小野不由美の原作は一昨年くらいに読んだのだけど、読後に感じたことは「怖い」でも「面白い」でもなく「ふーん」という感じだった。
今回、映画を観る際には細かいことを忘れていて、ただ、やっぱり見終わった後は「ふーん」という小説を読んだ時とまったく同じ気持ちになった。
とある怪現象の因果関係をルポルタージュ風に追っていくという手法は面白いというか、好みなのだけど、話が広がりすぎて因果関係にどんどん無理を感じてきてしまうことが原因かもしれない。
そもそも小説も地味な話なんで、映画はその分怖さを盛り上げるような演出がなされているが、基本、登場人物が幽霊とか呪いの類いを殆ど畏れていないので、反応が淡泊過ぎて怖いという感情が一行に盛り上がらないのだ。
映画はこの起伏のない原作を無理矢理盛り上げようとして最期に唐突にやっすいホラー映画に成り下がった感がある。エンドロールに至ってはお話とあまり関係ないところで無駄に薄気味悪い。
そうでなくても、赤ん坊とか影とかがCG臭くて残念。
画面のざらっとした感じなど雰囲気は悪くないし、首吊りはさすがに嫌な感じだったけどね。
原作では平山夢明が実名で登場するけど、映画では平岡芳明という名前で蔵様が演じていて、いい男度があがっていた。まあ、平山夢明も割といい男だけどね。
ちなみに原作を読んでいて一番怖かったのは、赤ん坊のくだりを読んでいる時に本当に赤ん坊の泣き声が聞こえてきたこと。
私が住んでるマンションって後にも先にも赤ん坊の泣き声が聞こえたのがその時だけだし、タイミングが絶妙すぎてガクブルだった。
ネタばれ
なんちゅーか、一番「ふーん」となって仕舞う原因は、引っ張るだけ引っ張って、穢れの大元が火災で死んだ炭坑夫の呪いという所にあるのかも知れない。
いくらなんでも炭坑夫の恨みが強力過ぎるだろうという感じ。
そんなん言ったらもっと悲惨で残酷な出来事が日本列島を覆っているし、日本はその穢れでとっくに滅びてるんちゃうの? という気がしちゃうんよね。
せっかくホンモノっぽい雰囲気を醸し出しているのに、一気に説得力を失うというか、風呂敷の広げ方が中途半端というか。
それに「話しても聞いても呪われる」って言うのも怪談のベーシックだけど、それをやられると、もう、なんでもあり過ぎで、怖いを通り過ぎて白けるのよね。
幽霊屋敷にわざわざ夜中に行く理由もよくわからないというか、昼間行けばいいのになーと言う感じ。
橋本愛演じる学生も妙にキモが座っているというか、自分だったら自殺者もでているやばそうな怪現象にそこまで首は突っ込まないな。