デ・パルマ初期作品として名高い作品で、観たい観たいと思いながらなかなかレンタル屋で遭遇することがなく、今日まで見逃しておりました。
このたび、主演をつとめたマーゴット・キダーさんがお亡くなりになったので、ディスカスでレンタルする運びとなりました。
マーゴット・キダーさんと言えば、どうしてもB級ホラー映画女優のイメージが強く、だから78年版の『スーパーマン』でスーパーマンの恋人を演じた時も、「あのくそ面白くない『悪魔の棲む家』の安っぽい女優さんが!?」なんてイメージで、実はあまり魅力を覚えない女優さんだったのですが、悪魔のシスターはまだ若く、初々しく、加えてデ・パルマの撮り方もうまいのか、大層かわいらしく見えました。コケティッシュな魅力もあって、これまで観た彼女の出演作の中では一番魅力的です。
彼女の場合後年そのなまめかしさが安っぽく見えちゃったんですが、この作品の色気はいい感じです。
『ファントムパラダイス』のウィリアム・フィンレイがこれまた灰汁の強い存在感で、映画にアクセントをつけております。
(今回はじめて『ザッツ・ショック』で観たウィリアム・フィンレイが肉切り包丁を振り下ろす一場面がこの映画から引用だと知りました。)
それにしても、シャム双生児を扱ったサスペンスくらいの認識しかなかったのですが、もう、既にデ・パルマのスタイルがここでかなり確立されていたんだなーという印象ですね。
『殺しのドレス』が『サイコ』(というか、もはやサイコのリメイク的な)、『ボディ・ダブル』が『裏窓』と『めまい』の掛け合わせであるならば、こちらは『サイコ』と『裏窓』の掛け合わせ的な。
ネタとしてはもはや今となっては早々に先の見える展開ではありますが(若干のネタばれになりますが、姉妹の片方が存在していないであろうことはすぐに予想がつきますし)、それでも、見せ方が上手いので、得意のスプリットスクリーンを駆使した最初の事件などはこの映画の一番の見所です。
後半若干ぐたぐだな感じもしましたが、嫌な後味の残し加減が絶妙です。
冒頭のフェイクのかけ方も『殺しのドレス』や『ボディ・ダブル』を彷彿とさせます。
覗きがキーワード的に描かれているのですが、いまいち作品のテーマとどう連動しているのかわからなかったです。
ヒッチコック御用達のバーナード・ハーマンが音楽を担当ということで、とことんヒッチコックに寄せた作品ですね。