『ウォーキング・デッド』でゾンビドラマが成功するという快挙を成し遂げ、それに続けとばかりにワーナーから第二のゾンビドラマがはじまりました。
『ウォーキング・デッド』が正当派ゾンビドラマとするならば、『Zネーション』は亜流な感じもしますが、それだけにバラエティ色が強く、テンポもいいのでライトに楽しめる感じです。
『ウォーキング・デッド』と比べて評価がいまいちですが、『ウォーキング・デッド』とは趣向が違っていて、私は結構ツボにはまりました。
どちらが面白いと聞かれると、同じゾンビを題材にしていはいるけど、方向性が違い過ぎて、比べようがないというか、どちらもそれぞれの面白さがありますね。
ただ、『ウォーキング・デッド』がちょっと人間ドラマがぐちゃぐちゃどろどろしてかったるいのに対して、こちらは話がサクサク進むので飽きません。

このドラマはニューヨークからカルフォルニアを横断する間に、様々な州をまたいで、その土地土地の特色にあったご当地ネタが展開されるんで、ちょっとしたアメリカ旅行気分を味わえます。

まあ、私がこのドラマにはまったのは設定のよさと、人類の希望であるマーフィーの性格の悪さにあります。実際自分が護送する立場だったら相当苛つく男かもしれませんが、でも、客観的に観ている分にはその嫌な奴っぷりが楽しかったりします。
みんな苛つきながらも、マーフィーを守らなければならないというシチュエーションが抜群にツボですね。それにマーフィーは確かに嫌な奴だけどどこか憎めない男なんですよね。
マーフィー演じるキース・アラン『ゾンビ・ナイト』等、B級ホラー系の脚本なんかをやってる人なんですね。色々調べたけど生年月日がわからず、現在何歳かは不明です。
目つきに迫力があり、その目力に引き込まれます。上目遣いで三白眼になるところがよいですね。
最初は気づかなかったけど188cmと結構長身で存在感もあります。

市民Zは特異な顔つきなんで、すごく見覚えがあると思ったら、『ザ・コア』でラット少年を演じていたDJ・クオールズでした。なんかこういうオタク的天才少年みたいな役が多い人ね。少年言うてももう37歳らしいけど、すごく若く見える人です。

第1話 唯一の生存者
のっけから、走るゾンビですよ。
この種のドラマで走るゾンビはハードだねーと思ったら、後々、成り立てゾンビは生きがよくて走ったりするけど、段々衰えてのろのろゾンビになるらしいです。走るゾンビよりのろのろゾンビ好きの私でも一粒で二度美味しい感じ。
にしても、軍人みたいに基礎体力がある人がゾンビになると脚も早いしパワフルだし厄介ですね。
ゾンビウイルスの免疫実験を囚人を使って行っているが次々失敗。最後のひとりに免疫を打ったところでゾンビの襲撃。博士と救助に来たハモンド中尉は逃げ出すのですが、被験者は動きがとれず、生きながらゾンビに食らいつかれます。
うわー、悲惨な出だしだーと思ったら、実はこの被験者は生きていて、ただひとりゾンビウイルスの抗体を持つ男としてその後ハモンド中尉に護送されることになるのです。
てっきり死んだものと思っていたので、この展開は意表を突かれてよかったですね。
もっともこの男、8箇所も食われた跡が残り、あばらも骨も数本失った模様。
で、この被験者マーフィーをニューヨークからカルフォルニアまで運ぶってのが中心となるんだけど、目的もはっきりしているし、非常に良い設定だなーと思いました。
北極の軍事基地に取り残された機密情報収集員市民Zがネットワークを駆使して、マーフィーを護送する集団を導くという設定もよいですね。

死んだふりゾンビ(?)が大量に川から流れてきたり、やたら俊敏な赤ん坊ゾンビが登場したり、一番頼りになりそうなハモンド中尉があっさり死んじゃったり、1話から飛ばしてくれます。

ところで、ハモンドが死んだ時、マーフィーが「赤ん坊を殺しに行かなければよかった」と言うんですが、それは彼の言う通りで、なんでわざわざロベルタたちは赤ん坊に慈悲を与えるなんて事にこだわったのか謎ですね。


第2話 ゾンビだらけの給油所
ニュージャージー州で給油しようとする話です。
タイヤに巻き込まれるゾンビとかなかなかえぐい描写ありです。
ゾンビの写真を記録として納めているアディに「世界の終わりもあんたには思い出作りか」と言い放つマーフィーの皮肉が面白いです。

ゾンビが何故かガソリンタンクに吸い込まれていくという不思議な設定が印象的。
生きながら食われるという恐怖を味わったマーフィーはゾンビ恐怖症で、わずか数体のゾンビに大パニック。まあ、あんな目にあったら無理もないですよね~。
ドクは結構じいさんのイメージですが、演じる俳優さんは54歳と結構若いんですよね。「ゾンビの2体くらい俺が処分する」と車の外に出るドクは頼もしいです。
女子ウケがよさそうな若者10Kがご都合主義的存在で面白いです。


第3話 フィラデルフィアの晩餐
レギュラーメンバーのひとりカサンドラはもと人肉を喰いながら生きてる一家の一員でした。
ということで、ゾンビが人間を喰っちゃうのもエグいけど、人間が人間を生きたまま食しているのはもっとエグいですね。

鐘でゾンビをやっつけるシーンは斬新でした。
最後の食料をたいらげるマーフィーが10Kの食料に手を出そうとして一口で食べられちゃうあたりが面白かったです。

第4話 フルメタルゾンビ
バージニア州の感染対策本部でヘリを借りようとするものの…。
ゾンビ恐怖症な上に閉所恐怖症でもあるというマーフィーは何かとトラブルメーカー。
結構このドラマはレギュラーでも平気で殺しちゃう勢いなんで、ここでドクも死ぬのかと思ったら無事でよかったです。
このドクはなかなかいいキャラですね。
ドクが助かったとわかる時のマーフィーがいい表情をしています。
ドクを「友達」と言い切ったマーフィーに「友達?」と違和感を覚える周囲の反応が面白かったですね。

ヒロインアビィがいまいち可愛くないのですが、市民Zは何故か一目惚れです。


第5話 懐かしの故郷
イリノイ州にやってまいりました。
マーフィーは歯が抜けたり、髪が抜けたり、いろいろ抗体による弊害が起こっている模様。
髭を剃って丸坊主になるとイメージがまた変わりますね。でも髭がある方が好きだなー。
何かゾンビにシンパシーを感じたようで、死んだゾンビを抱きしめてたけど、あたしとしてはゾンビ=腐敗臭がするというイメージなんで、「臭そうだなー」とつい思ってしまいました。
アディとマックがラブラブモードになりますが、アディのトラウマで中止になってしまい、マックが気の毒です。


第6話 Zの復活
ミズーリ州のとある施設。
まあ、終末世界だし当然ながらカルト宗教も出てきますよね。
自殺によるゾンビテロというアイディが斬新でした。
ここで、なんとグループのリーダーだったガーネット退場します。結構パッケージのど真ん中にいて目立っていたのに、まったくこのドラマは誰が死ぬか油断なりません。というか、パッケージのど真ん中ふたりが早々に死ぬとはやってくれます。頼りになりそうな奴から死ぬっていうね。
マーフィーは半分ゾンビ化しているのか、ゾンビに襲われないというありがたい能力が身につきました。
珍しく能動的に皆を助けようとしてましたね。

そういえば、はじめて子供の頃『ゾンビ』を観たとき、ゾンビになればゾンビに怯える必要がないから、先にゾンビになってしまいたいと思ってましたが、ある意味マーフィーは理想的な形でゾンビ化していると言えますね。


第7話 ようこそカンザスへ
こんなご時世に射撃コンテストとは結構悠長であります。
この第1話から登場しているセミレギュラー武器商人ふたり組が面白いですね。ひとりが病的に痩せているのが気になりますが。
マーフィーが噛んだ相手は死んでもゾンビ化しないようです。じゃあ、全員噛んじまえば解決かというとそういう訳でもないことがおいおいわかります。
今回はトイレで死んでゾンビ化したり面白い描写ちらちらです。


第8話 ゾンビ津波
なんとか自分を無事にカリフォルニアに護送して欲しいからなのか、珍しくマーフィーが仲間の為に食料と水を確保しようとします。
もうゾンビに襲われる心配のない彼は無敵です。
しかし、その食料を手に入れる為に、母娘の食料を奪い、しかも「娘の分の水を置いていって」と哀願する母親の言葉を無視。挙げ句、この親子のゾンビと化した父親を招き入れ、直接描写はないものの、おそらくこの母娘は父親に喰われたであろう結末です。
いやー、マーフィー最低やな! 嫌な奴だとは思っていたけどここまで最低とは!
そんな彼を護送グループのメンバーはやっと仲間として受け入れるという皮肉な展開です。
しかし、マーフィー最低最低言いながら、この最低男が今後どうなるかますます気になります。


第9話 夢と現実の狭間で
ユタ州まで来ました。
この回は全部夢オチという非常に評判の悪いエピソードです。
私は別に嫌いじゃないというか、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』っぽいことやりたかったのかーなーという感じで試みは面白かったです。
このドラマ自体、市民Zが状況を操るという点でゲームっぽい趣があるので、こういうエピソードもしっくりきます。
マックは影が薄いけどよくみると割とイケメンですしね。
にしても、アディのマックに対する態度は冷たいですねー。マックはアディラブなのにアディは「私たちはたまたま一緒に生きてきただけ!」みたいなことを言い放っちゃうし、マックがかわいそうです。


第10話 メルトダウンの危機
サウスダコタ州に来ました。
このように世界が崩壊した場合、なにげに気になることのひとつが、制御を失った原発がどうなるかという点。
このドラマでもメルトダウンの危機が描かれていてなかなか見応えがありました。
放射能に汚染されたゾンビが青く発光しているあたりも良いですね。
マーフィーとゾンビの動きがリンクしはじめるあたりも、マーフィーの能力が徐々に進化していて面白いです。
ロベルタがマーフィーと別れ際に「これまであなたの為に命をかけた人々に感謝しなさい」と言ったあと、マーフィーが「俺にこんな運命を与えてくれた神に感謝する!」とぼやく所は、マーフィーの背負う運命の重さを感じましたね。


第11話 慈悲のシスターたち
女の園で癒やしを求めるアディ。そんな彼女から離れられないマックの一途さが切ない。
このユートピアの話はその後もっと掘り下げられるのかと思ったら…。
今回の見所はやっぱりクマゾンビですかね。このドラマちょいちょい動物ゾンビが登場するのですが、動物までゾンビになっちゃうと収拾つかなくなるんじゃないかと心配です。
マーフィーが強引に迫る女性と関係を持ち、その彼女が妊娠するなど、今後の展開が大いに気になる動きをみせています。
ところで組織のリーダーヘレンを演じる女優さんと、マーティーと関係を持つ金髪の女優がなんだか似てるですが、まさか実際に母娘じゃないですよね。


第12話 マーフィーの法則
もはやゾンビが怖くないマーフィーは悠々とゾンビの群れの中でゴルフを楽しむ域。
かつて数体のゾンビにパニックを起こしていたゾンビ恐怖症のマーフィーが懐かしいですね。

すっかり調子にのって、俺様な感じになりつつあるマーフィですが、「なんでみんな俺に対してえらそうなんだ」の台詞がツボります。

マーフィーに噛まれたり、引っかかれたり、その唾液を摂取すると、マーフィーに操られてしまうらしいですね。
マーフィーの能力がどんどん怖い方向に進化しています。
さて、どうなる。


第13話 ゾンビのドクター
一応、免疫薬を開発したマーチ博士がいるというフォート・コリンズへとマーフィーを送り届けることでシーズン1が完結。
間もなく任務終了ってことで、ちょっとお別れムードの車内で、マーフィーも珍しくドクに友情を感じていることを打ち明けますが、ドクは、マーフィーがカテーテルや注射をさされまくって、きつい思いをするだろうから気の毒だと彼をびびらせます。ドクも悪気はないのでしょうが、かなりデリカシーがありません。
おまけにロベルタはマーフィーの手に手錠をかけ、あくまでマーフィーは任務の為の荷物であるかのように扱うのでマーフィーはへそを曲げてしまいます。うん、このあたりは素直にマーフィーがちょっとかわいそうな気がしますよ。
ところでマーフィーの体に接触しているとゾンビに襲われないらしいです。それは便利な能力ですね。
ちなみにマーフィーは素手でゾンビをやっつけるなど、段々超人化しつつあるようですが、『バイオハザード2』のミラ・ジョヴォヴィッチみたいな超人展開は好きじゃないので、そのあたりはほどほどにお願いします。
それにしてもマーフィーはドクに特に友情を覚えていたようなのに、最後にドクが撃たれても無視してひとり逃走。またまたマーフィの最低っぷりが露見します。
死にかけたカサンドラがマーフィーに噛まれて復活しますが、なんだか人が変わってしまったようです。
おまけにマーフィーのせいで核爆弾まで発射される始末。とにかくこいつがパニックになるとろくなことがないのです。
でも、めっちゃ気を持たせるエンディングでシーズン1終了とはにくいですね~。