日本でもゾンビ映画がこんなメジャー扱いで公開されるようになったかー。時代は変わったなー。なんてことを思いつつ、海外でも評価されているようだし、とちょっとハードルあげすぎた。期待値高すぎた。

いや、頑張ってた。最初のパニックシーンとか、高速道路のシーンとか、頑張ってた。
(でも事故激しすぎるというか、車回りすぎって言うか、あれで無傷はあり得ない…)
血みどろシーンはなんだか日本映画独特の生々しさがあるっていうか、洒落にならない不快感って言うか、アメリカ映画の残酷描写とはまた違う方向の不快感ね。
最初の方はゾンビなのにJホラーっぽい気味悪さもあるしね。
なんちゅーか、からっとしてないのよ、からっと。どっかじめっとしてるのね。なんだろう、これ。やっぱり風土なのかね。
塚地武雅がなんだかやばかった。ある意味上手いのかな。彼だけホンモノの狂気を感じたよ。

こんな映画が好事家だけじゃなく一般の動員数を集めているのは、大泉洋人気によるところが大きいのかな。

しかし、はっきり言わせてもらうなら私はこの映画がつまらなかった。
「男のひとりよがりな妄想につきあうのはうんざり」という気分になるほどつまらなかった。

ちなみに花沢健吾の原作も10巻くらいまでは読んでいる。
日本にゾンビが出現したらというあたりを割とリアルに描いていて面白かったのだが、途中から方向性が変わってきて、それがあまり自分の好みとは違う気がしてそこから先は読んでいない。

そうそう、エンドロールで「浜松市のボランティア」という文字を観てちょっとほほえましい気分になった。


ネタばれ
うだつが上がらないさえない男が、ゾンビパニックにより、クレー射撃の腕前を生かしてヒーローになるお話なのだが、恥ずかしいまでにストレートにそれだけのお話。ウィル・スミス『アイ・アム・レジェンド』くらいストレートでつまらない(リチャード・マシスンの原作は傑作だけどね)。

そもそも、あれだけのゾンビを全滅させるだけの弾がよくあったな。
最後はJK有村架純長澤まさみというかわいこちゃんにうっとりとした瞳で見つめられ、「ヒーロー」と讃えられ、そのまま女ふたりと車で逃走って、ただの野郎のハーレム願望そのまんまでひねりもない。あたしゃ観ていて気恥ずかしかったよ。
いや、さえない男がヒーローになるお話自体は別にいいんだけど、もう少しただの都合のいい妄想と感じさせない説得力ってものが欲しいのよね。
これでは主人公が持ち込んだ漫画がそのまんま映画になってしまったんじゃないかと思うくらい、駄目男の妄想の域を出ていないじゃないか。

地下に食料をとりに行くシーンも本来はもっと怖いと感じるシーンなのに、全然怖くないの。なんだか妙に気持が冷めて、ゾンビが襲ってくることに何の緊迫感も覚えないのよ。

クライマックスの血みどろの戦いも、スプラッター嫌いの私でさえ有無も言わせぬ迫力に圧倒された『ブレインデッド』まで突き抜けてないし、全体的にもう一歩何かが足りないだなー。