ティム・カリーがピエロを演じる1990年のテレビミニシリーズはその昔、VHSで観たことがあるのですが、前半は『スタンドバイミー』を思わせる少年たちの友情とジュブナイル的な趣があり、かなり面白かったと記憶しています。

スティーヴン・キングの原作も途中まで読んだのですが、挫折。いつか再トライしようと思いながらズルズル年月が…。

 

そんなこんなしている内に今回の映画化です。

さすがにテレビシリーズよりはお金かかっていて、派手になっています。
のっけから、主人公の弟の無残な扱いに唖然。昨今子供をこんな風に真っ正面から無残に描くのは珍しいような。

 

ビル・スカルスガルド演じるピエロもなかなか怖くて、会話していても端々に怖さが漂ってるあたりが良かったです。
ものすごい速度で向かってくるあたりも嫌な感じ満載です。

 

子供たちが友情を育む過程も悪くなく、でもシーンによってはテレビシリーズの方が好きだったなーなんて思うこともちらほら。

特に、紅一点ベバリーの浴室が血で汚れて、それが大人には見えない場面などは、テレビシリーズの方がぐっときましたね。というかベバリーの浴室汚れすぎって感じで、これはかなり掃除が大変。

ベバリーはテレビシリーズよりずっと大人っぽいイメージです。

 

テレビシリーズは大人になった彼らの回想という構成だったので、当時の思いなどが本人の口から語られるところがよさでもありました。

 

子供が感じる説明のつかない恐怖とかトラウマとか、そういったものをピエロがすべて象徴的に担っていて、ピエロ自体は実在する連続殺人鬼ジョン・ゲイシーをモデルにしていますが、本来子供に親しまれるピエロが裏の顔を持つという恐怖の対象としては絶妙な存在です。

その恐怖に勇敢に立ち向かう子供たちは、いささか勇敢過ぎるかなーとは思いますが、恐怖映画でありながら怖さよりも爽やかさのたつ希有な物語です。

キングはこういう少年時代のノスタルジーを描かせると天下一品ですね。

 

この物語ではいじめっこにしても、親の軋轢に苦しめられる存在として、子供が時にいかに過酷な状況で戦わねばならないかを象徴しています。しかし、あちらのいじめっこは銃まで出してきちゃうしやることがえげつないですね。

 

今回はチャプター1なので、次回は後半大人編となると思いますが、テレビシリーズでも大人編はがくんとつまらなくなるので、映画化にあたってそのあたりは上手くやれるのかなーという不安があります。

少なくともピエロの正体がアレっていうのは、テレビドラマ的に釈然としなかったので、そこは映画化にあたり納得させてくれるのかがキモですね。