アイディア勝ちというか、シチュエーションは最高に怖くてよろしい。
消灯すると浮かび上がる影が薄気味悪いし、点灯と消灯の繰り返しの中で徐々に近づいてくる影もかなり怖い。このあたりの演出は素晴らしかった。
でも、例によって登場人物が勇敢過ぎで、自分には理解不能のレベル。
それに誰も彼もがこの信じがたい状況をあっさり受け入れ過ぎって気はする。
また悪霊や登場人物の行動にはいくつか首を傾げるシーンがある。この種の話にリアリティを求め過ぎてはいけないが、それにしてもちょっと彼らの行動には謎が多い。
主演のテリーサ・パーマーはべっぴんさんで良かった。
元ネタは2013年に配信されたショートムービー。
当時、これを観ていたので、今回の予告編を観たとき既視感を覚えたのだけど、そういうことなのね。
ネタばれ
悪霊ダイアナは冒頭で自分の邪魔となるソフィの夫を殺す訳だが、彼女の狙いがソフィの夫にあるなら、何故無関係の従業員の前に現れていたずらに彼女を怖がらせたのか謎だ。
(この従業員を演じたロッタ・ロステンがショートフィルムの女優さん。他にもデヴィッド・F・サンドバーグ監督の短編映画の殆どに出演しているとか)
また、長女が弟を引き取った時も、何が目的であの姉の前に姿を現したのかもよくわからない。わざわざ自分の名前まで残して。ソフィを自分のものにしたいなら、姉があのまま弟を引き取ってくれたら万々歳ではないのか? それともソフィの心を乱す子供たちを消し去りたかったのか? あの場面は最高に怖かったが、後から考えると何がしたかったのかよくわからない。
また、焼却炉の火を一瞬で消すほどの能力があるならばキャンドルの炎だって消せたのでは?
登場人物の行動にも謎がある。例えば、弟はなんでそんな取り出しづらい箱に懐中電灯を仕舞う?とかね。自分なら絶対傍らに置く。案の定いざと言う時に取り出せずに逃げる羽目になってので、ただのおバカにみえる。
登場人物が尋常なく勇敢なのも私には理解不能。
姉は最初のダイアナとの遭遇でものすごく怖い思いをしているのに、弟を浴槽で発見してほっとして終わるシーンとか。いやいや、こんな体験したらもう一晩中一睡も出来ないと思うんだけど、その後のことはまるっと描かれないので、彼らの恐怖感がその場限りに終わってしまう。
「一晩眠れたから大丈夫」と言って、悪霊のいる家に帰っていく弟とも勇敢過ぎる。
さらに、電気が切れたからと言ってわざわざ地下室に降りていく姉とか。あの場合弟連れてすぐ逃げろって思う。さらに地下室に閉じ込められた状態で、弟を置いて別行動するとか、いちいちあり得ない。
もっと言えば目の前で警官が惨く殺されているのに、母親を救出に向かおうとする姉弟ね。
いやそもそも、ダイアナという超常現象に対して、誰にも相談せずに家族だけで解決しようとする姿勢もね。
とにかく私だったらそういう行動はとらないなーという事が多すぎていまいち共感度は低いのです。
いや、それを言ったらお話が成り立たないのはわかるけど、そこをあまり「?」を感じさせない程度に登場人物の行動に納得いく理由付けをして欲しかったです。