なんじゃ、こりゃ!

久しぶりにひどい映画を観た。

これまで園子温監督作品は『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『恋の罪』『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』と好きな作風ではないけれど、それなりにインパクトがあり見応えがあったのだが、これはひどい。

一応若杉公徳の原作コミックも読んだし、ドラマ版も観ていたのだが、ドラマ版も最初こそは原作にそっていたものの、後半からどんどんオリジナルの展開となり失速していった。

映画版はそれでもドラマの続きから描くのかと思いきや、ドラマの総集編というか、リブート版というか、劣化版みたいな内容。もはやエロコメハーレム映画と言っていいだろう。勿論コメディの部分もまったく笑える要素などない。
これなら普通に原作通りに描いた方がよっぽど面白かった。

原作は普通の若者が超能力をもったらこうなるだろう的面白さがあったし、それによる危険性などもシリアスに描かれていた。
そうした要素がまるでなくなったら、この作品を描く意味ってあるんだろうか?

もはや、エスパーという設定さえ無意味というか、せっかく個性ある超能力者がいるのにすべてただいるだけのような扱いで、殆ど超能力が活躍する場面もなく、ただの、中高生の思春期の妄想というか、中二病というか、パンチラと巨乳好きの園子温の気持ち悪いおっさん嗜好が前面に押し出された非常に下品な映画。

本来なら、主人公の敵となる君紀や高浜などの描写は園子温が得意としそうなものだが、そんな原作における美味しい部分さえスルーとは呆れる。
これ一本で園子温監督は見限りたくなった。

多分、今年のワーストDVDは間違いなくこれで決まり!