私のゾンビ映画ベスト10に入るほど、傑作の出来だと思う。
走るゾンビの先駆けであり、ロメロののろのろゾンビしか知らない時分には、かなり衝撃的だった。
私は基本走るゾンビよりのろのろゾンビの方が好きなのだが、これは走るゾンビの中でも面白いと思わせる映画。
最初から「これは全部実話だよ!」と言い切っちゃうあたりが小気味よい。
ロメロゾンビのお約束である、人肉を食う、噛まれた者はゾンビになる、頭部を破壊すれば機能が止まる等がここでは適用されない。
彼らが狙うのは脳みそのみ。
噛まれてもゾンビ化はしない。薬剤(トライオキシン245)が含まれた雨に浸かっていたストリップ女性はゾンビ化するが、タールマンやオバンバに噛まれたパンク男たちがゾンビ化しないのもその為。
焼いて完全に灰にする意外に殺す術はないが、焼いた煙によりトライオキシン245が拡散する可能性あり。
ゾンビコメディとされているが、ゾンビの造形等、かなりリアリティを重視しているようだ。
もっとも、殆どミイラ化したようなゾンビたちの眼球が残っている不思議等もある。墓場から現れる骸骨などは筋肉もないのにどうやって動いているのか謎すぎる。
まあ、そこまでのリアリティは求めてはいけない映画。
もともとロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の原作者であるジョン・A・ルッソの原案を監督であるダン・オバノンが脚色、監督した訳だが、ストーリーの組み立ては非常にしっかりしていて無駄がない。
テンポも抜群によく、ファッション、音楽が80年代ののりにも関わらず今観ても古びない面白さがある。
ただ、もともとはシリアスな内容だったというジョン・A・ルッソの原案も気になるところ。
マット・クリフォードのメインテーマが抜群にいいのだが、何故かサウンドトラックに収録されていない。