ジェイクライアン真田さんと、キャストには惹かれるものがあるのだが、やれエイリアンの二番煎じだとか、既視感ありとか、凡庸とか評判があまりよろしくない。でも、他に特に観たい映画がなかったのでとりあえず観た。最近このパターンが続く。 

でも、この映画は予想以上に面白いというか、確かによくある密室でのエイリアン攻防戦ものだが、この作品が何より新鮮なのは、舞台が当然のように宇宙船内に重力が存在する科学技術が進んだ遠い未来ではなく、現存する国際宇宙ステーション(ISS)であることだ。 

この宇宙ステーションの描写のリアリティがあるからこそ、ストーリー自体はこれまでのパターンを踏襲していても新たな気持ちで観られるというか、ステーション内の宇宙飛行士の生活や、無重力の描写、陥る危機など、宇宙を効果的な舞台装置にしていたと思う。 

POV的というか、モキュメンタリーっぽい雰囲気もあって、自分の好みでもある。

そしてこれまでのお約束への反逆というかパロディ的でもあり、久しぶりにものすごく嫌な後味だった。 
一応褒め言葉です。

 

とにもかくにもとんだカルビンでした。

 

 

ネタばれ

第一犠牲者がライアン・レイノルズとは! 

『ディープ・ブルー』のサミュエル・L・ジャクソンくらいの意外性。いや『ディープ・ブルー』の方がインパクトあるけど、でも、生物学者を救うために命をかけるあたり、良い奴なのに…という残念感はある。

まあ、足に絡みついたエイリアンを引き離した次点でラボを脱出していれば、その後ここまで大騒ぎにならなかった説も…。

それを火炎放射器で下手に殺そうとするから、最終的に自分も殺され、火気のせいでスプリンクラーが開いて、エイリアン隔離に失敗するわけだから、火が効果ないとわかった次点でしつこく殺そうなどと考えるべきじゃなかったよねー。

なんて、結果論というかタラレバだけど。

 

そして生物学者は足に感覚がないからエイリアンが足に張り付いていたことに気づかなかったのだと後から合点がいった。最初はエイリアンを確保する為にあえてこっそり自分を捕食させてそのことで皆に謝罪の言葉を言い出したのかと思った。

 

最近の傾向として司令官は女性であることが多いが、まだ現実でもアメリカ大統領は実現していないのよねー。

まあ、それはそれとしてこの女性司令官の死にっぷりが徐々に冷却水が宇宙服を満たすという悲惨さ。しかし死ぬ覚悟が出来ているんだったらエイリアンを連れて宇宙へ飛び出すくらいのことをすれば、エイリアンがその後侵入する可能性も減ったのでは。何故入口付近でもたもたと扉を抑えてたんだろう。

そして、いっそ宇宙船に入れてその場で殺すなり隔離することが出来た方がよかったんじゃないかなんてまた結果論を考える。

 

真田さんの奥さん役の人があまりきれいじゃなくて残念。日本人にはもっときれいな人おるよー。真田さん何歳の設定か知らないけど、56歳で初の子供みたいな感じだったなー。

子供と奥さんに再会出来ずに死亡とは悲しい。

当然のことながら日本語がナチュラルなのがいいね。

彼が子供が生まれたことを報告するとみんなが「誰の子供だ?」「目が青かったぞ」と口々に憎まれ口を叩くところがアメリカ人っぽいなーと思った。

 

さてさて問題の最後だが、いったいどういう理由でジェイクとレベッカ・ファーガソンの宇宙船が入れ替わったのかさっぱりわからんかった。なんらかの事故でジェイクとレベッカの脱出ポットが接触してああいうことになったのかな?

あのままエイリアンに襲われた状態で宇宙を彷徨うとしたらジェイクの末路はかなり悲惨だなーと、それはそれで後味悪いのだが、レベッカのようにあんな恐怖の叫び声で終わる最後もやっぱり後味悪い。脱出ポットがかなり回転してたし相当勢いがついていたから、やっぱりジェイクのポットと激しくぶつかったってことなのかな?

 

誰かが書いたネタばれのあらすじでは宇宙ステーションの破片と衝突とあったけど、となるとレベッカは破片の衝突の衝撃で宇宙に投げ出され、ジェイクの方は利口になったエイリアンがポットの進路を地球に向けたと言うことかもしれないな。

 

そんなこんなで続編も作れるような終わり方だけど、宇宙ステーションのリアルがミソな映画なので、これを地球上の話しとしたら、ますます凡庸なエイリアン侵略映画になってしまいそう。