敷なのに、その面白さがほんの一部しか描けてない残念感。 

で、やってることは有名な屋敷を使ってのお化け屋敷。突然現れてはびっくりみたいな繰り返し。 
フィクションに走るより、もっと屋敷を建てるにいたる背景とか、屋敷をひたすら建て続ける人間の狂気とか、屋敷の内部構造とか、そういったことを丁寧に描いて欲しかったな。 

ネタはいいのに料理の仕方が好みじゃなかった。

 

個人的にはスピエリッグ兄弟『デイブレイカー』『プリデスティネーション』など、ユニークな作品を撮る監督なので、ちょっと期待したのだが…。

 

ヘレン・ミレンはよくこの映画に出演したな。

 

 

ネタばれ

映画ではウィンチェスター銃によって死亡した人間の魂が戻り浄化するために、彼らの縁ある部屋を作っているみたいな設定になっていたが、むしろサラは亡霊を恐れ、亡霊から逃れる為に増築し続けたようだし、その為に悪霊を惑わす仕掛けがユニークで、行き止まりの階段をはじめ、偽の扉、落下する危険のある扉等、そういう部分をもっとクローズアップして欲しかった。

サラしか入れない隠し部屋や、舞踏室、エレベーターと、まだまだ屋敷には面白い設備や仕掛けや部屋がたくさんあるのに勿体ない。
そういったことに殆ど触れずに映画オリジナルストーリーで展開されても違和感があるというか、それならば実在の屋敷を使わなくても、スティーブン・キングの『ローズ・レッド』のように完全にウィンチェスターハウスをモデルにしたオリジナルにしちゃった方がよい。わざわざウィンチェスターハウスを題材にしてるのだから、フィクション性はあまりいらない。

 

サラが姪や姪の息子と同居してた時期があるのか不明だが、子供が夢遊病で死にかかったと言うのに割と暢気だなーと思ったり、実弾いれた銃を子供でも取り出せるような場所に並べておく危険性なんかも無頓着でなんとも不可解。

 

ウィンチェスター銃で3分死んだ主人公には霊魂が見えるという設定はちょっと面白かったが、所詮おっさんひとりが霊魂に出会っておびえるだけの話しでは飽きてくる。

それでも最初の鏡を使った演出は怖かったし、この映画で一番どきっとさせられた。

ただ、所詮こけおどしに出てくるだけの霊魂たちなんで、慣れてくると「だからなに?」という気分にはなる。

 

しかも後半はちょっと笑えてきちゃって、温室でずらりと霊魂に囲まれる主人公あたりからギャグに見えてきてしまった。しかも成仏出来ない霊魂たちなのに、結構協力的というか、黒人奴隷と思われる霊魂などは13本の釘まで用意してくれる。

 

ちなみにメインとなるベンジャミンと言う男がウィンチェスター社に乗り込んで銃で社員を殺戮したという事件は実際あったのだろうか?

またサラを鑑定した精神科医のエリック・プライスは実在した人物なのか?

ちょっと調べていみたが、該当する記述が見つけられず、とりあえず精神鑑定は行われたかもしれないが、いろいろこのあたりはフィクション臭いな。