上映時間が20時50分と遅かったので心折れかけてたんだけど、頑張って観た甲斐があったというか、面白かった。
見終わって後味悪いというか釈然としない気持ちが残るんだけど、その分いろいろ考えさせれるって言うか。
マイケル・キートンは本当にいい俳優だなーって思う。
ネタばれ?
ということで、不動産を制する者は世界を制するというお話です。
いや、そんな単純でもないか。
映画では、野心家の男の前に屈服する兄弟みたいな趣があるが、wikiによると「兄弟は同社(クロックが経営する会社)の親善大使的存在として活動していた。」とあるので、まあ、そう悪い関係性でもなかったようだ。
自分たちの理想を管理出来る範囲でこじんまりとやりたい兄弟と、抜群のシステム力に目を付けた野心家の男。ちょっとアーティストと画商の関係をも思わせるというか、どんなに素晴らしいアイディアであっても、クロックの言う通り「才能、学歴etc」があっても成功出来るとは限らないというか、いや、ある意味クロックは商才という才能があった訳で、例え発案者であっても、一度バズったらもう本人にも止められない流れってものが出来ることもあるのだ。
レイ・クロックは野心の前に手段を選ばぬ嫌な男だが、しかし、彼なりのマクドナルド兄弟が発案したシステムへのリスペクトもあるし、また自宅を抵当に入れてまでのリスクを背負いつつも利益があがらぬ現状に、より利益をあげる為の追求という姿勢もわからんでもない部分がある。
これまで支えてくれた妻と離婚し、自分にとって最適と思えるパートナーに乗り換えるあたりは非情だし、決して快いものではないが、それまでうだつのあがらぬ営業マンであった彼が50歳を過ぎてつかんだサクセスストーリーとして観ると、ある意味勇気づけられるような複雑な気分。
彼の言う根気が勝因というよりは、人は何かに熱情を帯びた場合、そのパワーは計り知れないってことで、そんな男に目をつけられたことがマクドナルド兄弟にとってアンラッキーだったのかもしれない。
でも、なんだかんだ言ってそれなりの金額で権利を売却出来た訳だから、考えようによってはそう悪い話しでもなかったのかもしれず、いや、人はお金が全てではないしお金で魂を売る苦痛はあるかもしれないのだが、なんか、こう、どう捉えるべきかいろいろ考えてしまう。
結局紳士協定が守られなかったというのも後味の悪い部分である。
いずれにせよ、救いは、いくらレイ・クロックが創始者を名乗ろうと、結局はこの兄弟の功績が消え去ることはないってことだ。
※レイ・クロックは既に糖尿病で亡くなっているが、もし彼がまだ生きていたらこの映画は撮られただろうか? また彼が生きていたらこの映画をどう評価するだろう。