そーいえば、あけましておめでとうございます。
今年もいろんな映画を観たいなーと思いつつ、年明けはもっぱら過去に観た作品の再見に終始しております。

ということで、割と無かったことにされがちなアン・リー監督の『ハルク』再見です。
私アメコミヒーローの中ではハルクが一番好きだったりします。昔ビル・ビクスビーバナー博士を演じていたテレビドラマ『超人ハルク』にはまっていたもので。
ビル・ビクスビーのバナー博士は哀愁漂っていて格好よかったんですよね~。

そう、ハルクが好きというよりはバナー博士が好きと言う方が正解かもしれません。

で、この映画の見所はバナー博士ではなく、ニック・ノルティなんですね。
なんか、実に変なおっさんというか、奇妙な悪役だったりして、一番印象に残ってしまうんですよ。

かつて輝くような美少女だったジェニファー・コネリーも薹が立ったとは言え、やっぱりお美しいですしね。

ということで以下2003年当時に観た感想をコピペしておきます。

私は小学生の頃、テレビシリーズの『超人ハルク』が好きだった。
激怒すると緑色のむきむきマンになるなんて、設定だけ聞くと笑ってしまう冗談みたいな作品であるが、ドラマが意外にシリアスで哀愁に満ちていてなんとも言えない。ま、毎度変身するシーンはなんだか笑えてしまうんだけど。でも、身を隠しながら放浪の旅を続ける主人公と、それを執拗におっかけるマコギ記者がスリリングで、マコギ記者登場の話が私は特に好きだった。
「僕を怒らせるなよマコギ君。大変なことになるからな!」が名ぜりふだった。

さて、時を経て劇場版ハルクがCGでよりコミックに近いイメージで蘇った。テレビシリーズは割と地味な人間ドラマ性が強いが、漫画の方はひたすらハルクがあばれてぶち壊し、それを止めようと軍が介入して、さらに宇宙人やらなんやら訳のわからない怪物がうじゃうじゃ出てきて、やたらにスケールのでかい話で、私はさすがについていけない感じなんだけど、映画はそのハルクをよく表現している。登場人物もコミックのレギュラーたちがちゃんと出てるしね(コミックにはマコギ記者はいません)。
監督アン・リーの『ウエディングバンケット』は面白い作品で、ゲイの若者が、それを知らない両親の為にグリーンカード目当ての女性と偽装結婚するという喜劇で、最後に息子がゲイだと知った両親の葛藤と、それを受け入れようとする微妙な空気がぐっとくる良い作品だった。
今回も監督は親子の関係に着目している。そのあたりを私も結構期待していたのだが、まず、親父がどうして息子を殺そうとしたのかもうひとつよく分からなかった。少なくとも幼少時代の主人公は別にハルクに変身する訳でもなく、危険な兆候は見られなかったし、そういう描写もなかったからだ。さらに研究の危険を知って息子を殺そうとまでした親父が最後に息子の力を借りて野望を果たそうとするあたりの展開もよくわからない。よくわからないから、親父と息子の戦いもまるで原作コミックを読んでいるように「なんかすごいことになってるけど、わけがわからんなー」とただポカンとさせられてしまうのだ。まあ、その訳のわからない展開を力ずくで押しまくるのが原作コミックだから、そのまんまといえばそのまんまなんだけど。
で、一応コミックぽくコマ割した映像が随所に挿入されるんだけど、なんだかそれも効果的なのかどうなのか中途半端に感じてしまう。そういう演出をやるなら徹底的に、時には映像がページをめくるように変わるとか、コミックらしい擬音を画面で見せるとか、そこまでして欲しい。
しかし、お話自体は割とシリアスで重いので、そういう映像だと浮くような気もするし、もっと荒唐無稽などたばたに終始するか、あくまでドラマに重点を置くかを考えた方がいいような気がする。それがどっちつかずだから、主人公の敵役が死ぬシーンが妙に滑稽で、場面としては浮いている。
私はハルク大暴れの爽快感より、人間ドラマの方に興味があるから、そこに重点を置いてもらった方がいいんだけど、しかし人間ドラマを見たいなら、わざわざハルクを見ることなはいよなーとも思う。

そうそう、主人公の彼女だが、主人公が彼女に全幅の信頼を寄せているにも関わらず、彼女の元に戻ると決まってなんかひどい目に遭わされているような気がするのは気のせいだろうか。彼女ももっと彼をかばってやれよと思ってしまう。いまいち彼を守るために必死になっているようには見えないしね。お父さんに言われると素直にすぐ引き下がってしまうのも薄情な気がした。この親娘の関係もなんか描き方としては中途半端だったな。

個人的には主人公の親父役を演じているニック・ノリティがいい味を出していてよかった。彼の演じる親父への興味でこの作品は最後まで見られた。ミュータント犬を連れて歩いているというのもなんかいい(あんな危険な犬を良く飼い慣らしてるなーと感心)。もし続編を作るなら是非もう一度登場して欲しい。
主人公ブルース・バナー役はオーストラリアの俳優さんらしいが、ださい研究おたくみたいな雰囲気はよく出ていた。自転車に乗るときにかぶるヘルメットは本当にださい。それとなで肩だね。