なんつーか、ぬるいX-MENを観ている感覚でしたね。 
主人公の能力とかループの設定とかは良かったし、設定だけで途中まではわくわくしたんですが、クライマックスのぬるさはいかんともしがたい。 
ティム・バートンってファンタジックなビジュアルを構築するのは上手なんだけど、アクションシーンがいまいち。 

ビジュアルにしても双子が双子である必然って何? ただ奇妙な双子ってビジュアルを描きたかっただけなんじゃ?って言う出オチがちらほら観られるのはいただけないですしね。 

子供向けにしてはちょっとエグイシーンがあるし、大人向けにしてはぬるいし、ターゲット層がいまいちどっちつかずでふりきれてない感じ。 

ティム・バートンは『アリス・イン・ワンダーランド』あたりから完全に見限っていたんですが、『ビッグ・アイズ』で持ち直した感があったし、今回も予告に惹かれるものがあったんで、またまた釣られてしまいましたよ。 
重ね重ね、設定は面白かったのに勿体ないなーと言う気分です。 
でも、面白いシーンは勿論あるし、まったく駄目って訳でもありません。 
エヴァ・グリーンは美しくて格好よいし、彼女の設定だけで羽根好きは萌えます。
サミュエル・L・ジャクソンはやたら濃かったですねー。 

ところで見終わって数々の疑問が残ったのですが、原作を読めば解消されるのでしょうかね。
ちなみに原作ランサム・リグズ『ハヤブサが守る家』とはかなり違いがあるらしいので気になります。
 
 
ネタばれ
 
見落とした部分もあるかもしれないが、以下の疑問が残る。
 
●何故主人公ジェイクの祖父(テレンス・スタンプ)は風船少女エマといい仲っぽかったのに、異能者のコミュニティから出て行き、他の人と結婚してしまったのか?
また、祖父が異能者であることがバロンにばれているなら、普通の生活をするのは危険では?
 
●1943年を生きる異能者は2016年の現代に飛ぶと、時間が追いついてきて一気に老化して死んでしまうようだが、2016年に生まれたジェイクが1943年にとどまった場合、時間が逆行して若返り、消滅することはないのだろうか?
 
●2016年に戻ったジェイクだが、祖父が生きているということは、同時期にもうひとりの自分が存在していることにはならないのか?
 
●いつのまにジェイクは両親と別れて過去の世界で異能者と生きることに決めたのか? そのあたりの割り切りがわかるような、わからんような。というか最後の方はなんだか駆け足過ぎ。
 
●祖父のくれた資金だけで世界中をめぐれるとも思えないのだが。特に日本円は1万円札が一枚しかなかったようにみえたけど、それでは旅費として全然足りない。
 
●エマは鉛の靴を履いたまま海に潜ったが浮上するときはどうしたのか。空気を操って浮上したのか?
 
●爆撃から逃れる際にエマは鉛の靴を脱ぎ捨てたのに、後のシーンで再び履いている。爆撃された後に靴を拾いにいったのか、舟の隠れ家にスペアがあったのか謎。
 
●双子のメドゥーサ能力は結構無敵だと思うのだが、何故もっと早く活用しない?
 
●首に口のある少女は殆ど役立たず。無理矢理最後に活躍の場面を作った感じ。
 
●ジェイクに変装したバロンを怪物が襲うのはともかく、何故元の姿に戻ったバロンの目玉を怪物は喰ってしまったのか。既にコントロール不能ってことなのか?
 
●ジェイクと風船少女と透明人間がバロンの所へ行くが、透明人間は何の為について行った?
 
●同じ毎日を同じメンバーで永遠に過ごすというのはある意味地獄では。誰もそのことを苦痛に思わないのか。そして実質70年以上も生きてるのに彼らの精神的な成長は皆無なのか?
異能者を守る為のループとは思うが、普通に年齢を重ねて死んで行くと言う選択はないのか?(最後はその選択をしたようだが、何故もっと早くその選択をしなかったのだろう。そんなにマンネリな日々が魅力的?)
 
●異能者はループする時間の中で記憶が永続しているようだが、ループの中に存在する他の人間たちは記憶が毎回リセットされるのだろうか?
 
●ペレグリンはいつのまに腕を怪我したのか? 何故子供たちと共に行かず、彼らを見送ったのか?
 
●怪物が絵の具等でその輪郭がわかるなら、絵の具が飛び出す水鉄砲とかを準備しておけば、もっと対処が楽になりそう。祖父の時はそういう対策を考えなかったのかな。
 
●ジェイクがはじめてペレグリンの廃墟に訪れた時、何故子供たちは全員ループから出てあの廃墟にいたのか? 全員でジェイクをループに導くため? しかし彼があそこに来るという確証はないと思うのだが。
 
●祖父はジェイクの能力を何故ペルグリンに隠していたのだろう。自分の後継ぎにするつもりがないのなら、彼に異能者の存在を語って聞かせる必要もないような。ところで祖父はジェイクに武器の扱いとか、怪物を倒すノウハウを仕込むべきだった。
 
 
面白かった点
 
●ジェイクの怪物を観る能力という設定が良い。
 
●ジェイクの絶望的なまでのコントロールの悪さ。
 
●いちいち、精神科医や鳥類学者に変装して同じ場所に止まっていたことを愚痴るバロン。
(鳥類学者をルパート・エヴェレットが演じていることに驚き! すごいちょい役)
 
●怪物の造形が薄気味悪くて良い。
 
●遊園地で怪物と骸骨が戦うシーンも『アルゴ探検隊の大冒険』のオマージュっぽくてよかった。
 
●舟の浮上シーンがよい。
 
●現代の世界がいつもお天気が悪くて、ペレグリンのループがいつも快晴というコントラスト。
 
●ループをたどって、ジェイクがエマに会うまでの過程だけで一本の映画になりそうなのに、すごい駆け足っぷりが笑える。