ディストピアってどちらかと言えばジャンル名ってイメージなんでそれをタイトルに持ってくる邦題のセンスのなさに不安を覚える作品なのだが、どーもゾンビものについ食い付いてしまう癖があり、釣られてしまった。
で、ところどころ着眼点が面白いなーと思う部分もあるし、3分の1くらいまでは、ゾンビパニックの見せ方なども良かったのだが、それ以降どんどん失速していく。
ある程度展開が見えてからは、何のスリルもなく残り時間をひたすら消化するような退屈さ。
DVDスルーでも充分な低予算映画という感じだが、グレン・クローズはなぜこの映画に出演したのだろう。
荒廃したロンドンの風景としてウクライナのプリピャチが撮影されている点は見所。
ネタばれ
この作品の面白い点は、ゾンビもどきの感染者二世に着目している所。
感染者の妊婦から生まれた子供もまた感染者ではあるが、それなりの知性を持ち合わせていて、一見普通の子供と変わらないという所が面白い。
ところで感染者の子供は胎児の段階で母胎の内臓を食い荒らしていたようだが、胎児って歯がないと思うのだけど、どうやって内臓を食った?
感染者は臭いに敏感であり、非感染者の臭いに反応する。
そのため、非感染者は臭いを押さえるクリームを塗っている。
『ウォーキングデッド』でも、臭いがゾンビを引き寄せるので、ゾンビと同じ腐敗臭を身につけてゾンビから逃れるという話があったが、消臭することによって感染者から逃れるというのは面白い。
ただし、頭皮からの臭いとかはどうやってクリームを塗るんだろうという疑問や、口臭のきつい人は大丈夫なのか?などの疑問が沸く。
『ゾーン・オブ・ザ・デッド』でひなたぼっこをするゾンビが出てきたが、ここでも機能を停止したかのように棒立ちの感染者が多数登場する。その大勢の感染者の間を防臭クリームを塗った非感染者が通り抜けるシーンは怖くて良い。
ただ、感染者が物音に一成に目覚める訳ではなく、数名が反応するだけと言うのはちょっとご都合主義っぽいので興ざめ。
感染者が植物によって脳が支配されており、やがては植物の苗床となって、その植物になる実の胞子がまた新たな感染者を作るというあたりは新しいというか、『ボディースナッチャー』を思い出す感じ。
つまらない点は、ゾンビパニックで基地が襲われた後は、ひたすらロードムービーと化してしまい、しかも限られたメンツだけの旅なんで、一気にトーンダウンしちゃうところ。
また、子供感染者との決闘みたいなことをはじめるあたりから、さらにつまらなさが加速。なんか違う映画になってしまったような印象。
グレン・クローズをはじめ、軍人の男も死に様がなんか適当っぽいというかマヌケっぽいというか。軍人の男はいつのまにあんないい奴になった?
気になる点。
少女が猫を追いかけて食った後は、犬は見逃す不思議。腹いっぱいになったから?
少女の口がずっと血で汚れている点。服でぬぐってくれって思った。
やっと顔をきれいにして着替えた直後に猫を襲ってまた口が血だらけになってるし。
血が乾かないでいつまでも生々しいし。
とにかく血だらけが終始気になってしまうのは、私が潔癖症だからなのか?
結局この物語って生徒と先生のラブストーリーみたいなもんだなーという印象。
最初からこの生徒と先生は相思相愛というか、先生は人類の未来よりも主人公の少女を優先だし、少女もまた、大好きな先生をひとり隔離してご満悦。
でも、先生、それで良かったんですか? ずっと隔離された状態で生徒に教えていくことが幸せなんですか?
まあ、少女が人類の為に犠牲にならないという選択をするのは、それはそれで新鮮な感じもするけど、なんとも奇妙なラストです。