この映画は、子役が大変きれいな子で、えぐい題材にもかかわらず作品の印象は大変きれいだ。ちょっときれいにまとめすぎかなーというくらいきれいだ。
(ジェイコブ・トレンブレイは髪が長いと美少女のようだし、髪が短いとこれまた美少年。そりゃー、母親が監禁犯から必死にその姿を隠す訳だね。)
それでも、いろいろ考え込んでしまい、随所に重たい気持ちが残る。

それにしても、この事件のモデルになったフリッツル事件がすごすぎて、もし、事件そのままに映画化されていたら、かなりどん引きの内容になったかもしれない。
(でも個人的にはそっちの方が観てみたかったり。。。)

海外ではこうした事件の被害者が割と自伝を出してたり、メディアに出演したりするあたりはびっくりする。日本じゃなかなか考えられないね。
しかし実際の所、こうした特殊な事件の被害者となった人物がその後どういう人生を歩むことになるかは気になる問題だ。


ネタばれ

映画は予告編から得る情報通りの作品なので、展開は予想がつくのだが、それでも少年が脱出するシーンはかなり緊張した。
(子供を逃がしたことで、母親が誘拐犯からなんらかの処罰を受けるのかと思ったが、そのあたりは何もなかったのかな。)
監禁中の生活も気になるが、救出された後の被害者やその家族がどうなるのかも大いに気になるし、なかなか語られない部分なので、後半はこの点を丁寧に描いているあたりは非常によい構成。

しかし、本当に生まれた子供がたまたまあのようにきれいな子供であったからまだしも、もっと気持ちの悪い誘拐犯に、その誘拐犯そっくりの子供だったら、果たして母親はその子供を愛せるだろうか。
成長するにつれ、どんどん自分を監禁した男にそっくりに育っていくとしたら、どうしても嫌悪感が先立ったりはしないだろうかなんてことをつい考えてしまう。

また、あの子供が将来事実を知った時、どのように自分の心に折り合いをつけるのかも気になる。

なんて今後もいろいろ気になる事があるのだが、この物語はあくまで子供は天使のように美しく、そして、人が新たな世界、新たな一歩に踏み出すことの恐れ、苦しみ、成長という普遍的テーマを描いているので、身近な問題として受け入れやすいものになっている。