世にも奇妙な物語でしたよ。
もしも自分が男の体に生まれていたら、リスクを負っても女の体になるための手術をしようと思うだろうか。
もしも自分の愛する男性がどんどん女性化していったら自分はそれをどう受け止めるだろうか。
なんてことをいろいろ考えていたら、頭の中がぐっちゃぐっちゃ。
ちなみに実際のリリーは手術の際、未発達の卵巣の残滓があったそうで、となると性同一性障害というよりは、半陰陽の可能性が高そうですね。ただ、私の知る限り半陰陽の場合、どちらかの性別に振り切ろうと言う強い意思はあまり持たない印象なので、本当のところどうだったのかはわかりません。
ただ、もともと小柄でウエストもくびれ体毛も薄く胸も少し隆起していたというので、かなり女性よりの人だったんでしょうね。
妻のゲルダもバイセクシャルだったという話だし、事実は映画よりもっと複雑な感じです。
バイセクシャルってことは、実際のゲルダにとっては夫が女性化したとしてももしかしてあまり問題ないのかもしれませんが、映画のゲルダはバイの要素が描かれていないので、純粋に男性としての夫を失う葛藤に苦しみます。その方が一般的な女性の共感は呼びやすいですよね。
映画ではゲルダの画家としての成功の代償のように、彼女の最愛の夫が失われていくという流れがなんとも皮肉に感じられました。
また、才能あるエイナーもリリーとして目覚めるに従い画家としての才能を失っていく。
やはりこの世の中、何かを得れば何かを失うようになっているのでしょうかね。
アリシア・ヴィキャンデルがアカデミー助演女優賞を獲得しましたが、きれいで可愛らしい女優さんで好感が持てます。
エディ・レッドメインは今回は主演男優賞ノミネート止まりですか、この人も果敢にいろんな役柄に挑戦しますね。実はあまり好きな俳優さんではないんですけどね。
ベン・ウィショー、最近あちこちの映画に出没してますね。
マティアス・スーナールツ、はじめてお目にかかりましたが、結構顔が好きなタイプの俳優さんです。
実際のリリーおよびゲルダの絵はこちらで目にすることが出来ます。http://www.elle.co.jp/fashion/pick/hayamimi15_0918_genderneutral1/06
ネタばれ
映画ではリリーは二度目の手術であっさり死んでしまいますが、実際は何度か手術は行われ、卵巣、子宮の移植手術までしていたというのが驚き。今日でも卵巣、子宮の移植手術は不可能なのでは、というか、移植手術をしたところで妊娠は不可能なのではとう言う気がするけれど、これらの手術が一応成功したのはリリーが50歳を前にしてのこと。
その三ヶ月後に拒絶反応で死亡ということで、ゲルダはその死に立ち会ってはいないのだそうです。
世界初の性別適合手術を受けた人物として、当然手術は成功するのだろうと勝手に思い込んでいたので、リリーが死ぬのは想定外というか、ちょっとほろりときてしまいました。
しかし、夫を失っても、ゲルダの傍らにはマティアス・スーナールツ演じるいい男がいるので、都合がいいっちゃーいいよねーなんて思ってしまいました。
もっとも実際のゲルダは再婚はするものの、やはり離婚してその後の人生はリリーを描き続けたというのですから、やっぱりリリーとの間に深い愛情があったのでしょうね。