『ラ・ラ・ランド』ベンジ・パセック&ジャスティン・ポールコンビが音楽を手がけたらしいが、『ラ・ラ・ランド』がいまいちだった自分にはどうもテンションがあがらない(『ラ・ラ・ランド』もAnother Day of Sunとかは好きですけどね)。 
でも、いざ観ると『ラ・ラ・ランド』よりこっちの方が曲がキャッチーで耳なじみがよく、気に入った曲が多かったので、久々にサントラが欲しくなった。 
やっぱり「THIS IS ME」のシーンがこの映画の一番のハイライトだし、自分的には「リメンバーミー」より「THIS IS ME」の方にアカデミー主題歌賞を取って欲しかったな。 「Never Enough」も非常に印象的で、これは吹き替えによるものだけど女優さんの迫真の演技とあいまって、実に感動的だ(ちなみにオペラ歌手という設定だが、まったくオペラではない)。
ミュージカルシーンの演出もキレッキレで気持ちが良い。 空中ブランコのりと愛を語るシーンなどもアクロバティックな演出がよかった。
ただ、なんとなく『ハイスクール・ミュージカル』を観ているような非常にライトな印象。ザック・エフロンが出演してるから余計にそう思えてくる(この映画におけるザック・エフロンがものすごく本木雅弘に見えてしょうがなかった)。  
ストーリーは『ハイスクール・ミュージカル』ほどちゃらくはないのだけど、困難な状況が描かれていても、全部サラサラっと流れて行くので、重みは全然感じない。なんとなく予定調和を観ているような気分でいまいち感動に至らない。 

実在した興行師P・T・バーナムの伝記映画らしいが、いろいろ美化し過ぎているような…。 

でも、ミュージカルとして大絶賛に至らないけど、悪くないっていうか、嫌いじゃないていうか、どっちかと言えば好きな方。

 

 

 

ネタばれ

テーマが非常に優等生的で恥ずかしいまでにど直球。

社会的弱者やマイノリティが一丸となって人を楽しませるショーを作り上げ、そこに居場所を見いだす、引いては家族を大事にするという話しとしてはいかにもハリウッド受けする感動的でいい話なのに心にあまり響かないのは、展開が全体に唐突感が否めず、登場人物の気持ちにいまいち共感出来ないまま話しが表面的にサラサラと進むのが問題なのかなーっと。

例えば、主人公が父親を亡くして以来殆どホームレスみたいな状態に陥るのだが、そこからどうやってはいあがって、令嬢と結婚にまで至るのかがめっちゃ割愛されてて、いや、なんとなく脳内補完出来なくはないけどはしょりすぎるなーという印象(あの両親がよくふたりの結婚を承諾したなーという驚きの展開)。

フリークスたちが主人公の高名心を知って、それでも居場所を作ってくれた人だから彼を許そうと思い至る心情も唐突だし(多少なりとも彼に怒りをぶつけ、そして和解という流れが定石なのだが)、ザック・エフロンの空中ぶらんこのりとの恋愛から、いつのまにサーカスの興行師みたいな立ち位置を望んでいたのかもわからないので、主人公が家族の元に駆けつけるのにザック・エフロンにその座を譲るような形になったラストもぴんとこない。

なんとなく表面的には語られているのだけど、いまいち魂で語っているように感じないのだな。ミュージカルシーンはいいのだけど、ストーリー的にはちょっと惜しい感じ。

 

オペラ歌手ジェニーは途中で公演を放棄しちゃうけど、当時は契約書とかまともに交わさなかったのかしら…。

彼女だってこの公演によって収益があると思うのだけど、それを簡単に放棄しちゃうほど愛を欲していたのかーというこれまた唐突な驚きね。このジェニーって人がどういう人なのかもさらっとしか描かれないから脳内補完するっきゃありません。