呪術バトルが最高!

これだけで一見の価値あり! 
祈祷師はまさに白石晃士作品に出てくる霊媒師みたいにキャラ立ちしてた。 

韓国の祈祷ってめっちゃ派手やねん。


そんなこんなでこれはかなり面白い作品だ!と途中までは思ったのだけど、どうもひねってひねってひねったあげく、最後はなんだかもやっと終わってしまった。 
早速いろんな人の解釈を読んでみたけど、ストンと胸に落ちてくるような解釈は今のところまだない。 

國村隼は非常によかった。

 

 

ネタばれ

額面通りに受け取るなら、村に不吉を招いたのはよそ者の日本人で、祈祷師ともグルだったというオチに感じられるのだが、まさか、そんな「まんま」な話しじゃないよね?

 

「いや、実はよそ者はイエス・キリスト的存在であった」「悪魔の姿となったのは神父の思い込みが反映されたから」とする解釈もあるし、「いやそもそも呪術なんて非科学的なものではなくキノコが原因で、すべては幻覚」って解釈もあったり、様々。

でも、どれも「それだ!」と納得出来るにいたらないというか、そういう解釈もあるよねーというレベル。中には深読みし過ぎじゃね?ってのもありますしね。

 

私はこういう説明しなさすぎによる、いかようにも解釈どうぞ的な話しがあまり好きじゃない。

この映画も途中からそういう話しになりそうな予感がして、「それだけは勘弁」と思ったら、やっぱりそういうもやもや系の結末でがっくりした。

なんていうか、このもやっと感は黒沢清の映画を観た時の感じに似てますね。

 

見解の中でもこれはまあ、比較的腑に落ちるものがあるのだが、この解釈だとズバリ怪しい日本人はやっぱり悪魔でしたというだけのお話になってしまう。

 

https://matome.naver.jp/odai/2148920338483262601

 

それはいくらなんでもひねりなさすぎじゃん!

疑われていた人間が実は村を守っていたという展開自体も目新しいものではないが、そこからもうひとひねりしてやっぱり悪魔というのもなんだか違う。

 

ナ・ホンジン監督はキリスト教徒らしいし、冒頭で聖書の句を引用していることから、物語の根底にあるのは「何を信じるのか?」ってことなのかもしれないが、この映画は何が事実なのかわかりにくく、混乱する作りにもなっている。

信実を見極めるポイントって何かね?

 

石を投げる女性の、石を投げるという行為の解釈は、マグダラのマリアを意味しているなんて解釈もどこかにあったけど、マグダラのマリアは石を投げられる側だからちょっと無理を感じる。

それよりはリンク先の解釈である「ヨハネの福音書8章7節にはこうあります。罪のない者のみが石を投げなさい。ヨハネの福音書より、コクソンの登場人物の中で、ムミョンが唯一この村で罪のない存在であることが分かります。やはり守護霊ですね。」の方が納得出来ます。

いずれにせよ、監督がムミョンが善であると明言しているとするならば、この物語で信頼すべきは彼女だったと言うお話になります。


けれど、ルカの福音の引用にある「そこで、イエスは言われた。「なぜ、うろたえているのか。どうして心に疑いを起こすのか。わたしの手や足を見なさい。わたしはまさにわたしだ。触ってよく見なさい。亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見えるとおり、わたしにはそれがある。」という点からみても、ムミョンにも日本人にもちゃんと肉体はあったように思えるし、見分けるポイントがわからんのですよ。

あの場合、主人公も観ている側も何を選択すれば正解なのかはわからないです。

私はイエス様に言いたいですよ。人は見たままを信じて騙されることもあるし、見たままが正しいこともあるし、その判断が困難故に想像を超えた事態に遭遇するとうろたえたり懐疑的になるのだと。それはすべて防衛本能のなせる技です。

 

それから祈祷師と日本人がグルだったという点ですが、だとしたら何故祈祷師がお祓いのパフォーマンスをする必要があったのかわからない。お金が目的? 悪魔の目的、祈祷師の目的、彼らが結託する理由も不明瞭なまま。

 

どのような解釈もなりたつのは結構ですが、やっぱり監督には監督の意図があるはずで、でもその意図がやっぱりわかりにくくて、それは私の理解力が低いのか、監督の描き方に問題があるのかもわかりません。

 

この映画を反日と捉える人もいますが、それは無理からぬというか、そのような印象を与えるのも確かです。私も考え過ぎかもしれませんが、最初に裸で警察署に現れた女性をこのよそ者日本人に性的暴行を受けてからおかしくなったと言う流れで、まるで従軍慰安婦像を思い起こさせる若い女性が正しかったという見解がそもそも政治的にも写るのです。

いや、監督にその意図があるかどうかはわからないですけどね。

 

鶏が三度鳴くまでの何を信頼すべきかという主人公の葛藤とか、そのあたりの演出は非常に魅せます。

あと山のカットがきれいでした。